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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

筆を折った人は新しい筆を持てるのか

この季節、新しい絵描きさんが表れるが筆を折る人もたくさんいる。どうすれば続くのかを辞めてしまった人から考えてみる。

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(今週の一枚)田舎の空(pixiv

 

 世の中にはとんでもなく上手な絵描きさんもいれば、信じられないくらいへたくそな人もいる。活動の継続性はうまい下手に関係ないのだろう。

 では、どうすれば趣味として、仕事として創作活動を続けることができるのかを考える上で頑張る方法や上達のコツを見るのも一つの手であるが、辞めてしまった人がどうしてそこに至ったのかを見るのも一つの手ではないかと思った。

 そこで特徴的だなぁと思った方々を追ってみることにした。

 

筆を置く様々な人たち

評価のために主義を変える

 Aさんは色々な手法やキャラクターを描けるなかなかのやり手の方だったんだけど、筆が遅くて頑張って月に1枚描くのがやっとの方だった。遅筆もあって、他の方のようになかなか評価が上がらなかった。それはAさんにとってものすごいストレスや悩みの種になっているようで何度か直接相談されたりもした。

 自分は関係していなかったが、Aさんは評価を得るために色々なキャラクターやカテゴリーの絵を描いていたみたい。しかし、どうしても本人の求める結果が得られなかったようだ。

 そうこうしているうちに縁が遠くなってしまってやり取りがなくなってしまったのだが、久しぶりに覗いてみたら創作を辞めてしまっていた。

 久しぶりに話を聞いてみると、評価を得るために特定ジャンルのエロ系に手を出してめでたく目的の評価を得ることができたそうだ。しかし、その後、徐々にその評価が落ちてしまって耐え切れずに辞めてしまったそうだ。

 なぜその評価が落ちたかを考えると、最初のうちは頑張って絵を描いてみたそうだが、評価側の要求が過大になり答えられなくなったそうだ。初期に描いたものと同レベルの作品を作る気力もないし、力を抜いた絵を描いても評価されないというジレンマに陥った。

 結局のところ求めた評価を一瞬得られたが、それが原因で描くことがただの苦痛となってしまった。誰かのために描くのはいいのだろうが、それが集団のためになると一人からの対価は「いいね」ボダン一押しでとても小さい。つまり、その好き嫌いはとても簡単にひっくり返ってしまうので継続的に評価を得ることができないようだ。

 

主義を守って道を通す

 Bさんは独特の画風で人を選ぶけど個性のある素敵な作品を作る方だった。SNSでの受け答えも丁寧の方でしっかりとした評価と作品性を持つのでうらやましいなぁと思っていた。

 しかし、フォロワーが増えるに伴って徐々に作品の投稿頻度と返事が遅くなり、ある日突然筆を折ることになってしまった。

 どうしたんだろうか…と思っていると連絡が入り、新しいアカウントになったのでフォローよろしくお願いしますということになった。フォローしたので話を聞いてみると、SNSのたくさんの人との関係に疲れてしまったということで思い切ってアカウントを変更したそうだ。

 ところが残念なことにその新規アカウントでもフォロワーさんが増えると同じようにアカウントが消えてしまった。これを何度か繰り返すうちに自分とのつながりも切れてしまった。今も作品を作っているかもしれないが自分にとっては辞めてしまった人となる。

 なぜ「いつも」を続けられなかったかを考えると、一般生活のような人間関係を一対一で続けると付き合う人の数が増えてきて膨大な時間をSNSに使うことになって必ずどこかで破綻する。かといって特定の人だけに返事をしているとどうしても高慢な印象になってしまい、「いい人」でいることができなくなってしまう。

 限られた時間を創作や人間関係に割くとしたら、最初から使う時間を決めておかないと失敗するようだ。SNSのキャラとして誰かによく見られようとしてもすべての人によく見られることはできない。好かれればその分嫌われもするのだろう。

 

金儲けをしようとする

 まぁ色々な人がいる。絵を描いている人も体感で1~2割くらいは金儲け前提で動いているようだ。

 Cさんはイラストを描いている方で分かりやすくポップな作品を作る方だった。最初からもうけを前提に動いている方だったので、作品もフォロワー集めも商業向けに展開していた。順調に作品を作り、フォロワーも集めて大きくなるのかと思っていたら突然アカウントを他人の方に売り払いいなくなってしまった。

 一応連絡先も知っていたので話を聞いてみたら、想定よりもコスパが悪いのでビジネスを切り替えるとのことだった。ある意味損切ができて清々しい辞め方だったが、Cさんにとって物を作るという行為はお金を儲ける手段の一つだったというのは趣味で絵を描いている自分にとっては結構衝撃だった。

 自分もエロ絵は金儲けでやっているが創作行為の前提がお金になっているなら、そのモチベーションの量は金額になる。

 求める額こそが創作を続ける理由というのはわかりやすい。しかし、絵を描いている人ならわかるだろうが、創作、特に絵で金儲けをするのはなかなか難しい。よっぽどうまいか制作が速く、人集めと金集めに長けていないとプロでもやっていけない。

 コミケを見てもわかるが、創作・同人活動で金儲けをしている人のほとんどがエロで儲けている。普通にマスでサブスクリプションを拾おうとしてもほかの業界よりもかなり難しいみたいだ。エロを抜いて何らかの儲けを出そうとすると、プロになって仕事を取るか、一品物の価値を出せるすごい絵描きになるしかないのだろう。

 つまり、お金を前提に絵を描くということは簡単に始められるかもしれないが、ほとんど長続きしない。絵だけではなくなんらかの別の技能や作品展開が必要なのだろう。

 

殻にこもって世界を作る

 絵を描くといっても多くの人はアニメキャラの立ち絵程度もかけない。そんな中でも根性で絵を投稿する人はたくさんいる。Dさんはそんな中の一人だった。当然、へたくそなのではじめは全く相手にされなかったが、友達を増やすことで徐々に評価の数は上がっていった。

 所謂コミュ力お化けなDさんは絵の上達よりも薄くて広い人間関係を背にどんどん大きくなって行き、それなりの知名度を得ていった。しかし、それに伴ってどんどん高慢になっていった。「こんなに評価される絵師なんだぞ!」という感じでブイブイ言わせていたのだが、それなりに絵を描いているこっちとしてはすごい自己肯定の強い人なんだなぁなんて驚いていた。

 自分としてはもっと腕を磨いて「稼げる絵師」になればいいんじゃないかと思っていたが、その態度が災いしてSNSで何度か騒ぎ・炎上してしまい悪い意味でとても有名になってしまった。

 いくらタフでも限界があり、Dさんは不特定多数からの誹謗中傷に耐えかねて中規模のコミュニティにこもることになってしまった。

 まぁ、そのまま仲間たちと楽しくやっていればいいのだろうが、結局その中でも争いになってしまい、その主犯ということでそのコミュニティからも追い出され筆を折ることになった。

 結局のところ外向きに力を全振りしても内向きの能力がポンコツなら評価に押しつぶされる形で身動きが取れなくなってしまうようだ。

 

他人の作品に依存する

 2次創作である。同人界隈といってもいい。この世界はとても広く、そしてとても狭い。各作品にはそれぞれのファンがいてアンチがいるがその数は限定されて小さい。しかし、アニメや漫画というざっくりとした枠ではとてもたくさんの人がいる。

 この小さな世界を横断的に動いている方もいれば、一つの世界に長くこもっている人もいるので見方を変えるだけで規模感が違ってくるのだ。

 Eさんはある世界の住人で特定のキャラと特定のポーズをよく描く方だった。本当に長い間そのキャラ一筋で絵を描き続ける様は一種の宗教画家のようで尊敬とともに軽い畏怖を感じていた。

 同じようなことをひたすら繰り返しているので、その作品の質も安定して常に一定の評価を得ているのは素晴らしいなぁと思っていた。

 しかし、ある日突然筆を置き辞めてしまった。だいぶ高齢な方だったのでお体を悪くしてしまったのかと思い連絡したらずいぶんと話は違った。

 原因は2つで、昨今、2次創作に関するガイドラインが徐々に厳しくなり、そのキャラクターを描くにもそれなりの許可を得て描かなければならないということに腹を立てて気持ちが切れたそうだ。また、その作品の知名度がどんどん小さくなり見てくれる人が減ったからやる気がなくなったそうだ。

 公式の作品よりもEさんの絵のほうが量・質ともに多くなり、いったいどっちが本家かわからなくなったような状態も良くなかったようだ。

 2次創作は比較的簡単に評価が得られるし、エロも一時的にかなり儲かる。しかし、環境はその権利者に依存しているので、その世界の主になろうとしたり権利を侵害すると簡単にそれらは剝ぎ取られてしまう。

 結局のところ、同人ゴロのように一時的な借宿としてその作品を描くのはいいが、その世界にとどまるとその世界とともに浮沈を共にすることになる。また、常に新規を取り込む気概やその世界で公式が新作を出さない限りその世界は縮み続ける。東方やボカロもそうなるかと思うとちょっと悲しい。

 

感じたこと

 SNSをやっていると色々な人がいるなぁと改めて思う。1週間で辞める人もいれば10年以上のライフワークを突然止める人もいる。筆を折った彼らが再び筆を持つことはできるだろうが、それを支えるものはもっと多様であるべきなんだろうなぁと思った。

 たった一つの理由、例えば気持ちだけでやっていても生活が不安定になると続かないし、あまり具体的な目標があってもそれが原因で続かないこともある。

 だから、絵描きだけでなく何かを続けるにはいくつかの理由といくつかの目標を年単位で持っておくほうが心にも体にも優しいモチベーションになるのではないかと思った。

 

終わりに

 今回の記事で書いたような頑張っている人と比べると自分は少しずつしか進まない。いまだに人の心を打つような作品は作れないし内向的だ。ただ、毎年目標を少しずつ変え、新しいことを少しずつやることでもう少しやっていけるのかなぁと思った。

 筆を置いた人をたくさん見たが、また気が向いたら気軽にお絵かきしてほしいものである(^ω^)

 

 

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