nipplelfsblog

nipplelf’s blog

1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

影と陰の価値を見直す

絵を描いていると見せたい点がしっかり描けない。そこで絵を描く際、もう一度陰影の意味を考えて、その使い方を再度探る。

 

f:id:nipplelf:20201221232347j:plain

(今週の一枚)魔法の様な雪が降る(pixiv)

 

 

 最近イマイチ上達の兆しが見えなくなってきたので、初心に戻って光とその陰影について考え直し、もっとそれっぽい描き方を試行錯誤しているので、忘れないうちにメモ書き的な記事にしてみた。

 

カゲの見直し

陰影の一般論

 影と陰とは同じようでちょっと違う。一般的な陰(shade)はオブジェクトそのものにできる光の影響で、影(shadow)は光の道を妨げた結果できる他のオブジェクトへの影響ということになっている。つまり、その世界には光とそれを浴びるオブジェクトが少なくとも2つ以上存在して陰と影を作り出していると言える。

 つまり、光と陰影は光によって作られたオブジェクト同士の関係性ともいえる。

f:id:nipplelf:20201222165403j:plain

 しかし、それをより詳細に考えると、同じオブジェクトによって光が妨げられた部分については影なのか陰なのかはっきりしない(例えば右手で左手を光源から隠すと右手の影は左手の陰となりややこしい)。だから、厳密な意味では陰と影は分けられるものではなく、主体(例えばキャラクター)を決めて、それに対して陰と言うか影とするか客体(例えば背景)を選ぶと言った形になる。言葉遊びのようだが、何を中心にして物事を考えるかを決めることは大切で、それがボケてしまうと絵としての主体・言いたいこともわからなくなってしまう可能性もある。だから、こういった絵を描く際、大切なことは、常に光と陰が共存しており、明るければ同様に暗いところを作る意識ではないかと思う。

 言い換えると、立体的に絵を描こうとする際、大切なことが「お互いがどう影響しあっているか」という点で、パースや焦点やぼかしなど距離を意図する技法が存在するが、それぞれのオブジェクトの位置関係とそれが与える影響を理解しないと立体的にはならない。同様にして、陰影についても位置関係と光の当たり方と陰影の出来方は絵の一体感にもろに出る。例えば、夕日を背に立つキャラを描く際、逆光でキャラの顔に強い陰が差し、手前に向かって影が大きくなるが、もし、キャラに陰を描かないと異常な空間を作り出してしまう。

 つまり、陰影とは光が作る空間の物体の位置関係であり、絵はその状態をトレースしているとも言える。

 

今までの描き方と問題

 言い方を変えると陰は自らが作り出す光の影響だと思うんだけど、自分の場合、線画をできるだけ消して立体感を出そうとしているので、この濃淡には毎度悩んでいた。黒色のクラディエーションを使って曲面を作るが、その傾斜や曲がり具合で黒の濃さが変わるので確定的な手法がうまく見つからず、その都度調整することになった。

 方法としては影用レイヤーを別個で作成して基礎色を塗った部分にそれを重ねてゆくデジタル加工となる。レイヤーの不透明度の設定やいくつかの陰影用レイヤーを組み合わせることで、もし、複数のオブジェクトを重ねたとしてもそれぞれのレイヤーとパラメータを調整してあたかも一つの塊があるように見せることができる。構造が細かくなってもグループを管理できればかなり詳細な絵を描くことができるようになった。

 この調整をしっかりやると3DCGの様なくっきりとした境界面と立体感が確保できるので、キャラやオブジェクト単独で見るとしっかりした立体を作ることができるが、一方で、背景とそれを重ねた場合、画面からふわっと浮く様な状態になり、イラストとして考えれば結構好印象な絵になるが、普通の風景画やキャラ絵として考えるとその調整をした部分ばかり目立つ結果となり、絵としての完成度がかなり下がったり、凸凹とした印象を与えてしまっていた。重ねれば重ねるほど影は黒くなり、存在感を増す。

 つまり、この方法だと良し悪しは別にして目立ちすぎるのである。

nipplelf.hatenablog.jp

 

一応の解決法

 そこで、色々試したんだけど、解決法として影(他から影響を受けるということで影とする)に色を付けることにした。上記の方法を値として示すと、グループ(基礎色+黒影パラメータ)の煉瓦を組み、煉瓦の塊に再度背景情報の色を載せてグループ群(基礎色+黒影パラメータ、環境色、光色)となる。

 グループの黒影は色情報を持たない基礎色のみに依存した塊になっており、影は独立した立体の情報と見ることができる。これを変更して、グループ(基礎色+色影パラメータ)の煉瓦、グループ群(基礎色+色影パラメータ、環境影、光影)と言う形にした。

 やり方は簡単で、今までレイヤーを通常モードで使っていたが、それをすべて「乗算」に変えて、基礎色に変更を加える。

 色の数値的には今まで基礎色に依存していたものを色影を掛けることで、複雑化させて情報量を増やしてそれっぽさを出すことに成功した。

 もうちょっと簡単に書くと、色影を描く際にまずレイヤーパターンを「乗算」にして基礎色同じ色で光源と関係ない影を描く、それぞれグループを合体させてキャラが持つ色で新しいレイヤーに「乗算」で全体の色を塗る。最後に背景や光源の色でもう一枚レイヤーで「乗算」色を塗る。

 こうすると個体の色、背景の色、光の色の影響をそれぞれ受けた影が複雑に絡まるのでそれっぽい仕上がりになる。

 

使い分け

 陰影を黒に乗算カラーを加えることで、陰に幅ができた。この黒レイヤーと色乗算レイヤーは一見同じ陰影を作っているように見えるが、使い分けることができる。黒はつまり白の対比なので、強い光(全波長)に対する影響と言え、最も光が当たらないことを示している。一方で、色レイヤーは基礎色の影響が陰となって出たものなので、物体との対比となる。そのため、しっかりと境界を意思傷ける際は黒レイヤーを使い、なんとなく立体を意識したい場合は色レイヤーを使えばいい。

 つまり、柔らかい画質を意図すれば色レイヤーだし、シャープな境界を作る際は黒レイヤーを使うことになる。

 陰が作る領域は陰と影で分けるのではなく、何が陰影を作るかと考えたほうがメリハリの付いた立体感を作れると思う。

 

距離のある陰影

 上記の方法はキャラクターの色塗りの際に結構有効で、深みのある表情や細かいアクセサリーなんかを作る際にはキャラクターと一体感を持たせることもできる。

 ただ、これはあくまでグループ群…つまり、一つのオブジェクトをもう少し細かく分けて色塗りをした際に発揮する方法で、背景やもっと距離のあるものを考えた際にこれを使ってしまうと複雑になりすぎて描ききれない。

 例えば、キャラ近傍ならイヤリング・耳・髪の毛みたいにせいぜい3種類の相互関係を見ればいいけど、それを10種・20種と広げると収拾がつかなくなる。

 そこで、ミクロから離れて割かしマクロな色付き陰影を考えると、いくつか方法が浮かぶので書いてみる。

 

陰ぼかし

 以前の記事で、絵全体で中心となる色があれば絵に一体感が増すと書いた。

nipplelf.hatenablog.jp

 これは陰影や光の効果と言うより、イメージをより分かりやすく色で表現したものだが、陰影についても同じようなことが言えるのではないかと思う。

 背景で距離感を印象付ける場合、遠くの山に空の色を塗ったり、色を入れて全体の輪郭をわかりにくくして色でぼかす。

 これは色のついた影にも応用出来て、強い光源に対してはその光源の色と同じ色を乗算で陰影として充てるが、いくつもオブジェクトを介した弱い反射光に対しても薄くとも陰影をつけるべきである。

 ここで問題となってくるのは、その反射光とはいったい何色かという点である。黄色の花を反射してから青い花を反射して、赤い花に映る陰っていったい何色なのだろうか?はっきり言って自分にはわからない。

 そこでそういった全体的な光に対する陰影は全体的なイメージカラーに対しての陰と言う位置づけでザっと暗そうなところを塗ってレイヤー不透明度を下げると暗い部分がボケて一体感を出すことができる。

 ちょっとしたことなんだけど、イメージカラーに対してイメージ陰影があると全体が落ち着く。

 

光あて

 一体感のある絵を作ると最終的にはとてもぼんやりしたものになる。環境光とその陰影や、イメージカラーとその陰を塗ると色合い的にはとても落ち着いて重厚感のあるものになってくるが、逆に言ってしまえば華のない絵、陰影がよくわからない絵になる。

 だから、陰を強調するためにも再度アクセントを付ける必要があって、真っ白をどこかにほんのちょっと描き込むと一気に絵が締まる。

 どこにするかはその人次第だが、やはり絵の中心部分にそれを加えるべきだろう。キャラクターの絵なら、瞳にほんのちょっと白いブチが入ることで今までの陰影が一気に効果を持つし、夕日をイメージしたものなら、それが作る陰影を効果的に作りたいだろうから、その境界部分にほんの少し白い境界線を足すだけでそこが絵の中心になる。 注意すべき点はたくさん描いてしまうとそれに全体が引っ張られてしまうので、あくまでアクセントとして人間の眼がぎりぎり理解できる程度加えることだと思う。

f:id:nipplelf:20201222180810j:plain

(最後に猫の瞳の輝きをちょっと足すと印象的になった)

 

終わりに

 こういう考えをまとめると、ちょっとだけ前進した気分になるけど、依然として素人の域を出ないのはなかなか悔しい(;´∀`)

 まぁちょっとずつそれっぽいのを作りたいなぁ( ^ω^)・・・

 

 

☆エロ同人CG販売中

 

COPYRIGHT Nipplelf ALL RIGHTS RESERVED.