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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

より良い距離感と奥行き

絵を描きこみすぎて肝心の見せたいものがぼやける時がよくある。どのくらいの描きこみやレンズ的焦点がいいのかなぁなんて悩みを書いてみた。

 

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(今週の一枚)今日の晩御飯は魚だな🐱(pixiv

描きこむ距離感

 距離感を意識させる方法は様々ある。パースを組んだり明るさ・色の強度など絵の技法は様々あるが、一つのオブジェクトに焦点を絞っても、遠近感を考えることはできる。

 最近特に感じることは、絵の細部を描きこんだとしても、見た人の印象に残る場合は意外と少ないという点である。絵を描く際、何らかの情報をデフォルメしてわかりやすくアウトプットして初めてわかりやすいもの、理解されるものになりえる。そのため、要点・注目点を意識しないで細かく描いてもあんまり意味がない。

 そういった視点で考えると、オブジェクトの模様や立体感にこだわって絵を細かく描いてゆくことも意外と価値を見出すのは難しい。

 例えば、「木を描いてください」と言われて描く木と、「距離感が分かる木を描いてください」と言われて描く木は違う。

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(自分の一番楽な木の描き方: 筆先とブラシのパラメータを少しいじる)

 

 自分の簡単に木を描く方法は上の絵のように葉っぱっぽい筆先を選んで、登録したブラシパラメータで丸を書くようにペンをなぞる(右上)。その像をぼかしたりコピペして重ねたりすれば完成である。

 単純に「木」そのものを見る場合は右下のコピペして作った木の方がそれっぽいが、どんな距離にあるのかはわからない。一方、左下のぼかしをいれた木は、それ単独ではよくわからないシミに見えるが、距離感を考えるとあぁ遠くにありそうだなということが分かる。

 やはり遠い位置・近い位置、焦点のある位置での描き方や絵全体の遠近感の有無で描き方・使うパターンを持っておかないと楽には距離感が作れないなぁなんて思う。

 

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(しっかり描きこんだ木: 周りが厚塗り調な分、木が浮いて注目される)

 

 しかし、絵全体の奥行きを維持しつつ、そういった距離感やその他オブジェクトの焦点を無視して描くのもアリじゃないかと思う。

 上のように敢えて木を描きこんで猫と木の二つの注目点を意識して作るとパースに反して焦点がおかしくなるが印象としてはそれっぽいメルヘンな作品になる。これを風景画として主張するとおかしなものになってしまうが、ふわっと優しい絵なら納得してもらえるだろう。どういったコンセプトで絵を作るのかや何を言いたいかであえて距離感を壊すことも大切なんじゃないかと思う(写真じゃなくて絵だから)。

 

焦点を絞る

 キャラ絵を描く際、当然、キャラにできるだけ注目を当てたい。厚塗りや油絵のようなボケていたものを徐々に描きこむことで実体化させる方法では見せたい場所と描きこむ場所が一致して、描きこむほどより鮮明に奥行きを作ることになるが、デジタルお絵かきの場合はレイヤーを多数重ねることで、そういった領域性や方法論を無視して描ける分、手順によって注目点を作ることは意識しないと出来ない。

 もちろん、レイヤーを一枚で描ききったり、都度レイヤー合成しながら描く方法もあるが、絵心のない自分には何度やってもできないので、背景とキャラなどを別々に書いて最後に合成することになる。

 そういった場合、絵の距離感を見せるためには情報量(ぼやけいているかどうか)とカラーコントラスト(鮮やかかどうか)なんかが大切になる。そのため、せっかく描いた背景もぼかしたり、見えにくくすることになるが、それをどこまでやるべきかの境界ははっきりとしない点でとても悩む。

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(背景ぼかし比較: 元絵に対して別々のぼかし方でキャラを強調する)

 

 例えば、上図のように今週描いた絵を考える。この絵では右上を完成品として出しているが、左上の元絵に対して、背景をぼかしてキャラに陰影を加えてキャラを強調している。しかし、もっと遠近感や自然なイメージを出そうとするなら、右下の背景をよりぼかすべきだし、疑似的にキャラに焦点を当てるなら左下のように背景を一色で薄く塗り潰して手前のキャラに目線を引っ張るべきである。

 こういった調整のバランスと見やすさはなかなか平衡しないので、キャラ絵として考えるなら、後ろの背景は描かなかった方が絵としてよかったのかもしれない。

 いずれにしろ、強く見せたい点があるならばそこの注力して他を情報量を削るべきだし、それによって絵の中に空間的距離感(ぼかし)と心象的距離感(見やすさ)を作らないとぐちゃぐちゃしたよくわからない塊になので悩ましい。
 

 

焦点を絞らない

 以前の記事では絵として色やイメージなど対比を作ることで見やすく評価される絵を作ることができるのではないかと書いた。

nipplelf.hatenablog.jp

 この中でイメージを描きこむ→削る→描きこむ→削るという繰り返しを行うことで対比をより鮮明にして、絵としての厚みができ、質が増すことで評価がとても上がることを実演した。

 しかし、絵の中の実体的立体感・奥行きを考えるとぼかしを使って描きこんだものを見えなくして、どこか一点に焦点を絞らないといけなくなる。

 近くと遠くに見せたい対比がある場合、厳密に絵に空間的中心を作ろうとすると対比がなくなるというどうしようもない状態になるのだが、上の木とクロネコの絵のようにそういったものを無視しても絵としては成り立つ。

 写実的な絵になればなるほど焦点がネックになってくるが、写真で焦点がたった一点に絞られていないといけないかと言うと…そういうわけでもない。

 有名なところで言うと写ルンですの様な広角レンズを持ったカメラで写真を撮るとすべてがボケ、すべてに焦点が微妙にあっている写真が取れ、素人でもそれなりの写真を撮ることができることが知られている。

ja.wikipedia.org

  いわゆるパンフォーカスの写真のことなのだが、これの問題はやはりすべてに焦点があっているので、当然写真の中心がなくなってしまう点である。疑似的にこのパンフォーカス的な絵を描く場合、当然すべての被写体に焦点が当たっているので、絵そのものをすべて見てもらうようにすべて描きこむか、すべて同程度にぼかす必要が出てしまう。つまり、焦点での距離感を捨て、その他の表現方法で立体感や奥行きを作らないといけない。

 すべて描きこむ場合は先ほど言ったようにかなりの評価をいただけるような作品を作ることができるのだが、とにかく時間がかかり大変だという経験をした(;´Д`)

 一方、すべてをぼかすように作ることは自分の描き方だとただ単に雑な絵になってしまうという問題がある。

 結局、方法論としてはありだし、実際できるが…難しい。

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(パンフォーカス的絵: 描いてて楽しいけど大変、気合がいる)
 

終わりに

  色々できたらいいなぁと思いつつ、ずるして楽をしたい今日この頃。週一投稿を考えるとササっと書けるのがベストなんだけど、中々そうもいかない。

う~ん、無駄を省くセンスが欲しい( ^ω^)・・・

  

 

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