先日、安倍総理が辞意を表明した。せっかくなので、行政・民主党・人口でこの政権の評価とこれからを考えてみる。
(今週の一枚)人がいなくなっても彼🐱はいる(pixiv)
自分のスタンス
自分は安倍晋三という人に直接会って話したことがないので、個人の性格がどうのこうのはわからない。そのため、共産党の運動員や旧社会党左派が言う「アベ下痢ぞう」みたいな罵事雑言には強く嫌悪するし、ネトウヨが叫ぶ「安倍さんは救世主」みたいなカルト宗教的フレーズにも寒気がする。
また、れいわ新選組の政策はまったく信用できないが、難病を抱える2人を参議院に当選させた意義は多様性の実現ということで憲政に残るものだと思う。
このように強い政治的ポジションがないため、安倍政権に対する評価は一歩引いたものになり、時代の流れの一ページを見つめるような感じになる。
その辺を踏まえてごらんになっていただければ嬉しいです(^ω^)
官僚・行政機構から見る安倍政権
安倍政権を単独で評価する人が多いが、自分はそういった判断をしないようにしている。それは日本の官僚組織の決定が基本的に過去と紐づけされているからである。難しい問題に対して行政が今までの判断をひっくり返す場合、内閣総辞職まで含めた政治決断が求められ、そう簡単に前の政権がいった事をひっくり返せないのが日本である。
例えば、新型コロナ対策でもはっきりわかるが、一度決定して少しでもそれを変更すると誰もが大騒ぎする。未知の病気の対策だから間違いもあるはずなのに、政府は絶対でなければいけない…誰も判断変更を許すことができないという異常さがこの国にはある。
そんな硬い流れの中でも、日本の官僚組織は大きく分けて2種類あると考えられ、一方は大東亜戦争後にできたアメリカ追従型の中央集権を根とした保守的な組織群①で、もう一つはプラザ合意(経済的敗北)後にできたアメリカから独立した選択をする革新的な組織群②だと思う。
以前の記事で書いたように、安倍政権は民主党鳩山政権によって作られた国家公務員制度改革基本法を利用し、内閣府をアメリカの大統領府のように強化し、今までにない力強い政策実現をしようとした政権だと考えられる。
この試みを見るに、安倍内閣は組織群②の革新的志向のある左翼政権と見ることができ、様々な政権主導の立法や発言は日本の独り立ちを強く意識したものと見ることができる。例えば、「戦後レジームからの脱却」をスローガンで謡い、地方分権改革 、憲法改正を訴え、価値観外交を進めた。
しかし、実際の政治的行動を見ると非常にアメリカに依存した行動が目立った。組織群①が従来意図してきた行動をさらに極端にしたと見ることもできる。例えば、トランプ大統領との個人的関係のアピール、自衛隊武器のアメリカ偏重、安保改定、各種貿易交渉などで、場合によっては非常に従属的な行動も多い。
このまだら色の行動(アメリカから独立を意図しながら強く抱きつく)が安倍政権の評価を難しくしていくものだと思う。革新的なことを言いつつ保守的な行動をとり、時に、保守的な発言をしつつ革新的な行動をとっている。
これは8年もの長い間の政権運営によって弊害かもしれない。前半に意図した日本を変える新しい制度を構想したが失敗し、後半には今まで維持してきた制度をなんとか立て直すことに成功した政権だと考えると分かりやすい。強い権力を手にしたことで、官僚をうまく使い分け、リスクヘッジに成功した政権と考えられる。
民主党政権との比較から見る安倍政権
とかく安倍政権と比較されるのが「悪夢の民主党政権」である。鳩山政権によりアメリカとの関係が破綻し、菅政権により原発が吹き飛び、野田政権により消費税増税が決まった。大不況の中、外国勢力が次々と浸透して日本の利権がはがされ、官僚が離反して行政が滞り、怪しげなヤカラが政府内で幅を利かせた。朝日新聞でさえ認める、まさに悪夢である。
本来、政治と言うものは利権の分配…もしくは奪い合いである。福祉政策を行うなら増税をするかその他政策を止めて資金を確保しないといけない。民主党の場合、その財源を高橋洋一が唱えた「埋蔵金」と言うものに絞ってキャンペーンを張って政権を取ったが、その埋蔵金はなかった。彼らは騙されたのである。
そのため、民主党は資金の捻出に国の資産を売却し、科学技術を含む様々な権利を放棄した。これによって福祉が充実した…と思いきやその逆になってしまった。子供手当作成と扶養控除変更により、実質的には子供のいる家庭の負担は増え、高校無償化により公立高校と文科省が資金難に陥り、高校教育の質が著しく低下した。
一事が万事こんな感じで、内政にしても外交にしても実験的だったため、「民主党=悪政」が我々の心に強く刻まれることになった。そのため、安倍政権が天国のように感じる人がいる。
しかし、安倍政権がそういった悪政をすべて排除したかと言うとそういうわけではない。森友学園問題では国有地の売却問題が脚光を浴びたが、このスキームは民主党事業仕分け時の土地売買が前提となっており、加計学園問題は民主党国家戦略室で策定された計画の延長線上の学部設立であり、桜を見る会の定員数増加問題は鳩山政権が大幅に増員したために起こった問題である。
報道を掘って見ればわかるが、安倍政権で問題となったものは多くが民主党から続く「ズル」を利用したものであり、これをどうとらえるかで評価が大きく分かれると思う。民主党が無能であることは間違いないが、その抜け穴を敢えてふさがなかった安倍政権を立派だととらえることはできない。良くも悪くも安倍政権は民主党政権の続きなのである。
人口から見る日本の現状と安倍政権
政権や行政体は人間あっての行政であり、国の本質は日本国民の存在である。政策は人の動態の写し鏡なので、国の人口動態から安倍政権の政策を見る。
日本では1990年代から生産年齢人口(実際に働いてお金を稼ぐ世代、15歳以上65歳未満)の減少が始まり、一方で年金受給などの社会的負担が急増した。所謂、高齢化、高齢、超高齢化社会のことだが、これによって政府の自由に使える金が極端に減り、行政は金銭的に早晩身動きが取れなくなるということが分かっていた。安倍政権はその過渡期でもっとも厳しい時期の政権と言える。
日本の人口減少もさることながら、この老若人口比負担増が大きくのしかかり、徐々に政策の選択肢が減る。たとえアメリカとの関係が良好だったとしても、国のシステム自体が破綻してはどうしようもない。これを変更して、どうにか国としての体裁を保つことが必要とされ、様々な議論や法案、実験的試行が行われた。
有名なところを列挙すると、公共事業悪玉論、フリーター推奨、グローバル化、介護保険導入、小さな政府、働き方改革、外国人受け入れなどで、色々言い方を変えているが、つまりは働く人を増やして、福祉を受ける人の数と割合を減らそうとしているのである。
安倍政権の政策はこれに乗る。乗るだけでなく、大きく法制を拡大解釈をして経済の活性化(働く人の数の増加)を目的として大量の外国人を受け入れ労働市場に流した。
これによって日本に住んでいる人間のうち約2%(251万人)が外国人となった。生産労働人口から言うと、3%以上が外国人ということになる。
これに関しては官僚の対立に関係なく、純粋に日本の経済を維持しようとすると必然的に外国人を受け入れることになるが、その道を大きく開いた安倍政権は日本の変化という意味で大きな進路変更をしたということになり、後の評価で大きな論点になると思う。
今から40年後には日本の生産年齢人口が3000万人減少する(7629万人→4418万人)。もし、今の経済・インフラを維持しようとするなら、3000万人の外国人が必要となる。その過程でたくさんの問題や政策見直しが起こるだろうが、その起点こそ安倍政権の外国人受け入れの決断となる。この点は現状では評価はできないが、とても大切な点だと思う。
総評
極端な人口構造の変化と共に徐々に衰退する日本において、様々な制度を変化させつつ現在の状況を維持しようというのは難しい。…と言うか、維持して変化させるというのは字面から言ってもおかしなことである。
その摩訶不思議な行動をとりつつ8年間もの安定政権を続けたというのは傍目に見てもすごいことだと思う。
難病を抱え、個人や家族を標的にした嫌がらせにも負けず、政治活動を続けられたのはひとえに彼の意志の強さなんだろう。自分は彼の政策には多くの点で反対であるが、歴史に残る立派な人物であると思う。
安倍政権のその先
マッチョな男の跡を誰が継ぐのかは知らないが、基本的には安倍政権が残した政策や活動の後始末をすることになる。具体的には新型コロナ対策、東京オリンピックの中止、アメリカ・中国との関係、伸長するロシア軍への防衛、生保社保問題など、これから顕在化する問題への対策と予防になるだろう。
その上で、人口減と外国人(特に中国人)増の中で、アメリカとの距離感をどうとるかが目途になると思う。
今後20年で人種構成や文化水準も大きく変わる中で、日本と言う国家をどう変えるかの指針を後ろに下がった安倍氏と共に考えていく人達が次の5年を担う内閣なんだろうと感じた。
終わりに
とりあえず、「お疲れさまでした」と言いたい。
でも、功罪ある内閣だったので、後始末もしっかりして欲しい。ついでに最後なんか政策を立てて、みんなの収入も増やしてくれたらうれしいな…
振返ってそんな私利私欲な気分になった(^ω^)
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