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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

テレビはメディアとして終わったのか

物販の新聞の価値がなくなり、テレビも広告減少で限界がきているが、放送局とその番組は本当に終わっているのか考えてみた。

 

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(今週の一枚)春一番は妖精の歌声(pixiv

 

身の回りのテレビ事情

 今月、テレビを全く見なかった。朝のニュースなどで習慣的に視聴したり、なにか面白い番組を探して5分、10分と見ていたんだけど、今年は本当にテレビを視聴する時間・機会が減った。考えてみれば、ドラマもアニメもニュースもネットで事足りるし、何より嘘や大袈裟が多くて辟易としてしまったことが原因かもしれない。

www.excite.co.jp

 おっさん同士で話をすると、同じような答えやもうちょっとポジティブにもっと面白いものがあるからという理由もあった。10代やもっと若年に聞くと、そもそもテレビを見るという習慣がないという答えがあってビビった。

 ここからわかることは、もはやテレビは一般大衆のメディアとして成り立たなくなりつつあるという悲しい現実であり、このまま物販の新聞のように業態自体が破綻してゆくのではないかと言う予想もたつ。

 しかし、こういった問答はあくまで自分の狭い人間関係だけの話で、もしかしたら「普通の人」はもっとテレビ星人なのかもしれない。

 …と言うわけで少し調べてみた。

 

日本のテレビ事情

 「NHKをぶっ壊す!」と息巻いていた人たちは最近勢いが下火になって相対的にNHKが許される方向に行こうとしているが、それを差し引いてもNHKが意味不明なドラマやお笑い番組をやっていると変な気分になる。

 しかし、地味で基礎的な調査や公共情報を淡々とリリースする報道もあり、その点はしっかり評価しないといけないと思う。

 その調査の一環として、NHK放送文化研究所が出す国民生活時間調査はとてもいいものではないかと思う。

www.nhk.or.jp

 5年おきの調査で2015年が最新のものとなり若干のずれはあるが、生活様式の変化や傾向を見るうえでは最もいいデータ集ではないかと思う。この調査を見ると、徐々に日本人が外に出なくなって、家の中でどういったことが起こっているか50年単位の変化が分かるので面白い。

 調査によると、テレビの視聴時間に関して、全体の平均を見ると20年前とほぼ変わらず、自分の周囲の傾向と全く異なる結果となった。結構意外な結果である。しかし、表をよく見ると10~60代に至る年代でテレビ視聴時間が30分以上減少している(下の青枠)が、70代以上で視聴時間が増加しており(下の赤枠)平均をならすとあまり変化していないように映るようだ。

 

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NHK国民生活時間調査(テレビとマスメディア)より抜粋

 また、1995年に10代の人は2005年に20代となるので、各世代の年齢変化とテレビ視聴の相関を追うと、右斜め下に数字を追うことになる。これによると経年と共に徐々にテレビを見るようになることは世代間で変わらず、特に男性は60代になると一気にテレビ漬けになるようである(女性は段階を追って)。

 つまり、テレビは総体として徐々に見られなくなっているが、年齢によって視聴傾向が2極化している。また、視聴習慣がない世代も年を取るので、これからすごい勢いでテレビ視聴時間が減ることを示唆している。

 ハッキリ言えば、主婦と年寄だけがテレビを見る層になりつつあるともいえる。

 

世はインターネットなのか

 よく言われているレッテルで、「テレビや新聞はオワコン!これからはインターネットの時代だ!」というものがある。確かにテレビはつまらない。しかし、レッテルでの「インターネット」とはその先に何を示しているのかと言うのはあまり聞かない。SNSなのか、ネットテレビなのか、ECサイトなのか騒ぐ人によって異なる。何に使っているのだろうか?

jpn.nec.com

 そこで、上のNHKの調査を再び見ると、テレビの視聴時間減少が大きく見えるが、インターネットの利用において何かをしながら利用するユーザーが増えていることも同時に示されてる。おそらくこれはスマフォの普及によって生活の一部としてのインターネットがインフラとなり、ラジオやCDプレーヤーなどのマルチな役割を果たすことになっているように見える。

 そのため、インターネット上でもテレビ番組を見ることを考えると、既存の放送局の番組視聴は減っても、映像を見るという行動自体は減ってないと見ることもできる。

news.radiko.jp

 では、たくさんのコンテンツがある中で、我々はどういったサービスを利用するのかを調べると、実は一番がLINEでのおしゃべりだったりする(下のニールセンの記事でも同様)。YouTubeTwitter、Yahooと使う時間ランキングが続くが、多くの時間をネットを使った人間関係に使っている。

www.netratings.co.jp

 また、ニールセンが2014年にレポートしていた世界の方向性とは異なり、日本の場合はTwitterSNSの上位を占めるが、ソーシャルテレビ的な爆発性も予想より小さく、SNS中で情報回覧が完結する場合が多く、情報が集団の外部に波及しない傾向が強い。

 つまり、日本人が集団主義的と言うよりも、ごく身内の限られた情報に我々は興味を示し、その関連にある商品やコンテンツに手を付けるようである。そこにテレビやインターネットと言ったインフラの境目がなくなりつつあるというのが実態のようだ。

www.u-tokyo.ac.jp

 そのため、既存放送局が出すテレビコンテンツの優劣よりも、LINEや各種コンテンツがより身近な情報に触れる機会を提供ことが重要で、相対的にネットワークに接続する時間が増えたのではと考えることもできる。

 

アメリカのテレビから見る日本のテレビ

 安倍総理を見るまでもなく、我々はどうにかこうにかアメリカ人になろうとしている。言葉にしろ、生活習慣にしろ、食生活にしろ100年前と比べれば別の文化になった。しかし、テレビに関しては全くと言っていいほどアメリカのそれと異なる。

 アメリカのテレビ番組がどんなものが人気があるかと見ると、スポーツ、リアリティーショー、ゾンビ物と政治討論がだったりする。常に番組の入れ替えが起こっているが、高視聴番組の多くが10年以上続いているもので、手を変え品を変え看板を変えずに生活習慣の一部として番組を成り立たせている(下はある日のランキング)。

www.showbuzzdaily.com

 これは3大ネットワークからの解放、政治スタンスの明確化、ケーブルネットワークの拡大、インターネットの誕生など、大体10年おきに大きな変化が起き、日本とは全く違う業態に変わった結果、視聴者の選択ともいえる(NHK 米商業テレビネットワーク50年の軌跡より)。

 これらの番組を日本と比較してみると、アメリカで人気のある作品の特徴は「とても生活に近い」と言う点である。各スポーツはすでに生活の一部であるし、リアリティショーは移民や結婚・家政婦など、実際にいそうでいない人間を対象にしている。ゾンビ物も実はゾンビが中心ではなく、その中の人間関係が軸を握っている。

 より身近に、より有りうる可能性としての「if」を提示しているのが、今のアメリカのショーであって、日本でどんどん減っている層をうまく取り込んでいることがデータとしてはっきり出ている。

 

www.youtube.com

 例えば、アニメアダルト枠(有料)のBallmastrz: 9009は一見ハチャメチャでアニメフリークスを向いているが、アメリカだと60万人以上が各話視聴した。サウスバークよりもパロディーに力を入れてマイルドにしているが、基本的に現実への皮肉をコミカルに突っ込んで遊んでいるスタイルである。 

 

 こういったものを知って日本の番組を見ると、はっきりわかる点は日本の番組は身内に向かって作っているという点である。報道にしろバラエティーにしろ情報番組にしろ制作者側や広告主(番組内提供者)に向かって作っていることがわかる。

 報道は反安倍を多くが内包しているが、視聴者に新しい政治パッケージや行政の方向をプレゼンできていない。

 バラエティーは笑いを製作者や芸人が欲しい面白いものを求め、視聴者が楽しい・笑えるものを作らない。

 情報番組は専門でないコメンテーターをそろえ、出来事の意味も分からないのに嘘や大袈裟な伝聞情報をバラまいている。

 

 つまり、オピニオンになっていないということなのだが、業態として視聴者から金銭を取らないスタイルなのでしょうがないかもしれない。しかし、テレビ番組の質が落ちた、テレビ番組は視聴者を無視するようになったというものとも少し違う。30年ほど前のバラエティー番組や情報番組を見ると基本的な作りが全く変化していない。「アメリカの変化」を見ると、日本の場合、周囲の環境がデジタル化によって大きく変化したのに、何十年も同じことを続けて同じ質の同じ内容を維持しているため、今の状況になったのではないかとも思う。ここで話さなかったが、各種レポートでは外部が変化していることばかり問題にして、内部が変わらないことに触れていないものが多く、問題は根が深いと感じた。

 

まとめ

 そうはいっても、ぼーっみるにはテレビが一番だと思う。習慣を作ってしまえば、ボーっと見続けることができる。でも、笑いたい・考えたいとか、有用な情報が欲しいと言ったポジティブな方向にはまったく役に立たない。

 このまま、ジジババ専用箱になるか、視聴者の興味ある情報をだせるかで放送局のメディアとしての未来は変わるんだろう。

 今のままなら自分は見ない。

 

終わりに

 う~ん、ちょっと地味な結論だけど、根元から変化しないと死んでしまうんだろうなと感じた。変わらない美学も必要だけど、変わりつつ未来を目指すのは生き物のサガなのかもしれないと思った(^ω^)

 

 

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