頑張って描いても仕上げがウンコだと、ウンコな絵になる。それっぽい絵に仕上げるためにデジタルでもう一工夫する方法について考えてみた。
(今週の一枚)猫山先輩の家には6匹の豆が隠れている(pixiv)
彩を納める
ぶわーとカラフルにすると素敵な絵になるが、組み合わせをしくじると毒々しいヤバい絵になる。さてどうしようかと言う話。
多色と少色
以前の記事で概念的にどうすれば印象のあるものを描けるかを考えてみた。
この記事では下のポンチ絵のように「色の状態の変化」を考えた。これは明度・彩度・色相の要素のバランスを考えるというよりも、なんとなく選んだ色に対して、どの程度近いものか遠いものかを自分の感性で指定して、うまく組み合わせましょうと言うものだった。
(右下の「いい絵」になるように絵の中で色の変化を考える)
しかし、実際に絵を描いている際にこういったバリエーションのある配色や変化量の調整をすることは難しい。そのため、自分のお絵かきレベルではメインとなる色は多くても3色にまとめないと図の右上の様なガビガビとしたものになるか、左下のなんだかもやっとした絵になってしまう。
例えば、キャラクターメイキングをするときは髪(瞳)の色、服の色をそれぞれ1色ずつ選んで、そのアクセントにもう一色程度が一番落ち着くだろうし、増やすのなら、そのメインカラーが目立つように配色することになると思う。
もちろん、色彩感覚が優れた方やプロのデザイナーの方など上手な人はその限りではないが、普通の特に訓練を受けていない人にとっては少ない色をやりくりする方がしっかりした絵になると思う。
(雪山の青と白:その他はアクセントとしてキャラや色を入れた)
…とはいっても、2,3色にすると絵はまとまるが、面白みが減る。だから、それを増やそうと色々遊んでみるのもお絵かきとしては楽しい。女の子が服選びに時間をかけるようにたくさんの色を使い、その組み合わせに悩むのは実は充実した瞬間・醍醐味なのかもしれない。
色を寄せる方法
色を増やしてゆくと大概くしゃくしゃになってしまうのだが、デジタルでやっている場合、それを補正できるのが強みとなる。一度完成したものをもうひと手間かけて「いい絵」に近づける具体的な手法を模索してみた。
コントラストを落とす
デジタルではとにかく印象度を極大化しようとしてハイコンテクストを前提としたものになってゆく。コモンよりSSRなものがいいという風潮である。
確かにすごく目立つんだけれど、それは色を限定したものを印象づける(線画や色の少なさをごまかす)方法であって、色とりどりの場合は逆にそれがあだになって絵が汚くなる。だから、絵に統一感を出す為にはいったん完成した絵のコントラストを落として、絵全体の色を落ち着かせて、もう一度目立たせたい場所などに少しだけハイライトを入れるとかなり効果的なものを作ることができる。
統一色を張る
絵…というか人のイメージには何らかの起点となる色があるようである。喜怒哀楽を示す色など感情や体調によっても見えてくる世界が違ってくる。絵や写真に何らかの感情的な意図を持たせようとしたときにもこういった世界観の色を持たせる場合が多い。
…とはいっても、最初からそういったオシャンティな意識高い系なんて普通は思いつかないし、面倒くさい。
そこで仕上げの時にちょっと処理をする。方法としては、新規レイヤーに自分がいいなと思う色で全面を塗りつぶして、レイヤー効果を「乗算」にして不透明度を10%にする。逆にその色だけを除きたい場合はレイヤー効果を「除算」にすればいい。
例えば、絵をもう少しほんわかした感じにしたいときはオレンジ色を張って乗算すれば全体的に色がオレンジ色方向に傾き落ち着いた色合いに変化するし、逆にほんわか感を除きたい場合は除算すれば、オレンジ色が除かれて殺伐とする。
(色比較:各項目でイメージが変わる。わかりやすように効果を強めにした。)
他にも全体に自分のイメージするテクスチャを張ったり、画像処理用フィルターで弄ることもできるが、直感的に統一感を出すならイメージ色からの調整が一番楽だと思う。
ぼんやりした絵をシャキッとさせる
できた~(^ω^)と思っても、なんか絵がぼんやりしているときがある。そんなときちょっとアクセントを付ける話。
境界を明らかにする
柔らかい線画を描いたり似た色使いをする時、どうしてもわかりにくくなる。そういったときは新たに境界に黒線を敷いたり、ハイライトの白線を充てるのもいいかもしれないが、最も簡単な方法はコントラストをあげることである。上げ方によっては色彩がビビットになってしまうこともあるが、さっとできる。
もう一つが白黒化→輪郭トレースというフィルターの利用である。アナログからデジタルに取り込む人が多いが、それを利用する。一度完成した作品全体を新規レイヤーにコピーし、色調補正の白黒化を行う。こうすることで不必要な色情報を除く。次にそのレイヤーに輪郭トレースをかけ、輪郭部のみをピックアップして、新規レイヤーのレイヤー効果を比較(暗)もしくは乗算にして不透明度を50%程度にする。元絵に重ねることで、境界部分が強調され、疑似的な線が追加される。
(輪郭部の強調: 色情報を除いたほうが境界をしっかり検出できる)
足りない印象を増す
出来上がったものがなんか物足りない時は多い。細かく描こうと大雑把に流そうと、印象が薄いものはサムネイルで見た際、よくわからないこともある。
そういった際には様々なエフェクトを付けるといい。いったいどんなものが…なんていう人が多いけど深く悩まずに、その絵の背景やキャラの状況・環境を意識して付ければいいと思う。季節をイメージするなら、絵の中に木がなくても落ち葉を付ければいいし、冬なら雪を降らせればいい。戦っているなら火花を付ければいいのではないだろうか。
大切なことは状況を教えることで、無関係(例えば春なのに雪を降らしたりする)なことをしないようにすることだと思う。
(風に揺られて落ちる落ち葉: 画面内には木がないが「秋をイメージ」)
終わりに
ちょっと気の利いたお絵かきソフトならトーンカーブやレベル補正などの写真補正用の機能がついているが、実際こういったものはピクセルレートが極端に高度であったり、情報量を調整するための機能であって、意外とお絵かきレベルの作品には効果がない。もちろんそういったものを使いこなすことも大切だけど、直感的にバランスが取れたほうがやりやすいんじゃないかと記事を書いてみた。
まっ、自分が一番楽と思う方法でやれるのが一番いいのかな(^ω^)
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