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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

キャラをどう配置しようか悩む

絵を描いていると背景に対してどう配置したらいい絵が描けるのか悩んでしまう。どうすればいいのか、いくつかの視点から考えてみた。

 

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(今週の一枚)早くお母さん見つけないと(pixiv

 

キャラクターと背景の効果の差

 以前の記事では一枚の絵の完成度を上げるため、キャラと背景をできるだけ一つのものにして、物語の1シーンの印象をしっくりくるものにしようとした。

 煙などのちょっとしたギミックや光源を一体化にかかわる道具として意識することで個性が作れるので、応用としては小さい「汚し」を距離と共に入れることで絵の深みを作れるのではないかと思う。 

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 キャラを配置する際、この汚しは遠近感によって大きく変わる。より近くにキャラを配置する際はキャラから出てくるもの(汗とか目の輝きなど)の描き込みを増やす必要があるが、キャラを遠くに配置する際はそれが見えにくくなるので減らす必要があるし、背景が持つエフェクト(砂埃やほこりなど)を差し込むの場合は、キャラが近い場合はエフェクトを薄くして、遠い場合は濃くする必要があると思う。

 これはキャラクターから発せられるものと背景から発せられるものが距離によって見え方が変化するためで、様々なエフェクトを使う場合、どこからそれが生まれるかを強く意識したほうが絵の中に距離を作れる。

 線画の強い作風の場合はこういった効果を意図的に強く出して表現をすることもできる(例えばたばこの煙をしっかり描いてキャラの気だるさを表現する)が、背景との一体化を意図したものを描こうとするとキャラの距離感を意識したほうが絵としてはまとまる。

 

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 例えば、上の絵では手前の鴨と奥の狸が距離が差があるが、エフェクトとして同じ強度のパターンを使っているので、距離感が分かりにくくなっている。そのため、狸側にもっと強く風景からのエフェクトを入れるべきだった。

 

 イラスト調の絵にして、枠線を追加したり、ポップを大きくとったり、文字を差し込むことで、絵のイメージを強くとることも一つの手法であるが、自分の絵の描き方として、今までは動的なエフェクトと距離感の関係が少し曖昧だったと思うので、個性を高める意味ではちょっとした技術革新になると思う。

 

 

 こういった小技を使って1枚絵を作ることで絵がそれらしいものになりつつあるが、もっと見てくれる人にドキッとさせたり、う~んと考えてもらうためには絵の構成をもう少し工夫する必要がある。

 そこで、今回はキャラクターをどのように使えば、絵のテーマ性をあげたり、より印象の強い作品性を出せるかを考えてみた。

 

背景とキャラクターの位置

 絵を考えると風景画、コンセプトアート、イラスト、表紙絵やキャラクターの全身像などキャラの役割はその絵で何を言いたいかで大きく異なる。

 例えば、風景画はその景色の美しさを中心として写真のようにその場面を切り取る。一瞬を取り出した形になるので、出来るだけキャラはその絵の中に溶け込むように描き、場合によっては登場させないほうがいいことも多い。一方で、イラストや漫画の表紙などはその先にある物語を暗示するために、出来るだけキャラクターを中心に据えて、その作品を見ようか迷うお客さんに一瞬で強くアピールする必要がある。その絵の価値よりも広告的な要求ともいえる。そのため、出来るだけキャラを強く押し出し、それ以外の無駄なものを排除する必要があるので、背景などはなしにしてべた塗りにする場合が多い。

 つまり、この絵を使って何を言いたいかが定まれば、どのように絵の中にキャラを存在させるかが決まってくるのではないかと思う。

book.asahi.com そういった意味では、キャラの位置は作品のテーマの場所を示しているともいえる。

 では、実際絵のどこにキャラを置けばいいかと考えると、絵のテーマの前に、その絵で何をメインに使ってそのテーマを示すかで大きく変わると思う。感情を中心に置くのか、景色を中心に置くのか、劇のワンシーンを中心に置くのか、政治的主張か、漫画やゲームの宣伝か…など中心は色々ある。その中心をどうアピールするかでキャラが端っこにいるのか、奥にいるのかが変わる。

 例えば、感情をテーマにした作品で一番わかりやすいのはムンク「叫び」(絶望)であると思う。

 この作品のキャラクターは手前の頬に手を当ててくねくねしている人だけではなく、左奥にもう2人いる。くねくねおじさんのインパクトが強すぎて後ろの二人がかすんでいるが、絶望と言う感情を考えるとこの構図は結構参考になる。本来、本当に絶望している人はワーワー騒がないし、わざわざ我々に向かって何かを訴えない。ただ静かに絶望する。こちらに向かって何かをアクションをしている人は実はあんまり絶望していないが、絵の印象や評価を考えるとアクションしている人の存在が大前提となる。つまり、くねくねおじさんは釣り用のキャラ「不安な人」であり、本当に深い絶望は奥の人が担っているのではないかと思う。

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 だから、意図には2種類あり、キャラの位置としてはお客にアピールする存在が中心にあり、作者が意図したい意見などは横にそっと添えることで、ぱっと見る人とじっと見る人にそれぞれ感情をテーマの作品を見せることができるのではないかと思った。

 これは一例だが、評価を得たい場合は相手の感情を動かすため、中央の派手なアクションのキャラとそれを支えるものが大切となる。これによって絵の対比が生まれて強調になると考えることもできるのではないだろか。

 

キャラクターの数とテーマ

 キャラクターが存在する絵はそのキャラが何かをしている絵である。見つめたり、動いていたり、キャラが何か意思を持って動いている。その行為が絵の中心、テーマとシンクロすることで絵に意味が生まれる。例えば、背景無しでキャラがただ歩く絵があっとするとそれはモーションのシーンであり特に意味はない。しかし、そこに「ポンポコ商店へ」とテキストを入れれば、「ポンポコ商店に行きましょう」と言うイメージの絵ができる。背景を付けて、歩いている方向にキラキラとしたモノがあれば、そのポンポコ商店がキラキラと輝くというイメージが作れる。キャラと背景を組み合わせることでより明確に絵として言いたいことを強調できるのだろう。

 その組み合わせを考える際、どのくらいの数のキャラクターがいれば絵としていいものができるのかを考えると、まぁ当たり前の話だが、たくさんいればいい場合もあれば、たった一人いればいい場合もある。

 では、どのようなテーマがキャラの数を決めるのかなぁと思うと、たくさんキャラがいる絵とは社会性を持ったテーマがあるもので、キャラが少ない絵はより個人に対して焦点が絞られたテーマのものなんじゃないかと思う。

 キャラの多い絵のいいところはキャラそれぞれが行動しており、あるテーマに対してその集団が色々な意図を持っていると示すことができるし、全員が一つの方向を見ているとすれば、「みんながそれに興味がある」と言う集団の意思を表すことができる。しかし、問題も当然あって、とにかく描くのが面倒である。また、キャラが増えるほど情報量も比例して増えるので、ぱっと見て何を言いたいか見た人が判断できなくなる問題点も大きい。

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  例えば、上の絵は楽しいお茶会ちょっと前の絵であるが、ぱっと見てこれがお茶会の前だとはわからない。よく見ればもう少しすれば動物たちが席についてお茶会をすると分かるが、理解するには時間がかかるという欠点がある。見る人にジッと絵を見る余裕がないと価値が評価されない。

 一方で、キャラクターの少ない絵はキャラの行動自体が限られており、シンプルに言いたいことを行動で大袈裟に示す必要が出てくる。漫画の表紙のように「このキャラが漫画に出ますよ」と見せられるし、イラストで分かりやすい表示をする際はキャラの存在はよりデフォルメして視覚的にわかりやすく訴えることが前提となる。しかし、シンプルな分、それに興味がない人を引き寄せる効果は乏しく、そのキャラや行動に興味がない人にとってはいくらわかりやすくこちらの意図を示しても、特定の人からしか好意を得ることができないのではないかと思う。

 そういった意味ではユニバーサルデザインのいらすとやの存在はとても大きく、わかりやすいキャラクターがデフォルメされた行動をして、作者が伝えたい意図をわかりやすく視聴者に伝えることができる。こういったわかりやすさはキャラにしろテーマにしろとても重要なんだろう。

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 つまり、より強い主張やシンプルな意図があるテーマであればあるほど、キャラクターの数を絞るべきだし、テーマ性に対して受け身(見る人に自由にテーマを作ってもらう)であったり、そのテーマを強く押し出さない場合はキャラクターの数を多くしたほうがいいと言えるのではないかと思う。

 そういった使い方を理解したうえでどういった絵を描くべきかを考えると、ネットに投稿する場合はやはりキャラクターの数を出来るだけ少なくしたほうがいいのだろう。ネットで絵を見る人達はSNSを含めてほとんどが一瞬でその絵の価値を判断する。パッと見て綺麗とかドキッとするかを価値の基準にしている。複雑な絵であってもその複雑さはあくまでもおまけであって、本質的には引きで見た際の分かりやすさがないと理解してくれない。たぶんスマホユーザーがとても多いので、その小さな画面で見た際に理解できるかどうかがとても重要になるんだろう。

 

まとめ

 大切なことはテーマを決めるだけではなく、テーマを決めた際に何を使ってそのテーマを表現するかという点ではないかと思う。キャラクターと背景の関係はそれを繋ぐので表現方法よりもキャラと背景の関係性を意識したほうが表現の幅が広がる…はず。

 

終わりに

 まぁ色々考えたけど、自分に今足りないのは見てくれる人の気持ちにぷすっと針を刺すようなテーマを選んだり、キャラクターがその思いをどう表現させることをもっと磨くことなんだろうと感じた。

 もう少し見てもらって楽しいものを作りたいな(^ω^)

 

 

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