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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

絵の時間変化

絵は動かない。でも、考え方によっては時間的な変化をつけることができるんじゃないか…というのを考えてみた記事

(今週の一枚)袋の中身(pixiv

 

絵と写真と動画

 最近、ジオラマを作ったりカメラで写真や動画を撮るようになったが、それによって絵に対する見方・見え方というのが少し変わってきた。

 具体的には、印象に残るようにコントラストやエッジを際立たせるとかいう細部を意識した方法や変化を印象付ける効果や加工についての全体像の構成を意識する考え方が絵を描く際に頭に上るようになってきた点である。

 こういったカメラのデジタル技法を意識する以前、空間的な差異を意図的に作ったり実際にはそう見えないものを如何にも存在するように表現することは絵の仕事だと思っていた。しかし、実際はちょっと違っていた。写真であれ動画であれ像をそのまま取り込んで写し出す機能は限界にきており、レンズの物理的な像の拡張とデジタル加工による電子的な情報変更が当たり前になってきた事実を知ると今使っている絵の技能の多くがカメラの画像加工技術の使いまわしであることに突き当たった。

 例え、絵を描く人よ写真を撮る人の数が少なかったとしても、写真側は機械に大量の金をかけて様々な技術を日々開発しているので技術的進歩は圧倒的なのだろう。

 つまり、絵の技巧云々はすでに写真や動画の技術の模倣になっており、その技術や考え方をうまく取り込めれば今以上の素敵な作品を作れるのではないかと思う。

 …と、まぁ、それっぽいことを書いたけど、実際に写真加工するようには絵をどうにかするのはすごく大変なので、エッセンスをうまくパクッて絵に時間的な揺らぎを作れないかなぁと悩んでみた。

 

彩度の変化

 デジタルカメラではほぼすべての画像がカメラ内のA.I.でデジタル処理されて記録される。そのため、実際の像よりも写真のほうがくっきり見えたり目に強い印象を与えてくれる。

 時間的変化を強調する場合、自分が見た感じでは明度や色相よりもこの彩度をうまく制御しているものがいい写真なんじゃないかなぁと思う。

 例えば、お日様が水平線から昇降する際に日差しがパーッとあたりを照らして強いコントラストを作るが、その際、多くの光の乱反射があって色々な光線が乱反射して色彩が豊かになる。

 今まで日差しの絵を描く場合、自分はお日様の色は一色かそれに明暗が若干異なる色を添えて絵にしていた。しかし、上記の実際の光線の多彩さを参考にして時間的変化をより強調しようと思うと、多色にすることでより変化が強調されることがわかってきた。

 どこまで色を入れればいいかというのは今後の課題となるけど、少なくとも単色の場合よりも変化を強調できるし、逆に言えば、単色の場合、時間的変化を弱めて別の意図を込めることで絵のイメージを変えることができるのではないかと思う。

(青からオレンジまでをグラディエーションさせると変化が際立つ)

 

(単色にするとある一瞬が際立つ)

 

絵を割って繋ぐ

 自分の才能では絵の中にすべてのイメージを込めることはできない。だから、できるだけその内容を切り捨てて言いたいことを整理して描かないといけない。ごちゃごちゃ言いたいことがたくさんあっても、結局、その絵は言いたいことがよくわからない駄作になってしまうことが多々あった。

 これからいろいろ描いて行ったらスーパー芸術家になってすごいことができるかもしれないが、千年ぐらいかかりそうなので絵の主張は少なめにすることが正解なんだろう。

 カメラの場合、たくさんの写真を撮ってその中で一番いいものを選択したり、動画を長時間録画していい場面を切り貼りして一本の動画に編集する。一枚、数分の映像としては弱いがそういった組み合わせを重ねることで作品の厚みが増し生の像とは全く違うものに変質させることができる。

 絵に関しては言えば、1枚ではそういった変化や厚みをつけることがなかなかできない。そこで、数枚の連作ということで絵を描いて行けば時系列の変化をより際立たせることができるのではないかと最近考えるようになった。

 漫画的な会話を繋ぐようなコマ割りとは違って(それはそれでいいと思う)、一枚のそれぞれテーマがあってそれっぽい作品になっているけど、重ねてみてみると一つの大きな変化が生まれているような作りにすると結構面白い出来になるのではないかということである。

(視点と場所を変えると大きな時間の変化と情緒を感じられる?)

 

 どこまで条件を割るかというのは描く人によっても想像する情景によっても千差万別だと思うが、主張を限定した絵を描いて、そこから派生するイメージをうまくつなげることができればいいのではないかと思う。一つの絵はほんの一瞬をとらえるものだけど、頑張ってそれに諸々を全部込めないでもいいというのは気持ち的にはかなり楽になるのでお勧めできる。

 あれもこれもやらなければいけないというのではなく、後でやろうという感じ。

 

焦点の意味

 写真を撮る際、フォーカスをどこに置くかで写真の出来はかなり違う。例えば町の俯瞰写真を撮る場合はできるだけ薄く広く撮りたいので全体の焦点はすべての点においてボケ気味になる。また一方で、動物や植物などの決まった被写体が存在する際、あるきまった部分に焦点を当ててそれ以外はできるだけぼかしたい。

 時間的な変化を意識する際、今まさに動こうとしているとか、動いている瞬間を取る場合はさらにその焦点が限られてほんの一部分しか焦点が合っていないなんて作品もある。

 絵では厚塗りのようになんとなくぼけているものやとにかく描き込んですべてに焦点が当たっている作品はよく目にする。しかし、ほんの一点のみ焦点が当たっていてもそれはそれできわめて動きのある作品として成立するというのは自分にとっては発見だった。

 これを参考にすると、全体がぼけている作品や全体がはっきりしている作品は時間的変化がほとんどないかゆっくりしている作品ということになる。

 激しい戦闘シーンなら大体の像を描いて、動きの方向を意識して意図したい場所や主張したい部分を描き込めばかなり躍動感のある作品が描けると思うし、全体を描き込めば描きこむほど時間の流れがゆっくりになると考えれば穏やかな作品を描く場合は描きこむ量を多めにとったほうがいいということもわかる。

 ちょうど今週描いた「今週の一枚」は猫の部分だけフォーカスして後はぼんやりさせた。猫が次に動き出すという意図である。しかし、これはインチキ焦点で、本来なら手前の猫と奥の猫の焦点は絶対に合わない。でも、こいつら全員の絵の中心としようとすれば、猫たち全員をくっきりさせたほうが絵として印象度が上がる…はず。これによって猫たちが次の瞬間何か悪さをしでかすかもしれないという緊張を作れたのではないかと思う。

 

終わりに

 今どきは何でもかんでも加工前提だけどそれについていくのも色々大変だなぁなんて感じた(;´Д`)

 自己流の描き方を持たない自分にとってはまだまだ修行の道は長そうである(^ω^)

 

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