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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

3DCGを作ってみよう その11

樹脂粘土を経験し、石膏粘土にチャレンジする過程で色々調べたり問題に直面して一歩ずつ改善したので、その際の経験を書いてみる。

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(今週の一枚)猫、ちびっ子ギャングに捕まる(pixiv

 

去年終盤から開始した立体造形の続き。

前回は手習いとして始めた簡単な作品の作業工程を撮影する機材についてまとめた。

nipplelf.hatenablog.jp

 

今回は少し高等な粘土作成を行おうとして悪戦苦闘しているので、粘土関連の流れについてまとめてみる。

 

粘土素材選び

 立体造形(フィギュアやプラモデルなど)の原型作りの真似事を一から始めている。そこで粘土を使うことにしたが、「硬化する粘土」は、有名なものは大きく分けて3種類があり、樹脂風粘土、石膏粘土、樹脂粘土に分けられる。それを簡単に書いてみる。

 

樹脂風粘土

 成分は酢酸ビニルエマルジョンと小麦粉と水となっており、海外では主に小麦粉粘土(flour clay)なんて言われているものに木工用ボンド(酢酸ビニルエマルジョン)を混ぜることで固まるようにしたものである。

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 この粘土は使いやすいが水分が抜けると一気に酢酸ビニルの重合が始まるので、作業する時間が短いため、楽に使える分、細かい細工はしにくい。また、ボンドなので樹脂としては脆く、大きなものを作るには向かない。比較的小さなもの(アクセサリーなど)を作る際によく使われる素材である。

 

石膏粘土

 石塑粘土、石粉粘土とも言い、微細な石の粉(タルクや炭酸カルシウム)同士が水分が抜けて接着することで非常に硬い塊になる。磨くことで陶器のような質感を出せるものがあり、乾燥前は比較的容易に成型できると同時に乾燥後に彫り込むことで様々な用途で使うことができる。

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 一方で問題もあって、水分が抜けることで硬化するため、粘土量が多くなればなるほどその水分蒸発に時間がかかるので、自然乾燥でかたまるまで何日もかかってしまう。また、比較的硬度が高いので掘り込みには技能が必要となり扱いが難しい。

 

樹脂粘土

 ポリマークレイと呼ばれるもので、主に塩化ビニルを主成分としている。熱による重合反応の促進でポリ塩化ビニルとなり硬化する。熱を加えなければほとんど重合反応が進まず固まらないので、その他硬化粘土と異なり時間を気にせず作品の細部を作り込むことができる。また、重合体が主成分であるため、溶剤によって簡単に溶かすことができ、成型に至る過程で非常に簡単に表面処理をすることができる。

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 作り込むことに関しては非常に有利な素材であるが、一つ大きな欠点があって、それは熱を加える際に毒ガスが発生することである。塩化ビニルにはクロロ基、つまり塩素ガスの元がくっついているので、熱を加えると塩素ガスやそれに類する有機ガスが発生する。このガスをドラフトできる装置がないと危険だし、室外へ廃棄したとしても辺り一帯にガスを蒔くので市街地なら近隣に被害が及ぶ。化学反応処理または吸収出来ればいいが、個人ではほぼ不可能だろう。そのため、少しずつ(50g程度?)加熱するならいいが、大量の樹脂粘土を使うことは現実的ではない。

雑貨工業品品質表示規程(三 衣料用、台所用又は住宅用の漂白剤) | 消費者庁

 

粘土を実際に使ってみた感じ

樹脂風粘土の作業感

 比較的楽に道具や素材を集めることがができる樹脂風粘土を使っていくつかの小さなフィギュアを作ってみた。

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 まぁ案の定なかなかうまくいかなかったけど、一番の問題は作業時間が伸びると粘土が引っ付いたり、造形した作品がごそごそになってしまうことであった。細かいことをやろうとすると当然小さな部品が増えるが、その分、表面積が大きくなって水分が早く蒸発する。そのため、細かくなればなるほどささっと作業を終わらせないといけないが小さいのでなかなか作業がうまくいかず時間がかかる…という矛盾に何度も陥った。

 一応解決策として、

  • 手にワセリンを塗る
  • 粘土を常にラップや容器の保護下に置く
  • 作成手順を事前に決める

といったことで何とか作業はできる。水蒸気が飽和した密閉容器内でやるのも手かもしれないけど、お手軽粘土の意味がなくなるのでなかなか難しいという感じになった。

 とにかく完成イメージを強く持って短い時間で終わらせることを心掛けたいな。

 

石膏粘土の作業感

 とにかく硬い。

 実作業はまだ3回程度(いずれもお試し)しかしておらず、これだっという感覚はつかめていないが、樹脂風粘土とは感覚が全く違う。成分が石ころなので樹脂風粘土より重たいし、乾く前の作業でもスパチュラ(作業ヘラ)が簡単には入らない。でも、水を付けつつであれば急ぐ必要はないので、それなりに時間をかけて造形をすることができるのはかなり助かった。今回、高価なNewFandを使ったため、このような結果になったのかもしれないので、軽量石膏粘土を用いてもいいかもしれない。

 問題は乾燥後である。やはり硬い。道端に落ちている石ころよりは柔らかいが、やすりでサンディングしたり模様を彫り込むにはかなりいいものを使う必要があると実感した。

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 おしゃれに細い彫刻刀で…なんて考えていたが、実際に触ってみると自分の集中力では1時間と持たないことが分かった。まぁ、そういう時は科学と電気の力でごり押しである。

 

集塵ブース作成

 塗装をアクリル絵の具にするか、有機溶剤を含むスプレーで行うか今まで迷っていた。絵具なら多少の有機物質が揮発しても窓を開ければどうとでもなるけど、スプレー系は外にそれを廃棄する装置が必要で、判断を保留していた。

 しかし、今回、石膏粘土は想像以上に硬かったので、手持ちの電動リューター(プロクソンMM50)で彫ることにした。室内で掘削を行うと大量の石粉が出ることは眼に見えているので、当然集塵ブースが必要で、それに塗装ブースを相乗りさせて作ることにした(もう部屋はパンパン)。

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 買えば何万円もするので、今回は自作する。材料はできるだけ家にあるものを使うことにした。

  • ファン1(写真奥)8畳用サーキュレーター 定格出力30W
  • ファン2(写真手前)120mmUSBファン 2台 定格出力15W
  • フィルター キッチンレンジフード 不織布 
  • 物置アミアミ 猫用爪とぎ
  • 外装 段ボールとアクリル板
  • ライト 机の可動式ライト(ブースの上をくりぬいて透明ファイルで蓋)
  • 排気ダクト スポットエアコン用のダクトホース

…という構成にした。

 作業時、手前の斜めになった120mmファンでの吸気を前提としてその空気をブース奥に送る。そのため、ブース下段に空間があり奥側だけちょっと空いている。また、吸気しきれなかった塵や粒子はブース内に散るが、120mmファンの排気と合わせて、奥のサーキュレーターがまとめて吸い取って外に廃棄する…という理屈。

買ったものは猫の爪とぎ200円と固定用のガムテープ500円で収まったけど、フルで買っても探せば~6000円程度には収まるんじゃないかと思う。

 

 色々参照していて気になった点がある。こういったブースの排気性の問題は整流性の攪乱、つまり空気や粒子が手前に漏れる点(クルクル渦を巻く)を理解していない人がたくさんいたことだ。

 ガンプラ系の自作ブースでは換気扇用のファンを使う方がいるが、シロッコファンだと非常に高い(1万円以上)割には構造上排気性が低く、パイプファン排気型だと吸気性が弱いため単室排気には向かない。別に流体力学云々ではないけど、ファン手前に予備部屋を作るかダクトを含め直線状に配置しないと排気はうまくいかずスプレーした際、吹き戻しが必ずある。

 自分はその点を踏まえ、空気を球状にブーンと引いて直線的にブーンと出すサーキュレーターにした(同じような出力で2000円程度で安いし)。また、整流はある程度出力のあるファンを複数付けてコントロールしたので漏れはない。集塵性の問題も実際使ってみると石膏粘土粒はほぼ手前のフィルターに吸い込まれたのでばっちりだった。

 ただ、問題点はやはりあって、空調を優先しすぎて作業スペースが小さい点である。集塵を100%の性能で行うために手前のPCファンがあるアミアミに手を置いてその上で作業するけど、大体25cm幅での工作となるので物を置いたり余裕のある動きができない。

 この大きさが結構微妙で両手は置けるけど、ファンを斜めにしているので横に何か置いたりできないので微妙に効率が悪い。

 この斜めがちょっと問題で、目標にスプレーする際に手に持って行わないといけないし、複数に噴霧する場合、端に置くスペースが小さいので気を使う。

 これから作業を進めると問題もさらに出てくると思うので、改良は必要なんだろう。

 

終わりに

 準備ばかりでなかなか前進しないけど、デジタルと違ってこの辺が実物を扱う難題なんだなぁと実感している。

 まぁ、準備がそろえばバリバリ作品ができるはず?!(^ω^) 

 

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