少しずつ調整してそれっぽいものを描こうとしてもなかなかこれだという顔にならない。その際にちょっと考えたことや小技を書いておこうと思う。
（今週の一枚）想いは炎のように熱く（pixiv）
前回は主に「鼻」に注目して、今風の顔の作りに寄せてどうにか好まれるような顔を目指した。少しはそれっぽくなったようにも見えるが、上手な人のエロさには全く及ばない。そこで今回はパーツの利用を主に考えてみた。
ちょっとした表情の考察
ヒラメ顔にしろ、リアルな人間の顔にしろ「エロい」と思われる表情と言うのは仕草を含め人類共通のものと言うよりも、一定のドレスコードやルールのようなものが各グループごとにあって、それに沿って認識を決めているような気がする。
例えば、ハンドサインを見ると分かりやすい。指を下にして手の甲を相手に向けてクイクイと指と動かすと、自分としては「こっちにおいで」と言う意思表示になるが、他の国に行くと目下の人に「あっちに行け」という意味になったり、「跪け」と言うようなかなり強めの意思表示になったりする場合もある。知らず知らずに習得した表現が実はある文化で特有な表現であることが間々ある。
こういった決まった動きの中で人間は喜怒哀楽や意思表示をするようなので、地域ごとや小さなグループごとに外から見てわからないジェスチャーがあり、新人が初めてそういった集団に所属した際は慣れずにおろおろする場合も多い。
エロサインを考えると表情や仕草の積み重ねと考えることもできる。エロい表情と言うのはそれこそAVにはAV仕草があるだろうし（歯医者に行って痛い顔がエロい顔）、エロ本にもエロい決まりがあり（すぐに絶頂する）、普通にふと女性が見せる行動（髪を触る仕草を意図的に男性に見せつける）にそれそれの異性がエロを見出すのではないかと思う。ちょっとお高い夜の飲食店のお姉さんに聞くと、笑顔よりもそういった仕草や会話の中に男を興奮させる単語やフレーズをチョイチョイ入れ込んで感情をトンと跳ねさせて会話を成立させるそうだ。異性間だけでなく同性間でもそういったやり取りがある様なので、多かれ少なかれ女性は表情も含めて相手の気を引くことを前提にコミュニケーションを成立させようと努力していると分かる。
そういったルールを見るに、人間と言う生き物に共通した意志を示す行動と言うのは意外に少ないことが分かる。眉を寄せて怒り顔にしていているシーンだと、怒っているのかと思いきや告白のタイミングで緊張していることもあり、絵や画像と意思が一致しないなんてことはよくあることに気づくのではないだろうか。
つまり、表情によって何の意思を指し示すのかが重要かではなくて、何かを伝えたいという感情の変化を示すことが重要なのではないかと思った。いつもと異なる動き、普段行わない姿勢などを発見した際、表情や仕草のより大きな変化を意思表示が起こったこととして理解すること・理解させることが大切なんだと思う。そういう意味で一時はやったあいまいみーの「ぬ」と「ね」の区別がつかなそうな顔がすごく参考になるし、一つの完成系とも思う。
その表情の差異に、セリフやエフェクト、その前後のシチュエーションを情報として差し込むことで一つの作品や意思表示として完成するのではないかと思う。
感情表現で大切なことはどんな顔をするのかではなく、どの程度変化させるかであるのかではないかと思った。
エロ仕草と変化
では、エロい顔を担保する「顔の変化」ではどんなものがあるのかなぁとつらつらとエロ本を見ると、作り手によって様々だし、これだっ！というものはあまりないがそんな中でも「エロ言ってますよ」と言うある程度決まった表現の概要はあるので書き出してみる。
パーツの大きさ
一番わかりやすい変化としては顔パーツの大きさの変化であると思う。
瞳、口、髪の毛など、本来動かないものがデフォルメされて形態ごと変わる。瞳は瞳孔が開いても瞳自体の大きさは不動だし、口腔は顎を動かせば変化するが、口そのものの面積は変わらないし、髪の毛のボリュームは不動である。しかし、変化として表現するのなら、元の顔と比較して変えてしまえばいい。
これはアニメ的な顔であっても、リアル系に近い顔であっても同じで、コマや絵で優先されることが整合性や美しさよりも何か変化を伝えるということだから成り立つのだろう。
リアルさを求めるなら瞳孔の開閉を書くべきだが面倒くさい。眼の大きいキャラクターだけでなくどんな眼のキャラでも瞳の大きさを変えることで表情の変化を伝えることができる。
パーツの大きさだけを変えても変化は伝わる。意図的にバランスを崩して見る人に何か伝えたいことがあると示すことができる。
色変化
人の顔は千差万別でその表情も様々なパターンが存在する。しかし、いくつもの指南書でそれらしく言われているように絵のみで喜怒哀楽を上手く表現することは素人ではほぼ不可能であり、例えそれができたとしても、見た人が同じような表情の意味を読み取ることができるかと言うと非常に疑わしい。上の考察で言ったようにあくまでこういった顔がこういった感情なんですよと言う前提があるうえでしか成り立たない手法であると思う。
そこで漫画を読むと白黒だけで様々な表情や変化を作っているが表現として独特である。困ったときには顔に斜線を入れたり、目のあたりに強い影を作って何か考えていますといった具合である。漫画はよくアニメ化されるので、そういった漫画的表現に加えて色相の変化を載せることで枚数を稼いだり、そこに音楽をジャジャジャジャーンと入れることで、あたかもそのシーンに変化が起こったように見せかける手法もある。
手法として様々なパターンが存在し、すごく奥が深いが、カラーイラストでは効果が半減する。表現が色に持っていかれるのでよっぽどコントラスト差やムンクの叫び的な強調表現でないと表現しきれない。そこで、エロの場合、その色を強調するが、肌の色、特に赤色が中心となる。もちろん、青色→赤色と言うのも効果的だが、エロ的視覚効果としては赤→真っ赤っかの方が情緒をゆすれるのではないかと自分は思っている。
体内面からの変化は血行が良くなって汗をかくことなので、お風呂に入っていても、運動しても、エロいことをしても赤くなって汗をかく。つまり、変化を最も表現するのは血行の赤色と汗の反射の白の増加だと思う。具体的な方法が顔や体型、コスチュームによって様々であると思うが、適当に２色を加えても十分な変化を作れると思う。
上のように赤と白を加えるだけでかなりの状態変化を示すことができるし、ここにパーツの大きさ変化を加えてもいいものができると思う。
実感として、カラーイラストの場合、白黒漫画的表現を加えるよりも色表現を強調したほうがエロさ（表情の変化）は増すと思うし、色を強調する場合、白黒で主要な役割を持った表現はむしろ足かせになるのではとも思った。
表情差分の瞳と髪
エロで多くの場合、可愛らしさを含めその変化の多くを担保するのは目と瞳になる。だから、その変化を様々な形で表現したり弄り回すことで個性を出したり、エロさが引き立つ。
上のように表情を並べてみると分かるが、瞳を含む目元を少し変化させるだけでイメージはだいぶ変わる。
さてここで問題となるのがもう一つの女の子チャームポイントの髪の毛である。目をばっちりかけても、エロプレイ中に髪の毛、特に前髪がくしゃくしゃにすることが多い。それをそのまま書いてしまうと目元が見えなくなり、せっかくのエロポイントが消えてしまう。
それをカバーする手法として目元の部分の髪を薄く消しゴムで消したり、髪に肌色を載せて一体感を出して髪を軽くするなどの髪と目のバランスを調整する方法があるが、一度やると収集がつかない、いわば職人芸が多い。
そこで、発想を変えてちょっとした小技を使ってズルをする（前段として顔と髪を別レイヤーで描く）。
方法はいたく簡単で、髪の上にコピペした顔を貼り付けて、顔、髪、顔のサンドイッチレイヤーを作る。一番手前の顔レイヤーを不透過度を変化させるだけで、瞳と髪のバランスを作れるし、部分的に強調したいならその部分だけ切り抜いてサンドイッチを作ればいい。レイヤーマスクや境界設定などのソフト由来の機能を使うのも一つの手であるが、コントロールが煩雑になるので、お手軽手法としてはいいのではないかと思う。
終わりに
表現で試行錯誤が続くがやっぱりこれだっという方法にはまだまだかなぁなんて気がする(;´･ω･)
上手な人はやっぱりすごいし、まだまだ山は高そうだ(＾ω＾)
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