ラフから完成までを考えると少しエロい顔のヒントが見えてくる気がする。そのヒントとアニメ的なヒラメ顔を比べてエロさを考えてみた。
(今週の一枚)暑い夏、キーン(pixiv)
前回は顔の各パーツについて考えを広げてみた。表情の変化の大きさをエロさの強さとするなら、やはり基本の顔はよりのっぺりとした方が次の変化には大きな印象を与えることができるのかもしれない。
そこで今回はラフから完成までを考えて、漫画によく出るのっぺりとしたヒラメ顔の良さとその限界からエロさの打開策を探る。
ラフから完成まで
ラフ…といっても自分の描くものはどうもヘッポコで、あぁエロいなとかかわいいなと言ったものをなかなか描けない。これは今まで全く絵を描いてこなかったおっさんが急に絵を作り始めたことが原因で、絵を描く10代よりもレベルが低い。基本的な技術不足と経験値の圧倒的な不足から来るものなので、まぁしょうがないと思うことにしている。
(以前書いた顔と表情変化:特徴がなく顔の角度とパーツの大きさがあってない)
このラフに色を塗ってパソコン様の御力でどうにかそれらしい一枚の絵に仕上げてゆくのだけど、顔だけでなく体の各パーツが歪んでいるので、結局その多くをバランス調整に使っている。
(ラフを元に色を塗った正面顔: ギリギリ不気味の谷を超えた程度の出来)
ここで問題になってくるのはラフをもっと頑張るべきか、色塗りをどうにかするべきか、それとも完成した絵の状態に合わせて顔を補正してゆくべきかと言うどう時間を配分するかと言う点である。
素直な絵描きさんならラフの段階から何度も模写をしたり、自分がイメージをする姿かたちになるまで手癖を付けてゆくのだろう。自分の場合はあまり時間がないので、そういった基礎的なものをそもそも捨て、すべてを完成させてから補正している。絵を反転させ各パーツの整合性を見たり、あごのラインを崩してもう一度描いたり、全体の形を補正するためゆがみ機能を使って形を整えるなどである。
絵を描く人は各人に個性を持っているので一概には言えないが、こういったチェックポイント(書き直しポイント)を持っていた方が精度の高いものが作れると思う。
完成からの補正で見るエロさ
自分の方法は半ば写真加工しているようなものなので、普通の絵師さんとは全く違う絵の作り方をしていると思われるが、ラフで経験を積むよりも一つだけいいことがある。それは完成したものを完成と決めないでいいという点である。多くの場合、何かを作り切ることはとても難しいし時間がかかることだが、とりあえず完成させてしまって、それを直す方が作品の質は別にしても、作り切ったという実績と自分の中の完成までの道筋を意識できる。また、時間がなくても、もう完成している(直したいところがあっても)ので目標の期日にはリリースは一応できる。
(完成したエロい顔:エロいかどうかは別にして完成品がまた一つ増える)
こういった完成まで作り補正する工程はエロに関係するんじゃないかという視点で絵を見ると、エロさで必要になってくる点がいくつか見つかってくる。
一つは顔のバランスとそのバランスを壊すことである。整っているバランスを最後意図的に崩すことがある。ラフの状態ではなかなか気づかないが、色を塗る際、特に立体を意識してより飛び出す感じを作ろうとすると、必ず顔のバランスが崩れる。特にエロい顔は「変化」という点でパーツがぐずぐずに崩れたほうがエロい行為に対する変化が見て取れるし、そのクズれた場所からエロの中心点を探ることができる。
例えば、上の絵では瞳と口を極端に大きくして本来であればおかしな配置であるが、そこをエロの中心として見るとそれっぽく見える。シーンに合わせて崩れ具合を調整してもいい。つまり、読者の意識が強く強調部に行き、疑似的に視界の焦点が変化するのではないかと思う。
もう一つは基本色と影のバランスの変化である。男にしろ女にしろ見ているものは同じでもどこに意識を集中するかはだいぶ違う。男は瞳を、女は顔全体を見る傾向があるし、個人によってもフェチポイントは違う。絵ではそういったポイントを際立たせてエロさを強調するみたいで、それを強くアピールするにはできるだけ影を弱くする必要があるみたいだ。不思議なことに黒で影を濃くして立体感を増そうとするよりも、乗算で肌の色を重ねたほうが瞳を強く印象づけることができる。全体的に色合いを平たくしたほうがいいと言える。
例えば、上の絵ではアヘ顔ダブルピースをしているが、影が黒色の部分がほぼなくむしろ陰という意味ではフラットになっている。代わりに、ハイライトを強調点に多用してキラキラさせている。つまり、普通の表情では凸凹があって立体的なのだが、エロでは凹がなく、凸のみが目立つといいみたいである。
ヒラメ顔のエロさ
肉感的なものと絵で見る精神的なものではエロさの要素が若干違うんじゃないかと思う時がある。
日本のエロ漫画系の絵を見ると、多くの場合、バランスを無視したものが多い(爆乳でくびれずぎゴリラのような尻とか、まったく凹凸が見えない棒の様な幼体)。これはイメージに特化したものなんだろうと思うけれど、そういった強調や描き込みを見て顔に注目すると驚くほどにのっぺりとしている。一般的なエロを肉感的とすると、当然顔にも厚みが出てくるが、エロイラストの特にカラーでは極端に顔が平たく描かれ浮く。
(抽象化したイメージ対比:カラー画像では肉感的と平面的なのは顔に特徴が出る)
たくさんのエロい画像が世の中には存在するが、日本の特に今はやりのエロい絵の顔はビックリするほど凹凸がない。これは色の有無や顔の角度なども含めて、共通する概念で、行為が進むと本当に上の絵の右側のようになるものが多い。
意図があると考えると、こういった作品群は漫画やアニメのキャラクターの延長なので、アニメの顔からエロを押し出すと、どうしてもこういった表現に収束してしまうのだろうし、体液(汗や涙)が影を飛ばしてハイライトな状態を作るということなんだろう。
もちろんすべての作品がこういった状態になるということはないが、傾向としてはより右の状態になるということは間違いないと思う。
カラー化で大切なことは全体の色を赤め(興奮)にして、肌を含めたすべての色で色相や彩度の差を小さくすることと、瞳を強調するためにそれを大きくしたり、輝かせて、その他パーツはあくまで瞳の補助部品にするという点だと思う。
面白いことにモノクロの作品ではこういった極端に瞳に注力するものは減り、口が大きかったり、髪の毛がボサボサだったりと特徴の部分は作者で異なる。強調点という意味ではモノクロの方が多様性があると言えるのだろう。
モノクロ作品をカラー化する際にうまくいかない場合があるのも、こういった色による立体化がネックになっているのかもしれない。
カラーイラストのエロさとその問題
自分の絵を補正しても、他作者様の作品を観察してもはっきりわかることは瞳をどう強調するかという点がエロさには重要であるということである。
顔の角度にしろ、他パーツにしろ、どうやって瞳を際立たせ、そこにおっぱいや性器を見せつけるかでエロ度が変わる。また、カラーの場合、顔以外のパーツの傾向はより立体的で肉感的なものが好まれるようになり、その中でパーツを大きくしたり形を極端にして強調することで瞳の輝きと強調部位のエロさで一枚の絵を構成している。
上手な人はその顔と体のアンバランスの調整がとてもうまいし、ドキッとくるものはそのダブルタッチが充実している。
しかし、ここで問題になるのが、このアンバランスさである。
裸体をどうのこうのしてエロくする分にはどうにかその枠の中に収めることができるのだが、背景を入れたり、衣服を付けたりするとそのエロさが途端に崩れ、抽象画のようになるケースがたくさんある。
これは顔を平面化して、一方で体を極端なパーツ強調によって立体化している絵において、非常に微妙なバランスを取っているが、その作品にそれ以上の実体情報を加えるとバランスが破綻するためと考えられる。例えば、おっきなおっぱいにはおっきなブラジャーが必要だけど、そのブラジャーを描くとおっぱいの異常さに気づくし、立体的なブラジャーは平面的な顔の平面さを際立たせてしまう。
奇乳好きの人にはごちそうだが、それ以外の人には受けない。奇乳なのに奇乳に見せない工夫が必要となる。
よくある手は背景をその部分だけ描かないとか、背景輪郭や焦点を思いっきりぼかしてしまうことであり、もういっそ白地にしてしまう。こういった「描かないこと」がうまい強調に繋がるケースとなる。
例えば、前のコマでは普通の乳でブラジャーも普通(それでも大きいが)だが、次のコマでバーンとおっぱいが爆発的に大きくなる。そのコマではブラもどこかに消えて背景もない。ただデカい乳があるのである。
他にはもうバランスを無視して描き続けることや逆に各コマごとに巧妙にバランスを取り続けるものもあった。
いずれにしろ大切なことは「これ変じゃね?」と思わせないように、それ以上のエロさを与えるような構図を作ってしまうことなんだろう。わかっていて敢えて崩すことができるのなら一流なのかもしれないと思った。
終わりに
見ていると理解はできる。理解はできるんだけどこれが描けないんだよね(;´∀`)
まぁ文章にして描き方の取っ掛かりはできたので、徐々に作っていければなぁなんて思った(^ω^)
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