立体感のある作品とは奥行きや深みのある作品だと思うけど、どう作ったらいいのだろうか?ブツブツと考えてみた。
(今週の一枚)もうすぐ秋(pixiv)
奥行きを表現するためには様々な技法や考え方があると思うが、大きく分けて実体の立体感をどう写実的に表現するかと、視覚の特徴をとらえて疑似的に広さや深さを見せる色彩的な表現方法があるのではないかと思う。
そこで今回は立体としての絵と色彩としての絵をどう表現すれば奥行きを上手く作れるかを分けて考えてみることにした。
立体的な描き方
立体の表現といっても自分の画力はそんなにないので、ほとんどPCの画像処理技術におんぶにだっこしている。これについては常に悩みの種で、少しずつそれっぽくしようとしているがなかなか上達する物でもない。
亀の進みであるが、新しい技術や考え方を少しずつでも導入してそれっぽくしようとしている。そこで今回はパースについての所見を書いてみようと思う。
深さと強調
ラフの段階で画角や構図を考えて描く方がその後の修正がしやすい。そのため、最初にパースを引いて全体的な背景を決定することが最近多くなった。その際感じたことは消失点をどこに置くかという点ではないかと思う。消失点は、つまり、「最も遠くの場所」なのだからその位置からどう絵を見せようと考えるとおのずと絵の距離感が生まれる。
ただ、描き方として複数消失点のパース線で作った角度のある物体は描きにくくなったり(角度のあるオブジェは描き込みが難しい)、絵として直感的に分かりにくくなる。そのため、最初に「何を中心にしたいか」を決めてからパースを引いた方が意外と深さのある絵が描ける。
背景の場合は太陽や光源が中心だったりするし、キャラ絵ならキャラの瞳や胸元を軸に書き込む場合が多いので、自分の描き方に合うパースの角度を決めるのも一つの手ではないかと最近感じている。
(消失点に向かって奥行きができるので大きなものを表現しやすい)
消失点の数と強調と奥行き
絵を描くなら、その絵の中心をどうするかが一つの大きなテーマに繋がる。消失点が1点の場合、問題となってくるのは絵の中心と消失点は同一にするかどうかで絵の奥行きと言いたいことが反比例することではないかと思う。例えば、キャラの顔と消失点の位置を同じにすると、キャラを強く押すことはできるが、絵としての奥行きがほとんどなくなってしまう。
(キャラの顔と消失点が同位置:キャラ強調は成るが奥行きがなくなる)
そのため、立体感を付けるために各パーツの大きさを弄ったり、色々他の方法で頑張っても限界が出てしまう。そのため、奥行きがあってキャラを際立たせるための立体は単純な1点パースではかなり厳しいので、奥行き、キャラ強調のどちらかを捨てて表現せざるを得ないのが実態なんだろう。
では、パースの数を増やせは奥行きを増してキャラを強調できるの出来るかというと思ったよりも難しい。背景としての絵を考えると、画角が複雑のなるのでより立体的な表現が可能になるし、複雑になればなるほど面白い絵が描ける。
しかし、そこにキャラを入れたり絵の強調点を加えると、それがうまく機能しない。下の絵のように3点パースで背景を描いた際はかなり広いイメージが作れたが、キャラをはめ込むと、そこまで広い印象を得ることができなかった。
一見、画角のある珍しい構図の絵にはなったが、絵の深さがあるかというとそうではない。もし、深い絵を描こうと思うなら縦長のものではなく、横長のものにして背景が移り込む部分をもっと増やす必要があるのだろう。
(3点パースの絵:消失点一点は画面内、その他は画面外)
…ということで、パースを使う場合、キャラと奥行きは並び立たないのではないかというのが今のところの答えになる。うまい方法や独特の表現方法があるのかもしれないが、今のところは、何を強調したいかで描き方を変えるのが一番妥当な線なのかもしれない。
色彩を使った立体化
色を考えると、細部の色をどうするかと、全体的な色の配色をどう合わせるかという点にぶつかる。
以前の記事でもこの点に触れて、色相の加工によって一体感を出そうと苦労したが、奥行きをどうするかと考えるとまた違ったものが見えてくる。そこでここでは陰影と色の一体感について考えてみる。
陰影と色
陰影とは、つまり、光とその影響なんだけど、それをばっちりしっかり意識できればそれなりの立体感を作り出すことはできる。
この点についてはもうずいぶんと試行錯誤してきたので、それなりの経験値はあるが、結局のところ光がどうあたるかをどの程度正解に描き込めるかどうかになる。光そのものは直進して曲がらないし、その強さもよっぽどのことがない限り距離に寄らずほぼ一定の強さを持っているので、距離感や奥行きには関係ない。
しかし、実際に風景を見るとその強さが光源からの距離によって異なるように感じることがある。これは光源からの距離が離れるほど、反射の影響を受けたり、その他光源が存在することで強化される場合があるためだと思う。
つまり、光にとって絵の深みとは「邪魔の多さ」ということになる。
これを利用すると、同じ強さの光を遠近で同じ様に描いてしまえば平たい絵を作ることができるし、距離によって光の強さを調整してやれば意図して距離が作れる。さらに、光が強いということは陰影もまた強いということなので、光源から近い位置にあるものに強い陰を付けて、遠い位置にあるものに影を薄くつければものすごい距離化のあるものが描ける。
(太陽に近い山は陰が濃いが、手前の麦畑の陰は薄いので距離感ができる)
色の数と奥行き
奥行きという点で色の数を考えてみると、遠くに離れるほど色の数は減る。
これは視覚的な効果として、遠くに行くほど目の焦点がぼやけるのでそこにある色の中で一番面積の多いものが写り込んでしまい、その色単独になるためであろう。ピクセルのぼかし機能を使えばよくわかるが、距離と色は強い相関があるので、遠く離れるほど輪郭だけ描いて同じ色で塗ってしまえば大体遠くというイメージを作ることができる。
絵の一体感を求めようとすると、基本となる色を4色程度でまとめるのは妥当であるが、1枚の絵の中に多彩な奥行きを作ろうと思うとかなりグラディエーションを作らないといけないのでとても難しい。
楽に仕上げる方法としては、「近くと遠くしか描かないこと」や「遠近で色彩を全く変えてしまう」という手がある。遠くは全て空の色、近くは自分の好きな色にするみたいな感じである。
では、どのくらいの距離でどのくらいの色の数なのかというと、とても遠い(遠くの山並みや空)なら1色+影の勾配となるし、手の届く範囲ならその彩りは多彩になれば遠近感が作れるとすると、その中間部分の色彩については描く人によって大きく異なるのではないかと思う。
中間点をどう塗るかという点で、ここで大切になってくるのはどこに絵の強調点を定めるかどうかだと思う。実は中間点というのはとても曖昧なもので、別に書かなくてもいいし、存在しなくてもいい。
…というか、中途半端なものを描くと意外と距離感が消えてしまったり、むしろ描かないことで遠近の差が際立つことが多い。うまいグラディエーションを付けられないなら、デジタルに0、1のくっきりした差を作った方が効果的に遠近感を作れる。
絵の深さを意識した場合にはこの絵は深いですよという強調が必要だとも言い換えられる。もし、この中途半端な中間点も描こうと思うなら、近傍に絵の強調点があるという場合のみ書くべきである。
差をながらかにするか、くっきりとするかで絵の見え方が大きく変わるので、画風に迷いが有ったら距離感と色を組み合わせるのも手ではないかと思う。
まとめて
純粋に深い絵を描こうとするなら、写真の様な絵を描けばいいが、深いと思わっせる絵を描こうと思うと、注目点を用意する必要があり、その注目点によって描き方を変える必要がある。
そして、その注目点の強調度によって絵の深さを弄ることができればとても奥行きのある荘厳な作品を作ることができるのではないだろうか。
パースと画角、明るさ・コントラスト、色彩の多寡、ぼかしの強弱など技法としては多彩に存在するが、何を見せたいか・何を言いたいかを決めないと、全体がぼやけてしまう。風景画なのかキャラ絵なのか、それとも物語の一場面なのかなど表現に違いがあるにしても、深い絵の中心は絵の注目点と大きく相関すると思う。
終わりに
やっぱり、何を見せるかで絵の質は変わるし、奥行きもそれに引きずられるんじゃないかなぁと感じる。
…まぁ、そんなこと言ってもなかなかそんな絵は描けないんだけどね(^ω^)
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