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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

映画がつまらないのか、感性が死んだのか

最新の映画を見ていても面白いと思うことが少ない。これは自分の感性が朽ちたせいか、それとも映画が詰まらないのか考えてみた。

(今週の一枚)秘密の出入り口(pixiv

 

 

くそ暑い(;´Д`)

だから何をするにもおっくうになるが、そんな中で、映画を鑑賞しても「うぉっすげぇ!」とか「感動したウルウル」とはならない。自分が疲れていたり感性が衰えたせいなのかもしれないが、もしかしたらもっと違う理由があるのかもしれない。いくつかの視点で考えてみた。

 

アクション映画の価値

 最近のアクション映画はすごい。あちょーあたったって感じでサーカスのように体を動かして色々なカンフーアクションから過激な技で敵をやっつける。…ただ、これを見ていてもすごいと思うが、ドキドキしないしなんとなく他人事のように感じる。もしかしたらそういった人が苦しむ姿や汗を流して動くシーンに不感症になったのではないかと若干不安になった。

 そこで自分に問題があるのか、最新の映画に問題があるのかを調べるために、少し古いが傑作と呼ばれるアクション映画をみた。

例えば、「PREDATOR」である。何も言わずに下のワンシーンの動画を見てほしい。

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 ゴリラ人間とカニ宇宙人が殴り合うシーンだがドキドキする。この映画を通しで見ると時間が短く感じるくらいワクワクした。カニ怖えよ。

 つまり、最新アクション映画に関してはどうも自分の感性が錆びたというよりも、自分に合わないということになる。

 では、最新映画のどこが自分に合わないかと考えると、2点浮かぶ。

 一つは視点の多さだ。全景を余すことなく見せるドローン空撮、引きからアップまでつながるダイナミックなフォーカス、アクションに合わせて瞬時に変わる視点位置など距離的・感覚的に普通に生きていたら絶対見ることのできない視点が次々と波のように押し寄せてくる。この視点変化はぱっと見うわぁと思うが、5分ほど見るとその感動がなくなってしまう。3Dや4D映画として鑑賞しても時間を経るごとに臨場感がどんどんなくなってしまうのだ。

 これは映像作品としてはとんでもないすごいことなんだけど、アクション映画としては微妙なんじゃないかと思う。こういった映画は自分があたかも主人公になって暴れまわることで没入感を得るもので、あまりに視点が飛んでしまうと、感覚として自分がそこにいるというものではなくて、きれいな絵をちょっと引き目に見るような疎外感が出てしまう。

 PREDETORでは自分がシュワちゃんになってカニと戦うから、徐々に「絶対ぶっ殺してやる」みたいな気分になる。映像の美術は大切だけど、視聴者が戦う・感じるという大切なピースが抜けると、映画として破綻するのではないかと思った。

 もう一つは音の陳腐さである。変なテクノ音とか軽いリズムなんかが繰り返しで使われ、その音楽や効果音も何か別の映画の使いまわしのようでその映画に全くあっていない場合が多々あった。映画館で見ようが家で見ようがその違和感は変わらない。わざわざ一回一回集音しろとは言わないが、音があまりにもちぐはぐで軽いのである。

 これは音だけという問題ではなくて、映像と音を組み合わせると違和感が顕著になる。ものすごく凝った作りの建物にカフッとした音が混ざるとなぜかその映像まで軽くなって胡散臭くなるのだ。最近の映画全般に言えるんだけど、映画は「視・聴」で初めて成立するものなので、「視」×「聴」が映画の評価になるんじゃないかと思う。いくら「視」が100でも「聴」が0.1なら掛け算して10点である。このアンバランスさが映画の質をとても落としていると思う。

 

映画で感動できるのか

 自分はお涙頂戴系の「ほら泣けよ」という映画で泣いたり感動できない。人は本当に悲しいと下を向いてぼーっとするし、涙を流すのは流した後に明日があるからだと知っているからだ。だから、無理に感情を作ろうとする誤った作為や誘導には共感できず、トムハンクスみたいな俳優には一切共感を持たない。まぁ自分は斜に構えたつまらない人間なのだろう。

 ただ、涙を流さないということもない。作中のキャラが決意を決め必死に何かをしようとするシーンではなぜだかウルウルしてしまう。歯を食いしばって一歩を踏み出す瞬間こそ人間らしさと信じているからかもしれない。

 しかし、最近の映画にはそういった感動を覚えることがなくなってしまった。それを知って、自分は本当に冷たい人間になってしまったのだろうかと恐ろしくなった。

 そこで、同じような内容で賞を取っているものを見比べてみた。

 ロバート・デニーロ主演のTaxi Driverホアキン・フェニックス主演のJokerである。共に底辺に生き人間性に問題がある男があるきっかけで武器を持ち自分を変えようとする話である。

 詳細な内容についてはネタバレになるので書かないが、Taxi Driverでは強い共感を得た。結局主人公は肉体的に強くなるが本質は変わらない。しかし、その行動によって社会の男を見る目は変わる。とても皮肉なことだ。世の中ってこんなだよなぁなんてちょっと悲しくなった。一方で、Jokerに関しては終始「?」であった。つらい人生があってその生活に疲れた末に犯罪を犯すが、その犯罪が称賛され、その賞賛とともに社会が男とともに狂ってしまうという流れには気持ち悪さを感じた。

 これを見て感じるのは、どの時点かはわからないが、社会派的な内容を込めた映画の作りが大きく変わってしまったため、自分には合わなくなったんだろうなぁと思う。

 Taxiでは「実感」であり、Jokerは「願望」である。「こうだった」と「こうなってほしい」と言い換えられる。最近の映画には多かれ少なかれこの「願望」が必ず内包されており、いくら名作だと説明されても実感と整合しないことが多い。さらに、典型的なお涙系のように人間はこうあるべきだ…ではなく、「壊れてしまえ」「狂ってしまえ」といった悲壮感を煽る妄想を感じる。ポリティカルコレクトネスみたいな多様性の否定の先がこういった世界なのかもしれない。

 リベラル的な思考で、こういった負の感情に共感できる層には人気が出るかもしれない。しかし、一般人が見ると理解できないノリなので、なんというか見ていてキツい。世の中が苦しいのではなく、自分から苦しくなろうとしている精神的マゾヒズムは体に良くないし映画として価値がないと思った。

 

アニメ映画の没落するのか

 シン・エヴァンゲリオン劇場版にはがっかりしたし、君の名は。についてはうわぁ…と思った。確かに20年を超えるヱヴァンゲリヲン/エヴァンゲリオンと言うIPを完結させたのは立派なことだし、スタジオジブリからスタッフを引き取って素晴らしい映像を世に出し続けるスタッフ陣の作品力は一級品だろう。でも、そんなに面白くはない。

 自分はアニメオタクというわけではないけど、結構アニメ作品は見てきた。面白い作品もくそみたいな駄作も楽しんだ。でも、最近のヒットしているというものに食いついて行けず、それは単純に老いた証拠なんじゃないかと震えが走った。

 そこでテレビ版のエヴァンゲリオンほしのこえを見た。…面白いじゃん。エヴァの後半数話はくそだし、ほしのストーリーは甘ったるいけどアニメをしている。

 おかしなことに、売れている映画よりもその監督の原点になっている作品のほうが出来がいいと感じる。おそらく、こういった同監督作品で新旧で比べてみるとストーリーの流れや内容はほとんど変わらない。見せ方やCGを豪華にして飾っているが作品の本質は同じ人が作っているから同じで純粋に心に入ってくるからだろう。

 また、おかしなことに、同じことを繰り返すなら作業は洗練されてエッセンスがよりはっきりとなるはずだけど、アニメに関してはそうはならず回を追うと作品で何を言言いたいかわかりずらく複雑になる。どうも自分にはその無駄に捏ねたものが嫌いみたいで感性に響かなかったようだ。

 同じようにNetflixアニメなど金がかかっているものやなろう系の低予算テンプレ量産アニメにしても、どうも自分には響かない。どうしてなんだろうか…とふと大昔のテレビアニメを思い出す。

 ダイバージェンス・イヴと言うくそアニメだ。特に第2期がひどすぎる。はっきり言ってすべてがめちゃくちゃでおっぱいが大きい子があたふたする以外意味不明なストーリーになっている。…ただ、なんか憎めない。思い出補正が多分にあるが、作っている側がへたくそなりに一生懸命やりたいことをやっていた…と強く感じたことを覚えている。

 多分、これが自分に引っかかっているんじゃないかと思う。今のでかいアニメ映画にあふれているのはそういった意気込みではなく、完成された美しさや指定された仕事としてのアニメ制作なんじゃないかなぁと感じた。たくさんの「大人」と「お金」でたくさん人を雇ってたくさん広告やSNS拡散をする。それに適う万人、もしくは信者受けする作品を作れば投資は回収され「ヒット作」が完成するのだろう。

 なんとなくそういった空気を感じると作品に入り込めなくなった。作品性のあるものは漸減しているから、自分もそろそろ卒業かなぁ( ^ω^)・・・

 

終わりに

 見返してみると、自分の感性が劣ったというより映画は作品の質が変容したため、面白く感じなくなったというのが答えなんだろう。流行(?)に追いつけなくなったとすればしょうがないけど、なんかそうではないと思う。

 変な先入観を持たずにもっと作品を楽しむようにしよう(^ω^)

 

 

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