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Breaking down の視聴方法を考える

格闘技イベント Breaking down 5が開催され盛況のまま幕を閉じた。普通に格闘技として見るとアレだけど、もっと別の見方がないか考えてみた。

(今週の一枚)天使を見つけた(pixiv

 

 先日、友人からBreaking Downってすげー面白いんだぜってなことを盛んに言われたから視聴したけど、自分としてはさっぱり面白くなかった。

 しかし、これは自分の見方が悪いみたいだ。そこで、この興業がどういうものなのか、どうすればよかったのかを考えて、元を取ろうと頑張ってみることにした記事。

Breaking Downの概要

 Breaking Downは、先日、第5回大会を開いたばかりの新興の格闘技イベントだ。総合格闘技・キック・ボクシングルールで我こそはという町の喧嘩自慢達が集まって試合をするスタイルがメインになっている。そのなかで、元プロの試合もあって、メインのスタイルとアクセントとなる試合が入り組んで行われる今どきの複合イベントともいえる。

 新しいイベント故、大会ごとにルールや試合スタイルが変更になるため、明確に「これがBreakingDownだ」と呼べるものがないが、その分、新しい何かが生まれる可能性を持っているともいえる。

breakingdown.jp

 試合に至る流れとして、募集、オーディション、煽りあい、試合、その後が一つのストーリー形式となっていて、試合時間は1分ととても短い。しかし、ただ短い試合を漠然と見るのではなく、戦う男たちの試合に臨む姿を見るドラマ形式になっている(なろうとしている)。

 宣伝・広告は選手ごとに各SNSを使い、主催はYoutubeと独自メディアを持っていて、多種の広がりで情報拡散を狙っている。

 

格闘技として

 純粋に格闘技としてみると、失笑の一言に尽きる。どんな武術・コンタクトスポーツでもまず覚えることは自分の身を守ることである。柔道なら受け身、ボクシングならフットワークディフェンスといった具合に自分がダメージを追わないことを前提に訓練する。その前提を持って戦うのが格闘技だ。

 格闘技や武術を始める多くの人がすぐやめてしまう理由が、恐らく、この防御がつまらないからだろう。でも、相手から傷を負うからどうしても基礎は必要なのだ。

 しかし、Breaking Downの試合は1分で決着をつけるものだ。これは何も知らない素人でも1分くらいなら立っていられるだろうという運営側の打算があり、それに合わせて戦うので試合は熾烈で危険なものになる。

 そのため、町の喧嘩自慢(〇〇経験者)を集めて戦わせるのは純粋にどっちが強いという点では面白いが、訓練された格闘技として成立しない。

 おそらくこの点がこの興業の最大の可能性であり、危険性だと思う。うまいことKnock Outできる素人選手、ぶっとんで転がるアホが集まれば多くの人が興奮するだろうが、首の引き方も知らない素人が平場でぶん殴られたら死ぬ確率も上がる。

 重大事故を避けるためには最低でも倒れた時の対処法なんかを教える必要があるが、教えてしまうと喧嘩感がなくなってつまらない。

 この矛盾をどうするかでこの興業のこれからが変わるのかなぁと思う。

 

スポーツ興行として

 日本のスポーツ興行は大相撲スタイルである。まず前提としてタニマチ・支援者があり、ジム・親方が選手を持ち、興行主がいて、観客がいる。分業している。タニマチが金を出し、ジムが選手を育て、興行主が箱を押さえて宣伝して、客が券を買って劇を見る。これはバランスするのがとても難しく、大相撲も両国国技館NHKがあって初めて成立する興行だ。

 例えば、総合格闘技イベントPRIDEを思い出すとわかりやすい。興行主は魅力ある選手・ジムと契約して客を煽りまくって儲けた。選手は演出も含め興奮する試合を作った。客は世界で一番強い奴を求めて興奮した。タニマチはフジテレビと反社で、彼らが中心だからできた手法なのだろう。しかし、週刊誌にチクられてフジが逃げてしまい、反社が上がりを要求し、客がそっぽを向き、資金がショートして消えた。社長の森下直人氏が突然死(笑)したが、反社と手を切ることが果たして興行の未来となるのか難しいところだったと思う。八百長・ばくち・薬物があって初めて成立するショーだったのだろう。

 この構図は多かれ少なかれ日本のすべての興行にあるもので、悪く言えばヤクザが仕切る猿回しをバカが大騒ぎする祭りが商業スポーツである。純粋にスポーツ化を目指した巨人と野球は凋落したし、タニマチが地域枠のサッカーはいまいち盛り上がらない。綺麗ごとでは我々は楽しめないのだ。

 そういった意味でBreaking Downを見ると独特だ。箱は個人の持ち物で演出はテレビ・ネットメディアの出向、宣伝は個人のYoutubeチャンネルで、選手の多くはジムに所属すらしない。ブックがあるにしろかなり控えめで、試合結果がどうなろうと筋書きはどうとでも修正できるようにしている。おそらく専属契約選手がいないからやばいと思ったらパッと切れるのだろう。できるだけ金をかけずに興行を開いており、いつでも畳めるようにしている。

 モンモン背負った選手が多い割に本物の出入りが見えないのは画期的なんじゃないかと思う。ネットの拡散力を使った新しいスタイルの興行と言えるのだろうと思う。

 

ショーとして

 格闘技としてはポンコツだが、ショーとしてみると独特の風味を持っている。

 最初期は試行錯誤を続けたが、この興業の知名度が上がるにつれて様々な素人やセミプロが旗を揚げようと応募してくるようになった。それに合わせて運営側もそれっぽいルール作りと演出をするようになったし、その演出にうまく乗れる役者が選ばれるようになったのだろう。

 アメリカで有名なリアリティショーはほとんどが演出で細部は個人のアドリブ芸にしているというのが有名だ。その亜種としてWWEのショープロレスがあるが、こういったものは連続性がありハマるとずっと見てしまう。しかし、最初から見ないとわからないという弱みがある。

 Breaking Downではそういった長尺の連続ショーではなく、1か月程度の連続性で企画されているのではないかと思う。運営は選考から大体の方向性を提示しているが、どこまでが演出でどこまでがアドリブなのかをわからないようにしている。1か月の間にある程度選手に自由を与えて、彼らに頑張ってアピールさせたり修正を与えたりして試合に向けた映像を作るようだ。

 この自由度がよく働けば、先行された選手は頑張って自己アピールして運営とともに大会を盛り上げ、Win-Win知名度と金をゲットできるようになっている。一方で、先行した選手が思ったよりもアホであった場合は、ただ興行の知名度に乗っかってバカをやったり、暴露をして自分だけ得をしようとしてコケる。

 この素人格闘家であり素人役者がどこまでできるかでショーの良し悪しが変わるので、編集前提としてもいい人がいるかどうかでショーの質は変わる。

 今のところ、スターシステムは取っていないので、どこまで群像劇で引っ張れるか、キャラが立った強めのヤンキーを見つけられるかが勝負の分かれ目になるのかなぁと思う。

 

楽しみ方

 自分は試合を見てつまらないと思った。しかし、これはこの興業を格闘技イベントとしてみたからだろう。

 日本の格闘技のレベルは高い。もちろん、アメリカのUFCなんかと比べると見劣りするが、各駅に一つずつ各種格闘技ジムがあることからも競技人口はとても多いことがわかる。そして、我々の目も肥えている。そのため、地下格闘技レベルでもかなりの猛者がおり、マイナーな武術競技でもすごい人がいるし、それを見る人も多い。

 そういった意味で、このイベントは見劣りするが、それらにないドラマ、選考から煽りを含めたバトルショーとしてみると面白くなる。

 馬鹿なやつ、カッコつけたやつ、怪しいやつ、どれか好みの選手を選んで応援すれば、疑似的にタニマチになれ、少額で1か月くらい応援できる。

 SNS投げ銭や有料視聴がメジャーになる中で、新しい応援・遊び方と捉えてこのイベントを楽しむのが一番面白いやり方なんじゃないかと思う。

 

 ドサ廻りでチンドン屋をするかつてのプロレス興行が今ではスター選手をそろえて、筋肉大好き女子やプロレスおたくを囲むような集中戦略になった。そして広く客を呼ぶには一般受けもするキャラ性と美しさが要求されるが、そういった偉人はなかなかいない。

 そういう意味では、スター性のあるキャラ、主人公が生まれればこの興業もガラッと変わるだろうし、それをみんなで支えて作っていこうと言うムーブメントがあれば楽しみ方がもっと増えるのかなぁとも思った。今のヤンキー同士のギスギスした疑心暗鬼状態と実はいい人アピールの落差だけではスパイスが足りないと思う。

 RIZIN朝倉未来選手は自ら仲間を集めて成功したけど、Breaking Downでは画面の向こうのみんなが支えることでそれを作れればさらに新しい可能性が花開くんだろうなぁなんて気がした。

 

終わりに

 お茶の水でヤクザの手下が入場券を手売りしていたころを知っている身としては隔世の感がある。試合に向けて、地元の応援団に入ったり、純粋に技を見るのではなく、軽い気持ちで知らない誰かに千円投げるのは不思議な気持ちだ。

 まぁ、井上尚弥みたいな英雄を崇めるか、小粒なヤンキーを笑うか…二極化したイベントは好みの問題なのかもね(^ω^)

 

 

 

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