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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

距離と色を意識してそれっぽい風景を描く

なかなか上手に風景画が描けない(;´Д`)どうすればいいかなぁと光陰や色を絡めて描き方を考えてみた。

 

 

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(今週の一枚)猫クッションで脱出だっ(pixiv

 

 

現状の気分

 風景画(絵の背景)を描くと絵の実力がはっきりわかるので、正直に言って自分の絵を見返すのは恥ずかしい。筆のタッチや遠近感と焦点距離の設定、パースの置き方や黄金比など基本的な技術不足が明らかなことが分かるし、絵心のある人がちゃちゃっと描いた作品を見ると、「ぐぎぎっ」と歯ぎしりしてしまう。

 だから、その不満・不安を解消するために風景画を描く際はぐちゃぐちゃと描き込んだり、色をカラフルにしたり、ソフトでいらない画像効果を入れて、結局いったい何が言いたいのかわからないものが完成してしまうことが間々ある。そして、それを見返すたびに「かぁ~(;´Д`)」という変なため息がでる。

 「うまくなるためのすてっぷなんだっ!」なんて10代のようにポジティブに考えることも必要だし、事実過去の自作と比較するとボチボチよくなっている実感はある。しかし、プロの人や上手な人の作品が簡単に目に触れられる現代において、時間をかけた割には自分の実力はこの程度だな…と腐ってしまう気持ちもあり、おっさんの趣味程度には丁度いい遊びなんだろうなぁなんて気分にもなる。

 そんなヘッポコでもヘッポコなりに上手になりたいという欲はあるので、更新した我流の考え方や描き方を忘れないうちに書いておこうと思う。

 

色の効果と風景

 以前の記事において、光の波長を中心にした距離感の取り方を考えた。

nipplelf.hatenablog.jp

 純粋に波長のみを意識すると赤橙黄緑青藍紫と言った感じで、光源からの距離を意識することで、かなりカラフルでも無理のない自然な背景がかけることが分かった。

 ただ、実際の風景画や写真を見ると、そういったレインボーなものは自然であれ、建造物であれ、ほとんど存在しないし、それを探すと、意図的にそういった効果を作り出したファンタジーな作品や写真加工した不思議な作品ばかり目につくことになる。

 つまり、実際の景色や上手な風景画はそういったビビットな色の変化は少なく、色相や彩度が一定の範囲内で収まっていることが非常に多いことに気づく。じっと見ると、一定の色の範囲みたいなものが距離を意識する上手な作品には常に存在することが分かってくるのではないだろうか。

 そういった視点で見た場合、へたくそに映る出来のものをたくさん描いたが、その作品を色のバリエーションを抑えてそれっぽさを出す簡単な方法はある。まず、光源を決め、その色に注目する。失敗しないため重要なことは光源の色を白(さまざまな波長の光の集合)にするのではなく、黄色やオレンジ色などの一定の色と決める。次に、作成した絵の前面にもう一度その光の色を薄く塗ることである。陰なら新規レイヤーに乗算でいいし、光ならオーバーレイを使って強調してもいい。また、それが面倒なら、絵全体に新規レイヤーを作成して光の色一色で塗りつぶして透明度を~10%程度で調整すれば全体が落ち着いた絵柄になるだろう。画像処理としてはレンズフィルターを入れるということになる。

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光源の色を基礎にその他の色を抑える

 上の絵を例とすると、日光の色を黄色と指定して効果を付けたため、絵として見やすくなったし、光陰で立体感が出たと思う。ここで大切なことは光は単色なのか多色なのかしっかり意識することではないかと思う。

 また、単純に一色に絞るのも一つの知恵であるが、単色から多色にかけての光の幅を絵に描きこむことは結構難しいが、もう2、3色加えることで距離感を意図した奥行きのある物が作れるのではないかと思う。

 一方で、いちからこういった光源を意識したものを作るとしたら、その絵の中心となる色を一つ決めて、その色を中心に色相・彩度を考えればそれっぽいものを作れるのではないかと思う。まぁ、厚塗り・油絵的な描き方になるので自分にはちょっと難しい。

 

距離感とパースと光陰

 かっこいい絵を描こうと思うとパースを考えて奥行きを計ったり、明るさの調節して明暗差を利用することで絵全体を絞めてビビットな見栄えのいい絵を作ることになる。

nipplelf.hatenablog.jp

 上の記事では明度をいくつかの視点から考えて、完全な白と黒の領域を作り意図的な明暗差を出すことで絵にコントラストの差を作ることができれば、それなりの印象の強い風景を描けることを示した。

 また、背景の基本色(空や森の色)で距離感を計り、コントラストの距離感と光源の強い光(白色と影の黒)による距離を無視した輝きを重ねることで一定の幻想的な風景を作ることができると思う。

 ここで問題となってくるのは、パースでしっかりした背景を考えた場合、当然消失点に近づくほど焦点がぼやけ、ぼんやりとした輪郭になり、多色から混ざった単色になってゆくが、強い光源を使うことで、そのぼやけが一気に解消されてしまう点である。

 しっかりとした設計的な絵になればなるほど、焦点ぼやけと光源の効果のバランスが取れなくなると言える。

 どちらを優先させるかと言う点は描く人によって色々と変わってくると思うが、自分はパースを無視する。自分のようにどこかにキャラクターを載せる場合は「絵のどこを見せるのか」と言う絵の焦点を優先し、そこに注目が行くようにする。一方で、純粋な風景を目指すのなら「全てをぼかす」ことが正解なのではないかと思う。

 逆に、消失点を絵の外に置き、パースがほぼ効かない場合は、ほとんど距離感とコントラストの関係を無視してよく、奥行きがないが自由に色と光源効果を使えるのではないかと思う。

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距離感のあまりない風景

 上の絵のように色とりどりでも何ら矛盾なく街並みを構成できる。まぁその分、奥行きがごそっとなくなるので、悩みがない分、使い方は限定されるのかもしれない。

 これは一オブジェクトだけでなく、全体の距離感にも当てはまるので、焦点があう部分が多ければ多いほど色とりどりになると言えるのではないかと思う。

 

描き方のバランスと組み合わせ

 奥行き(距離)とカラーバリエーションと明暗差と言うパラメータに対して、1点で意識すればそれっぽく作れるし、背反するが2つの点の調整は一段上の作品を作れる可能性があることを示した。

 距離感と色彩の意識を持つことは重要だと思う。しかし、変数が増えるほどその調整が難しくなり、今回の場合は少なくとも多点(色の色相・彩度・明度と消失点・距離感と描き込みの関係)が関わるので、絵全体でうまく調整するのはものすごく難しい。それができるならプロなんだろう。

 適当に描いている身としては当然そんなことできないので、出来るだけ楽にそれっぽく描く方法を模索した。

 

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距離感と風景の描き方

 色々試した結果、一応それっぽくはなる。方法としては、描き方を距離によって変えることが一番楽だと思う。自分の場合、フォトバッシュ、コピペブロック工法、描き込みの有無と筆先を変えるか…くらいしかないが、それでも 2^4=16通りの描き方を作れるので、それを利用した。

 上の絵だと6の文字のちょっと上あたりに焦点があって、消失点が3と4の字の真ん中あたりに消失点があるので、焦点との距離で描き込み量を変える。そこから距離ごとの描き方(そのブロックの状況でそれっぽく見える描き方)を決定して、各ブロックで個別に絵を描く。完成したブロックを重ね、最後に光陰を少し調整して完成となる。試しにブロックごとに絵を見ると全く違う出来に見えるはずだが意識しないとばれない。

 ほとんどコンピュータ様の御力なんだけど、それがなくてもどこを描きこむか、ぼかすかくらいは人力のみでも意識的に領域を決めればできると思う。

 この方法で大切なことは、色彩は基本的に抑えめにして、焦点があう部分だけアクセントとして強く色を入れること(上だと5の部分)で、距離と描き方を決めたら部分ごとの描き方に集中してパースの意識や距離感などの余計なことを無視することだと思う。

 つまり、絵全体をどうにかしようと思うとすごくパワーがいるけど、一部分なら誰しもちゃんと描ける可能性があるので、それを組み合わせてしまおうという感じである。

 最終的に距離を無視した光を入れたり、色々な効果を入れるのもアリかもしれないが、とりあえず同じ描き方をしなければ、同じ絵にならないので、そこに距離感や印象度の差を強引に作ってしまうことはできる。

 問題点は当然あって、最初の距離感の設定をしくじると焦点がとっ散らかった出来になるので、描く前にこの距離ならこの描き方…みたいにある程度決めてから進めないといけない点で、ちょっと準備が面倒かもしれない。

 

終わりに

 まぁ、上手な人や技術のある人ならこんなコネコネ面倒くさいことしないで、1時間くらいでちゃちゃっと描けるんだろうなぁと思う。ただ、自分にはそういった才能はないので、せこせこ回り道しながらそれっぽく作ることになった。

 それでもボチボチ満足できるものが作れるなら、それはそれでいいのかもしれないと思う。要は自己満足である(^ω^)

 

 

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