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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

武漢肺炎の流行を前に

コロナウイルスで世界は終わりだ~と発狂する前に一度冷静にこのCOVID-19の情報をまとめて備えようと思う。

 

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(今週の一枚)転移門で旅行できた時代もあったそうな(pixiv

 

騒ぎが一回りしてようやくまともな情報が手に入るようになったので、それを出来るだけ1次情報からまとめて今後に備えの足しにしようと思う。

 風邪とコロナと人口比

 「ヘックシュン!あ~風邪ひいちゃったよ」なんていう時、我々はどういった形で風邪・感冒を患うかと言うと、一時的に体の免疫力が弱り、外部から細菌の侵入を許した際に発熱などの症状を見せる場合と、体調に関係なく何らかの方法でウイルスが喉(下気道)まで到達・増殖して咳などの症状を見せる場合に分けられる。

 インフルエンザなどの比較的強い症状を示す風邪は後者のウイルス感染が原因となる。日常的に感染する弱い風邪の原因にもウイルス感染があり、そのウイルスも4種類あると言われてる。これがコロナウイルスである。このコロナウイルスの変種が近年発見されて、サーズ(SARS-CoV)やマーズ(MERS-CoV)として有名になった。このウイルスはいつも我々がかかってしまう風邪の症状よりも重篤な肺炎となる危険性があり、致死率も高いことから、世界中で警戒されることになった。今回、新たに見つかったコロナウイルスは上の6種類のさらに新種ということになる。

www.who.int

 さて、一言で風邪と言っても多様であるが、一番その症状として注意しなくてはならないのが肺炎であると思う。日本の死因の一位は悪性新生物(ガン)であるが、肺炎は4位で一年で10万人以上の人がなくなっている。

www.mhlw.go.jp

 また、感染(外部から病原体の侵入)によってなくなる数を見ると、2017年の総数が9033人でインフルエンザで2823人(下サイトの内訳でIn504+In505)、結核で2306人、感染性胃腸炎で2320人亡くなっている。医療が整っていた日本でもたくさんの人が感染症によってなくなっていることが分かる。逆に肺炎で亡くなる人全体を比べるとインフルエンザ由来で亡くなる人は3%程度ととても少ないと見ることもできる。

www.e-stat.go.jp

 人口統計から死亡人数を見ると、2019年は何らかの理由で137万人が我々の前からいなくなっていると考えてもいいかもしれない。つまり、1億2000万人も日本人がいるが、その日本人の1%が毎年死んでいるというのが数字的現実である。この1%を指標にして日本における病気や危険性を考えるのも一つの手だと思う。

 

新型コロナウイルスの危険性

  発見当初、病院でこの病気と判定された41人の患者のうち6人(15%)が亡くなった(ランセット誌の第一報)。これと前後して武漢市が閉鎖されたが、第2報、第3報と情報が開示され病気の症例や感染の程度が分かるにつれ落ち着きを見せた。

reader.elsevier.com

 今回の新型コロナウイルスはサーズやマーズと同様に呼吸器疾患を引き起こす大変厄介な病気として2019年の年末に中国の武漢で発見された病気であるとされた。共通する症状は発熱と空咳など風邪と同じ初期症状であり、50歳を中央値として比較的高齢層に症状が出やすく、20歳以下の若年層には症状が出にくいことがこれまでわかってきた。潜伏期間はおおよそ5日程度で、他の人に移す可能性は約2週間あり、発症すると約20%が重症化(13.8% severe disease 6.1% critical)する。その他80%はほとんど症状が出ない。

 また、中国の致死率の平均は3.8%とかなり高いが、その内訳を見ると武漢では5.8%と非常に高く、その他地域では0.7%となり、震源地とされる湖北省武漢市以外では当初予測していたより恐ろしい病気ではないと分かってきた(WHO コロナウイルスまとめよりpdf 11-12page)。

 感染力としては麻疹よりも弱く、感染後の重症化もインフルエンザに近いことから適切な医療を受けている状態で感染者にある程度の抵抗力があれば症状を緩和できる可能性もあり、WHOによる推定致死率も0.3~1.0%程度に落ち着くのではないかと考えられる。

 ここで浮き彫りになってくるのは、武漢での死者数・割合が極端に多く、疫学的データが引っ張られている点である。医療体制が極端に劣悪だったか、まったく別の病気か合併症を患っていたかなど新型コロナウイルス以外の要因が事態を混乱させたと強く考えられる。

 つまり、世界的流行を前にして、医療体制が崩壊しなければ大規模な混乱と感染死を防げるし、10年おきにあるインフルエンザの流行以下に抑えられる。しかし、武漢のように医療体制が一時的にでも破綻すると1918年のスペイン風邪や1957年のアジア風邪の様なパンデミックになる可能性もいまだある。

 インフルエンザと共に日本ではここ1か月(2020年3月)が勝負の分かれ目となる。

kansensho.jp

 

検査方法の是非

  テレビやネットをパッと見るとPCR法ですぐわかる!みたいな記事が踊っていたが、PCR(polymerase chain reaction)はDNAを増やして見えるかする方法であり、コロナウイルスRNAを遺伝子とするウイルスで、RNAではPCRがうまく走らない。自分はこの情報を見た瞬間に「?」となってしまった。

www.khanacademy.org

 調べると分かるのだが、巷で検査方法と言っているPCR法とはRT-PCRもしくはリアルタイムRT-PCR法であり、試料と試薬の準備がちょっと違う。

方法としては

1、サンプルを集める

2、サンプルからRNAを分離する

3、RNAをDNAにする(reverse transcriptase: RT を使う)

4、クローンしたDNAをPCRで増幅させる

5、電気泳動・染色か蛍光発光で測定をする

みたいな流れになる。

 

 プロトコルを見るとこの方法には問題がある。

 一つはサンプルを集める点で、ウイルスが少ないと準備中にウイルスRNAが分解されてしまうし、病気の特性上、上気道と下気道からサンプリングしないといけないが、それがしっかりできない可能性がある。

www.cc.kochi-u.ac.jp

 もう一つは測定法についてで、電気泳動で流してみる場合は感度が低く(DNA増幅のサイクル数によるが)、リアルタイムで蛍光測定する場合は感度が高い分エラーを拾う可能性が高くなるので最低3回は同じ試行をしないと存在の有無が判定できない。

catalog.takara-bio.co.jp

 そのため、研究室の実験的に検出するなら手段の一つとして有用な方法であるが、臨床で病原体の同定に使えるかと言うと、正直に言って微妙なところだと思う。

 もちろん、ばっちり感染して体内で大量のウイルスが増殖しているサンプルで検査をするなら応用の利くいい方法であると思うが、感染初期や軽い症状(ウイルスが少ない)だと判定には適さない方法であると分かる。

 最近、「全員に検査をさせろ!」と言う意見を聞くが、症状の出ていない人にはこの方法ではウイルスの有無がよくわからないので、やっても金と時間の無駄ということになる。

 陽性だった検査が次に陰性になったりするのはこの検査の感度には限界があるためであり、むやみにやったところで意味がない。

news.tbs.co.jp 

 政府のお達しで37.5℃超が4日以上の人は受診してくださいと言っているのは、上のように来てもらっても検査に価値がないからということでもある。

 

予防方法

  我々が行える最も有効な風邪の予防方法は「手洗い」である。 まるでどこからともなくウイルスが飛んできて口の中に入るみたいなイメージがあるが、ほぼ100%手からの感染か濃厚接触が原因で感染する。唾が付いたり、ウイルスのついて物を触った手で髪をかき上げたり、顔をひっかいたりすれば、その部分にウイルスが残り、その手で口を押さえればウイルスは喉に向かってまっしぐらとなる。

family.saraya.com

 その次に、たくさんの人が手で触る場所を洗浄することである。今回はRNAウイルスなのでアルコールで洗浄すればいいし、もし細菌なら次亜塩素酸で殺菌する。

pro.saraya.com

 次にマスクである。第一義はマスクはあくまで病気を持っている自分が相手に病気を移さないためにするものである。コンコンと咳をしても、マスクがその飛沫をキャッチして他人への感染を防止する。

 でも、多くの人はマスクをしていれば、他人から病気をもらうことを防げると考えている。これは一部正しい。満員電車で咳をされたり身近で話をしていれば唾が飛んできて感染するが、マスクはその飛沫の侵入を防ぐ。しかし、例え飛沫を防いだマスクを廃棄しても、マスクを取った後はしっかり顔を洗わないと顔の周りにウイルスがついたままなら結局感染してしまう。つまり、防護は一時的なものなのである。

 予防としてマスクを付けるなら、しっかり顔を洗うべきである。できないならマスクをしてもほとんど意味がない。

www.nikkei.com

 

どうしようもないデマ 

togetter.com

 またこいつらか( ^ω^)・・・政治ごっこは他でやれと思うが、一応書いておく。

 政府のダイヤモンドプリンセス号の初期対応や中国人入国の政府の指針は悪かったと言わざるを得ないが、それ以降の対応はおおむね落ち着いて集団ヒステリーをしっかり押さえている。小学校や公共施設の一次休止も過去のインフルエンザの傾向から考えれば至極当然の処置である(今回は子供の症状が弱いゆえに特に子供がウイルスキャリアとなって大人に広がる可能性も高い)。

www.cas.go.jp

 しかし、マスクの転売に始まる紙の品薄とか、はては国立感染症研究所が検査妨害をしているなど頭がおかしいんじゃないかというデマがたくさんある。

www.niid.go.jp

 こういったデマは愉快犯がいたり、虚栄心から出る嘘、テレビや報道で意図的に煽って儲けようとしたりと理由はあまたある。こういった連中は我々の不安を誘って社会を壊すいわば「公共の敵」である。

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5chスレより抜粋)

 

 極端な言説やそれっぽい陰謀論や猛烈な煽りを見かけたら、簡単に飛びつかずに1日待って別角度で確認したほうがいい。いくら不安でも即断は自分に損だし、我々の敵に利してはならないと思う。

gendai.ismedia.jp

終わりに

 当初のヤバいという噂は霧散して、インフルエンザ程度の病気ということが徐々に判明してきた。それでも重症化すると大変なので、しっかり気を付けたいということが改めてわかった。

 ・・・よし、1か月休みにしよう(^ω^)

 

↓1か月後の続きの記事

nipplelf.hatenablog.jp

 

 

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