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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

アメリカの銀行破綻についてつらつら思う

最近、アメリカの銀行倒産が相次いだ。なんでこんなことになっているか気になったので素人なりに調べてぶつぶつ考えてみた。

(今週の一枚)春月の雫(pixiv

 

 

銀行破産と不安醸成

 先日、シリコンバレー銀行が親会社ごと倒産した。一時的に取り付け騒ぎが起こったのは大きなニュースになった。

www.cnbc.com

 2008年以来の銀行倒産となり、取り付け騒ぎや連鎖倒産などの急速な周辺一帯の経済悪化が懸念されたが、FRB含めた規制当局の速やかな介入によって事なきを得た。

 同時期にシルバーゲート銀行、シグネチャー銀行が連続して清算、買収となったため、馬鹿がリーマンショックの再来だぁなんて騒いだ。しかし、そんなことは起こらず、粛々と業務の引き渡し手続きが取られた。

 

 これはそれぞれの銀行破綻が別々の問題を持っていたのに、時期が一緒だったので一色単に「連鎖している」と誤った認識からデマをまいたからだろう。証明としてそれぞれの経緯を簡単に書いてみる。

 

 シリコンバレー銀行はテック系のスタートアップ企業を中心に貸し付けを行い、シリコンバレーで最大の預金残高を誇っていた銀行だ。MBS住宅ローン担保証券)を含め預金運用を債権に回して利益を得ていたが、コロナショックによるアメリカの金余りでさらに預金を増やし事業を拡大させていた。しかし、その豊富だった預金が一時期急速に引き出され、わずか数日でショートして倒産した。

 

 シルバーゲート銀行は当初小さな地銀だったが、10年ほど前、仮想通貨取引を業態のメインに位置付けた銀行だ。大手仮想通貨取引所のFTXが爆発して以降業績が極めて悪くなり、儲けるめどがつかなくなったため、今回の清算手続き(万歳して顧客にお金を返して仕事を辞める)となった。

www.coindeskjapan.com

 

 シグネチャー銀行はプライベートバンクの傾向が非常に強く、ローンで成り立っていた銀行と言えるが、近年、赤字を出していたのに存在しない利益を分配していたという意味不明な状態が続き、マネーロンダリングを会社ぐるみでやっている可能性が指摘された札付きの銀行だ。赤字解消のため無理に拡大路線を敷いた結果、今回で「あぁついに…」というところだろう。

www.cnbc.com

 個別に見ればわかるが、これら銀行は全く業態も異なり、倒産理由も全く異なる。これをもって連鎖倒産、つまり、関連した取引銀行とその企業がつぶれるということは言えない。

 

なぜシリコンバレー銀行は倒産したか

 直接的な原因は一時的に大量の預金が引き出されたからだ。では、なぜ取り付けが起こったのだろうか。シリコンバレー銀行の破綻に関して一般的に流布されている説はいくつかある。

 

中央銀行金利上昇

 1つは、FRBが利上げを繰り返して金利が上昇したため、貸し出しを含めたフローがうまく回らなくなって破綻した…という金利上昇悪玉論だ。

www.forbes.com

 ただ、この理論には穴があって、中央銀行金利上昇と貸し出し銀行の金利上昇は相関するけど、それによる貸し出しの増減は必ずしも一致せず、要因の一つに過ぎないという点である。

 物価上昇を抑制するために中央銀行が金を貸し渋るとその他銀行も貸し渋り、貸し借りが少し滞るので物価が下落するという理論において、銀行の預貯金や貸し出しバランスが直接的影響を受けるのだろうか?

 預貯金がほとんどない投資系銀行ならそういったこともあり得るが、シリコンバレー銀行はむしろ預貯金額が多い銀行なのだから利上げによる影響は少ないはずだし、利上げが原因でこけたなら潰れる銀行がたくさんあるはずだ。しかし、実際にそんなことは起こっていない。

 

仮想通貨損失

 仮想通貨取引による損失の増加という説である。

 アメリカの多くの銀行は預金者に対しての利息が高く、それを払うために積極的に様々な投資をすることが知られている。その中で近年有名になった仮想通貨関連が新しい投資先となった。一時期、銀行収益の過半が仮想通貨由来なんて言われた銀行は多数あった。しかし、イーサリウムの下落や仮想通貨全体のバブルが終わったため、収益は大きく減ったことが知られている。

www.economist.com

 しかし、商業銀行が仮想通貨一本張りなんて普通はしない。同時期に清算したシルバーゲート銀行のように仮想通貨を専門に扱う業の出入り口用の銀行なら影響は当然大きいが、普通の銀行は金・先物・各種商業貸付など様々な金貸しをしているのでその影響は比較的小さい。

 特に今回の利上げの影響は全体のフロー(お金の動き)には大きな影響はなく、その代わりに投資をする品目が変わったことが目立った。例えば、仮想通貨から金への投資が増大したことが有名である。

 一つの焦げ付きで損をしても別で回収できることを考えると、シリコンバレー銀行が仮想通貨由来の損失だけでつぶれたというのは考えにくい。

 

仕手筋

 最後の一つは計画倒産や仕手筋の攻撃の可能性である。

www.nytimes.com

 金利上昇や仮想通貨の損失などでアメリカの銀行全体が弱っているのは間違いない。

 シリコンバレー銀行はかなりの債権を負債として売却して、一時的にバランスシートが悪化した。それを嫌って銀行に金を預けていた大手の客が資金を引き出してさらに手持ちが減った。ここまではよくあることらしく、その際、他のファンドなどにちょっと高めの金利で金を借りたりしてその穴を埋めることがあるらしい。この銀行は転換社債を一般に販売することでそれをしのごうとしていたようだ。

 しかし、今回、この銀行の一時的な資金不足(弱点)をつくように「シリコンバレー銀行はやばい!!!」と騒ぎ立てた連中がいた。この騒ぎはSNSなどを通じて一気に拡大して多くの人が預貯金引き出しを企図して、取り付け騒ぎまで拡大し、銀行は倒産してしまった。

 一般公開されている情報から騒ぎを起こすのはギリギリOKみたいだが、どうも今回の騒ぎは時系列として内部情報を前提として仕掛けられた可能性がある。

 つまり、なんらかの意図で内部の人間が情報を流して騒いだか、内部情報が盗まれてうまく空売りに利用された可能性がある。

 まぁちょっと陰謀論っぽいけど、なんとなく預金者が大騒ぎしてそれが大きくなってしまったと考えるよりも、引き出しが集中したことから、仕手筋が騒ぎ立てて銀行を殻割りしたと考える方がしっくりくるような気がする。

 

アメリカ経済と銀行の状態

 過程はなんにしろ、たくさんの預金者がビビって預金を下ろしたことで銀行がつぶれたことに間違いはない。この状態は非常によろしくない。今でもその「不安」は残っており、本来行わないFRBの直接銀行貸し出し額は依然として大きい。

jp.wsj.com

 物価高騰を収めるため中央銀行の断固たる金利上昇は変わることなく続き、このままいけばアメリカ経済の不安定状況は押さえられるのでは…という時に起こったシリコンバレーバンクの破産は未来が上向くという安心を不安に引き戻す効果につながった。

 どうなるかはわからないけど、すごく面白いなぁと思うのはお金の量よりもお金の動きのほうが経済に影響を与えている点である。

 たくさんお金があっても動いていないと価値が目減りするし、動きすぎると暴走しだすと言い換えてもいい。これが今回目に見える形で起こった。アメリカの実体経済は人口が増えつつ消費も旺盛なのだから好調である。また、それに対する貸し出しも安定的に行われている。とても健全だ。しかし、一時的にでもお金の出し入れに問題が起こると、不安が爆発して経済的にクラッシュしそうになっている。ストック(手持ち現金)が異常に少ないためだろう。

 お金は経済の血であるというけれど、もしかしたらアメリカ経済は糖尿病のような状態なのかもしれないなぁなんて感じた。

 いずれにしろ、2008年の金融危機の時とは異なり、FRBが状況を掌握しているので簡単にはアメリカ経済は破綻しないだろうが、意図的に不安を煽って相場を混乱させようとする輩はまだ出てくるような気がする。

 

これから

 預金引き出しが原因で銀行が回らなくなったんだから、銀行に別口からお金を貸せば銀行業は周る。…ということで、FRBは緊急で銀行に金を貸した。また、銀行にお金がなくて貸し出しができず市場にお金がないなら別口でお金を市場に撒けば取引が滞ることがない。…ということで、各国中央銀行がドルスワップを始めた。

 タンス預金している皆様方、どうぞ安心してお取引お願いいたします。という感じだ。

www3.nhk.or.jp

 これは結構すごいことで、今までであれば不安が意図的に起こされれば弱いところはいいようにハゲタカファンドにくわれていた。国、企業、個人にかかわらず貧乏は死刑だった。また、例えアメリカでも単独介入だけでは抜け穴ができて、そこから資金流出・インチキ売買が起きたのだろう。

www.jri.co.jp

 しかし、今回は協定により速やかに各国が協調して対応し、今までのように好き勝手にされないようになった。スーパーヒーロー大結集である。

 つまり、空売りを仕掛けた側が大損するわけで、資金の量によるだろうが投資会社一社や2社で済まない規模でチャレンジ側はずっこけるだろう。今回の失敗でいったいどこが大やけどをしたのか半年後くらいにはわかるかもしれない。

 ここからわかることは、近年続いた金融ヤクザのやり口はもう使えず、高金利で借りた金をめちゃくちゃな方法で増やすことは難しくなったという点である。

 ヤクザに金を貸した奴がこれからどう動くかで我々の生活の安定性は変わってくるだろう。貸し手がもっとお金が欲しいと言えば、戦争をするなり途上国に毒ガスをまいたりするかもしれない。国際金融としては結構な分水嶺なのかもしれないなぁなんて気がした。

 

終わりに

 デカイ殴り合いを見ていると、小銭しかもっていない身としてはなかなか儲けるのは難しいんだろうなぁなんて思った。

 あぁ5000兆円欲しい(^ω^)

 

 

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