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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

レジ袋有料化は本当に環境にいいのか

スーパーに買い物に行くとレジ袋が有料になる。こういったプラスチック減少活動が本当に価値のあるものなのか考えてみた。

 

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(今週の一枚)吾輩の下僕にしてやろう(pixiv

 

スタートする有料化と法律

 2020年7月1日からレジ袋有料化が小売りを含む事業者に義務付けされる。

www.meti.go.jp

 これは「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(略して容器包装リサイクル法)を厳密に運用し、法人にプレッシャーをかけることで政府(環境省)のプラスチック資源循環戦略を推進ものである。そこから「小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令」を制定・改定して、有料化が必須となった。

 

 …ま、簡単に言えば、スーパーにビニール袋を無料で渡すな!と法律で決まった。

 

 その理由は資源・廃棄物制約や海洋ごみ問題、地球温暖化、廃棄物の輸入規制が深刻なので、プラスチックを使うのを減らそうという試みらしい。

 このアイデアはもう一段上位の構想・循環型社会形成促進基本計画と言うものがある。「モッタエナイ」という日本古来(?)のありがたい教えの元、使い捨てが基本である消費社会の考え方を変え、作ったものをリサイクルすることで無駄のない社会や環境破壊を抑えて、地球にやさしい世の中を作ろうという計画だそうだ。

www.env.go.jp

もったえないは正しいのか?

 まずお題目の理念的なものを考える。モッタエナイという言葉がある。

ja.wikipedia.org

 ケニアのおばさんが世界の会議で「日本には「モッタエナイ」という素晴らしい言葉があって環境に優しい社会がある。」…なんて言って一昔前盛んにCMを飛ばしていた。 確かに150年以上前の日本は江戸時代と言われ、非常に高度な循環型社会を形成していることが知られている。

kankyo.tenji-kai.jp

 今の我々には及びもつかない素晴らしい社会である。ではなぜそういった循環が成立していたか?と言うと、江戸時代は「物が全くない」社会だったという答えに行きつく。肥料がないから人糞を発酵させて使い、土砂崩れが頻発するくらい山の木を伐っても木材が足りないので紙を使いまわし、小さな鉄製品でも数がそろわないので直して使っていた。

 言ってしまえば、かつての日本は驚くほど貧乏で、人間もウンコ製造機程度の価値しかなかった。

 そういったリサイクルしないとみんな飢えて死ぬような世界を理想的だというのは疑問だし、江戸時代の人が現代にタイムスリップしてもゴミの分別なんてしないだろう。なぜなら、ゴミクズは貴重な資源であり、江戸時代には専門のゴミを拾う人、ウンコを回収する人がいてそれで金儲けをしていたからである。

www.mic.jp

 つまり、当時も今も人間はその環境に合わせて生活をしているだけであって、意識して自然のためとか地球のためと言った行動をとっていない。当然、日本人は高潔だからその子孫もそうしなければならないという妄想は成り立たない。

 環境省の言う環境型社会形成促進基本計画はいの一番から破綻しているのである。

 

油とプラスチック

 数が多くなればどんなものでも有害になる。プラスチックはなぜこんなにも大量に流通するようになったのだろうか。

www.jhospa.gr.jp 

 プラスチックを原料から追ってみると、原油→ナフサ(ガソリン)→モノマーと分離精製され、化学反応でポリマー化し、熱を加えて様々な形にしてプラスチックをつかう。

 プラスチックの大きな利点の一つはこの熱によって様々な形に容易にできるといった点で、色付けたり薄くして展性を出したり、混ぜ物をして厚くして硬い容器にもできる。使用の幅がとても高い。

oil-info.ieej.or.jp

 もう一点が、プラスチックそのものがリサイクルされたものである点である。原油はそのままでは使いようがない黒い水だが、ちゃんと分離すると利用可能な様々な燃料成分が含まれている。LPガス・ガソリン・灯油・軽油・残油と言った具合に分けられ、電気を作ったりエンジンを動かしている。ナフサに含まれるエチレンなどの炭素数の少ない分子は燃料として見ると燃やしてもエネルギーとなりにく、いいわばゴミみたいなもので、分離されて捨てなくてはならない。プラスチックはそれを上手く化学製品として利用しているのである。

 つまり、もしプラスチックを全廃するような事態になると、余ったプラスチックの元になる低分子炭素化合物が余ってしまう。こういった原料は燃料としても不適だし、簡単に燃える可能性があるので、資材としても使いにくい。結局、ごみ処理として燃やす必要があるのだが、果たしてそれはエコなんだろうか?

 もちろん、原油燃料そのものの使用を減らし、電気を使わないという社会を目指すならいいが、我々はスマフォをバンバン使い、4Kモニターでゲームをする。かつてよりもエネルギーを必要としているので、そんなことはできない。

 燃料使用と言う視点でプラスチックの制限を考えると、まったくエコロジーに反しているのである。

 

プラスチックのゴミ問題

 レジ袋、ぺットボトルや電子機器の外装…と部屋を見るとプラスチック製品で溢れている。だから、使い捨て以前にそれら商品を交換しようと思うと、同然大量のゴミがあふれることになる。

 そこで様々なプラスチック製品は分別されてリサイクルされることになっている。地域によってその分別は様々であるが、特にペットボトルはしっかりと分別される傾向にある。

www.petbottle-rec.gr.jp

 面倒くさくてもみんな一生懸命やっているこのプラスチック分別だけど、果たして分別されたプラスチックはちゃんと処理されているのだろうか?というとそうではない。

 近年問題になったのが、日本のゴミ輸出問題である。その多くが、再利用不可能なプラスチックごみを中国を含めた東南アジアに持って行って捨てているという現状がある。実はこういったプラスチックごみは資源ごみということで一応は回収するがその多くはリサイクルされず、登録上ゴミ処理場で燃やすこともできないので、お金をもらって海外の山の中に捨てている。そして、その量があまりにも多いので、ゴミ捨て場となった各国がぶち切れて受け取りを拒否するようになっているのである。

www.nikkei.com

 また、「資源ごみ」とプラスチックを位置づけているが、その資源化にはいくつもハードルがあって困難であり、結局ゴミになってしまう。例えば、一個のペットボトルからもう一度ペットボトルを作ろうとすると、洗浄・破壊・再形成でペットボトル3つ分のエネルギーが必要になる。つまり、リサイクルすると燃料的にエコではないし、当然儲からないので、実はほとんどリサイクルに至っていない。

 つまり、本来リサイクルに不向きなプラスチックをあたかもリサイクルできますと言って企業宣伝や金儲けに使ったため、莫大な量の捨てられないゴミが山積みになってしまったのである。

www.jcpra.or.jp

 結局、ゴミはゴミとしてさっさと燃やしておけばよかった…というのが実は一番のエコなのではないかと思う。

 

エコバックはレジ袋よりいいのか

 …とまぁ愚痴っていても、法律が施行され行政指導も始まるので、小売りの店はレジ袋を有料化する。お役所の方向性としては、レジ袋を有料化することでその使用を控え、全体としてのゴミを減らすことを目標として言うようであるが、ちょっと考えればそれは難しいと分かるし、他にも問題がある。

 

 レジ袋は商品を家に持って帰るだけでなく、様々な用途がある。ゴミをまとめる、小物を入れると言った袋としての役割は物があふれている現代においてものすごい重要だ。そのため、たとえエコバックでお買い物をしても、家庭の袋としての役割を別途で購入したプラスチックバックが担うことになる。

news.yahoo.co.jp

 つまり、ごみを減らすという意味においてはほとんど意味を持たないし、環境的に考えてもレジ袋は燃えるごみの時に出すので、環境活動家たちがはやし立てる自然環境にばらまかれるプラスチックの減少には寄与しない。

 

 また、もう一点重要なことは人間に対する衛生である。意識の高い人達なら起こらないことだろうが、大概の人間はずぼらである。使い捨ての袋になれている人たちが買い物をしてその袋を使いまわすとどうなるかを考えると結構ヤバい。

rocketnews24.com

 例えば、泥の付いたネギを袋に入れてちょっと雨が降ると、袋の中は雑菌まみれになる。また、コロナコロナでみんなごしごして手を洗って、他者との接触を忌避している現在において、色んな人が触っただろう商品を袋の中に入れれば、その袋の中は汚染されている可能性が高くなる。一回ごとにちゃんと洗えばいいが、そういった使い方をしている人を見たことがないから、これから汚染問題が顕在化するのではないだろうかと思う。

news.yahoo.co.jp

 結局、ゴミ削減にもならないし、むしろ生活環境に悪い方向に働いている可能性もある。本末転倒である。

 

終わりに 

 他にも商品の生産者視点・医療的視点・流通業視点・海外貿易の視点など思いついたけど、少し調べただけでもプラスチックを有効に再利用して循環型社会にできる方法は浮かばなかった。どうしてもリサイクル効率の悪さがネックとなる。ちゃんとゴミ処理場を作って燃やすのが最も有効な環境対策なのではないだろうか。

 エコバックを肩にかけてのお買い物は気分的には「地球にやさしい」となるが、現実はそうでもない。程よくプラスチックを使って、燃えるゴミで捨てるのが一番のエコなんじゃないかと思った。

 でもまぁ…それでもお気持ちビジネスは大切だよね(^ω^)

 

 

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