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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

補正予算を考察する

桜を見る会で肝心の補正予算審議がかすみ、我々がいったいどういった状況なのかよくわからない。そこで自分なりに補正予算を考えてみた。

 

 

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(今週の一枚)鬼は…内に入って飯食ってけ(pixiv

 

一応のスタンス

 こういう記事を書いていると変わった人がたまに突撃してくるので、一応自分のスタンスを書いておく。

 小泉・鳩山・安倍と続く構造改革派の官僚群とそのグループについては頑張って欲しいが、彼らの思ったように世の中は変わらないし、施政する彼らは儲けてはいけないと思う。また、消費税については個人の立場として反対で、経済の状態はその経済ブロックの人の数(生産労働人口/総人口)で基本的に決定し、その維持に行政や政治が必要だと思っている。

 そんな感じの奴が書く記事だということをご了承して読んでいただければ嬉しいです|д゚)

 

日本の現状

 日本はおしまいだぁ( ;∀;)という人から世界に誇る国日本(/・ω・)/と言う人までおり、「イメージ」は千差万別で日本国家に対してイマイチはっきりとしたものが見えてこない。そこで、補正予算を見る前にまず国のお金の現状と問題を簡単にさらってみる。

 

国家のお金

 予算・決算を見て判断すれば普通の会社のIRを見るように大体の状況は理解できる。ということで、日本のお財布・財務省から情報を探ってみる。

 財務省の財政に関する資料によると、日本国政府を一つの会社と見ると下の図のように平成21年以降歳出(使った額)が大きくなったが、歳入(入った額)が安倍政権の登場と共に増加し、平成24年以降公債発行額(新規の借金)が減少して財務状況が健全化しているように見える。

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財政に関する資料:財務省 より抜粋

 

 おっ!安倍総理すげえじゃんとなるが、抜粋したページのすぐ下のグラフを見ると借金の額がむしろ増えていて、急速に政府の収支が悪化していることになる。つまり、グラフに整合性がないため意味をなさない。

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 この手の議論を見ると意見は全く割れてしまうが、こういった資料と解説が項目ごとに異なることが原因だろう。まぁ、これは簡単なインチキで、親会社(日本国政府)の財務状況をよくするために子会社(地方公共団体)に本来払うべき分担金(地方交付税交付金)を貸し付け(特例公債)と言う形でバランスシートを綺麗にしたため起こったものだ。会社全体(日本の公的機関)の状況は昭和60年前後から一貫して悪くなっているというのが事実である。

 こういったレトリックを使う会社はよくあるので、ホールディングス、連結決算でグループ全体の収支を見てIRをチェックするのは基本であり、株式会社日本についても同じように調べてみると分かりやすい。

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(世界経済のネタ帳:日本の歳入政府債務残高より抜粋)

 

 消費税導入による歳入の増減や世界経済のグローバル化、災害の増加や日本の総人口の減少など様々な要素の亢進があるにもかかわらず、日本全体の公の体質は変わらず、一貫して借金体質であることが分かる。 

ecodb.net

 

財政均衡論は正しいのか

 この体質から脱却しようと骨太方針とか、政府の税収安定化のための消費税増税、逆に未来への投資と言って様々な施策を打って右往左往しているが、結果だけ見ると全くうまくいっていない。この状況において、貸し手の多くが日本国内にある銀行(つまり国民が貸し手)だから問題ないという意見があったり、はては現代貨幣理論(Modern Monetary Theory)なんてものがワイワイ出てきて、見ている分には面白い。

 しかし、実際は貸している銀行が国債の買いすぎで機能不全を起こし2008年の所謂リーマンショック以降国内のはっきりと資金循環が著しく滞ってしまった(金融庁PDF)。それをはがすためにリフレーション政策だ!と言って日銀預かりにしてみたけど、銀行による国内貸付状況は一向に改善せず、余剰資金を海外へ無謀な投資をしているため国外へ資産流出しつつある(大和総研PDF)。

 アメリカと比較して、東証の取引額の変化や日本全体それぞれ分けて出入りのフローを見ると大規模に誘導しているにもかかわらず徐々に国内でお金が回らなくなっていることが分かる。

 多くの海外展開している企業の内部留保がいけないという向きもあるが、よくよく調べてみると、どうも、その多くが中国国内で止まっていて、中国国内で稼いだ金を国外に持ち出せないでダブついているというのが本音のようだ。

www.jetro.go.jp

 こういった状況に至ったのは様々な原因(生産年齢人口減少、社会保障費の増加、グローバル化の帰着など)があるが、それを解決するためには財務省が唱える財政均衡論(入った分だけ使う)は歳入増加や借金圧縮に繋がらないことは一般政府(国地方と社保の合計)の合計額の推移を見れは明らかである。

 では、なぜこういったスタックが起こり、理想論的に財政均衡がうまくいかないかを観察すると解決策は意外と簡単に見つかる。例えば、宗教法人などからの徴税政府系企業の優遇の撤廃人材派遣業などの中抜き業の規制である(政府の○○会議・××委員会なんかを引いていけばいくらでも出る)。しかし、こういった見た瞬間にわかる日本国にとっての無駄も政治家(キックバック)や官僚(天下り先)にとって損になることをしなければいけないので、基本的にできない(誰しも利権は欲しいよね)。

 つまり、本来税制均衡することあまり効果がないが、それ以上に使わないといけない所の金を絞って意味のないところに金を撒いているので、とても苦しくなっているというのが日本の財政の本質だと思う。

 問題なのは均衡ではなく、何のためにどう金を集め使うかで、絞るなら投資効率の悪い点を見つけて削ればいいが、恣意的にやっていないためにぐずぐずになっているのだろう。これは医療・政府系投資・公共事業・公務員給与・税制・防災などほぼすべての点で非効率化しまくっている。

 

補正予算を見る

実際の歳入減からの補正

 安倍政権では基本的に本予算に載せられるだけ予算を載せて、補正予算をできるだけ組まないという方針を堅持している。

 しかし、今年は少し大きめの補正予算を組むことになった。今までの安倍政権の志向と異なり予算不足を補う面が非常に強く、経済の安倍と言われていた(自称)面でも正念場に立っているということが分かる。

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財務省令和元年度一般会計補正予算についてより抜粋)

 税収減の内訳については決算報告を待たないといけないので、はっきりとしたことは言えないが、ここ数年の実績を見ると少し強気で予算を組みすぎて失敗したというところだろう。

 

謎の歳出

 本予算の赤字分の補填を引くと、本来の補正予算額になるわけであるが、その内訳を見ると上の表のように3つの項目に分かれている。

 一つは去年相次いだ大規模な災害に向けての対策と復旧費用で、これは納得である。予期しない事故に対しては予備費特別会計)を充てるべきと言う意見もあるかもしれないが、早急に対策する必要があるため、本来の補正予算だと思う。

 次は経済下振れ対策ということであるが、一見まともそうに見えてウンコ💩である。多くを中小企業支援と農林水産業の海外ビジネス誘導に重きを置いているが、官邸主導の農林水産業の輸出力強化戦略に予算を付けたものとみていい。要はいかに中国に高く日本の農産品を売るかという方法論で、官民ファンド(天下り)を使えと民業を圧迫しているのである。

 最後はオリパラ後の景気減速対策である。この項目にはSociety5.0という聞き慣れない単語が踊っている。こういうカタカナが並ぶときは大概中身のない項目であるが、一応内容を見てみる。

www8.cao.go.jp

 上の内閣府のページを見ても、孫引きの科学技術基本計画(第五期科学技術基本計画PDFを含む)を見ても思いばかりで具体的な試案や方策が存在しない。

持続的な成長と地域社会の自律的な発展
国及び国民の安全・安心の確保と豊かで質の高い生活の実現
課題への対応と世界の発展への貢献
知の資産の持続的創出

が目標と書いてあるが、正直に言って妄想である。

 これはどうやら第4次産業革命の続きみたいな話で、ネットが発達したからそれに合わせて世の中を変えていこうぜっ!という思い込みの続きみたいな話となる。

www5.cao.go.jp

 スマート社会、IOTにICT、ビックデータにフィンテックと頭の悪い感じで横文字を並べて悦に浸っているが、まともに進行しているのが自動運転くらいで他は全く機能していない。スマート社会とは中抜きを外した効率の良い社会だが、人材派遣業や官民ファンドなどを政府が推進しているためむしろ効率が悪くなっているし、もしそれを志向するなら中小企業を大企業にするべく整理統合すべきなのに中小企業を支援している。IOTやICTには既存施設への莫大な更新予算がかかるために各項目について少なくとも統一規格を作る必要があるが、キャッシュレス事業を見るとむしろ規格をバラバラにしている。ビックデータに関しては個人情報保護と背反するので、共産国家の統制やGoogleの様な個人情報を完全に排除した行動傾向のみのデータが必要であるが、そういったものを集めている日本企業はない。

 つまり、4が破綻しているのに5に行こうとして予算を積んでいるため、まったくのムダ金になっている。

 

今年度の補正予算の価値

 2兆円を積んでいるが、実際に価値のある補正金は災害支援と氷河期世代支援くらいで後のほとんどが天下り団体への迂回融資みたいになっている。結構ヤバい(;´Д`)

 ざっくりいうと、半分が赤字補填(2兆円)で、1/4が災害支援(1兆円)で、もう1/4がこういった遊びへの投資(1兆円)ということが分かるんだけれど、本当に遊びへの投資は必要だったのかな?と思う。

 政府系投資は多くの場合ムダ金で、毎年何千億と言う額の金を浪費している。

www.asahi.com

 農水、経産、金融、観光、ITなど成功しているものを見つけるのが難しい。これは特別会計を含めた決算を精査しないことが原因であるが、今回の補正予算はさすがにあからさますぎている。どうして野党は突っ込まないんだろうか?

 

終わりに

 安倍政権の特徴として言っていることとやっていることが違うことが多い。そして、2017年あたりから悪い方向にそれが動き出している。…というか我々を馬鹿にしている。本来はそれを官僚や野党が突っ込んで補正したり、政権打倒するんだけれど、まったくやらない。

 表面的な桜を見る会なんてどうでもいいから、まじめに仕事をしてもらわないと、そろそろヤバいことが補正予算を見て分かってきた(-_-;)

 

 

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