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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

CGってこれからどうなるんだろう

パソコンで絵を描いていて、ふっと他の方を見るとすごい作品に出会うことが間々ある。お絵かき、ゲームや映画などCGで作られた作品群はこれからどうなるだろうか考えてみた。

 

 

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 (今週の一枚)さて犬の散歩に行くか(pixiv

 

 CGと一言で言っても、電光掲示板の画像でさえ今はコンピュータグラフィックであり、その守備範囲は限りなく広い。そのため、今回はその利用や商用にも軽く触れて、画像や動画作成のトレンドや今後を考えてみた。

 

0から全部作るか

 デジタルお絵かきは様々な描き方があるが、CG作成上、「加工」は一つの大きな技術である。

 例えば、絵を描いていると、最近よく出会うのがフォトバッシュ(以下、FB)による綺麗な絵の創作である。

 この技術はおそらく明確な定義はないと思うけれど、大雑把に言えば、パシャリと撮った写真を切り取ったり、線画に起こしたりなどした画像を様々なソフト上で加工をする方法である。

 

www.clipstudio.net

 お絵かき的には、↑ページで示されたように、写真の一部を切り出し重ねることで絵の深みを出そうという文脈でFBを使い、日本ではそれが徐々にFBの技法となりつつある。…が、実際はもうちょっと使い方は広い。

 FBの本来の「起点は写真」であり、そのデジタルデータを如何にアーティスティックにするかと言う点が転換点であり、現在も高度化するソフト上で様々な加工によって仕様が変化している技術である。

 

www.youtube.com動画を見るだけでもすごく価値がある

 

 例えば、上動画ではサムネイルでは厚塗り技法の細密な絵に見えるが、作成過程を見るとほぼ写真の加工とその組み合わせだとわかる。この作品では絵画方向に作風を寄せているが、写実的にもできるし、組み合わせを変化させることで全く違うイメージにもできる。 

 つまり、何らかの画像データを様々な組み合わせ、加工をして新しい画像を作ることがFBの本意となる。海外含め多くのアーティストが非常に早く、繊細な作品を作れる理由の一つがこのFB利用であり、日本の潮流もこちらに流れるのではないかと思う。

 また、写真利用に限らず、既存の画像データ全般の相互利用を考えると、これからの作品作りは一から線を描いて…と言うよりも「既存のアイテムを如何に集め、自分らしいものに組み合わせてゆくか」というデータの使い方が重要な技法のひとつになるんじゃないかと思う。

 だから、0から1を作り出すのはめちゃくちゃ大変だが、0.5から1を作った方が楽だし、いいものがたくさん作れるという考えがトレンドになるのではないかと思う。

 

CGが質の担保出来る限界

 自分はほとんど写真などを加工しないが、自分が描いたものを流用したり、テクスチャを張ったり、イメージを使いまわしたりしている。しかし、その質は…(;´Д`) 使いこなすのは難しい。

 これは単に自分の手持ちのデータが少ないだけでなく、全体の一貫性が保てていないという構成・技術力に問題があると振り返って感じる。

 こういった全体の一貫性を担保するのが、プロ作家であれば作者の世界観であったり、CGを使った映画やゲームであれば、脚本や監督の調整能力になる。その一貫性の元で、コンセプトアートができたり、トレーラー動画が作られ、各シーンがユニットとして形成され、たくさんの要素が一つの作品になる。 

 そういった点で、最近面白いなぁと思ったのが、「コンセプトだけアート」みたいなCG動画が結構な数あり、結構な資金を使って作成されていることである。

www.youtube.com

 非常に有名なものだと、上のADAMなんかはUnity(ゲームのプラットフォーム)の傑作だと思うし、モーションキャプチャとCGレンダリングもここまで来たかぁと驚いた。

 ただ、非常に謎なのが、この作品はある世界のある1場面であり、物語は存在しないことである。もちろんEpisode2、3とそれっぽいものはあるが、別に大きな世界観やその後の展開なんてものはどこにもない。

 トータルでも15分くらいの長さなら、ショートムービー形式でズンドコベロンチョ(CG作品ではないが脚本として見て)みたいな構成にして、一応の起承転結をあるものを作らないと、見る人は納得できない。こういったCG作品群は莫大な予算と時間を使って作ったにしてはいかにも物足りない。

 

 なぜこんなものが溢れかえってしまったのだろうか…と考えると、一つのヒントが映画にあると思う。

www.the-numbers.com

 現代で大作映画の成功する条件は美麗なCGを多分に盛り込むことである。それをそろえるために莫大な予算が投資され、たくさんの人がそれを見る。しかし、投資に見合う結果は必ずしも出ない。

www.youtube.com

  例えば、この Jupiter AscendingはものすごいCGアート作で、マトリックスと作ったウォシャウスキー姉妹(元兄弟)が200億円くらいかけて作った大作映画である。一つ一つのシーンを見ると、上のADAMに勝るとも劣らないCGが何十も重なっており、動画を止めて絵として見ても、シーンごとの完成度はすごい。

 しかし、映画自体を見ると…本当につまらない。いくら映像が優美であっても何故か映画として安っぽくなり、質を担保するはずのCGがチープに見えてしまうのである。

 何と言うか…大麻を吸いながら見た夢みたいなぼんやりした出来で、当然評価も低い。

 おそらく、資金の大半をCG合成や背景作成やモーションなどに使ったのだろうが、完成されたCGがその他の影響で破綻してしまう点はとても面白い。単に絵を綺麗にしても、見せ方・使い方を誤ると芸術評価と動員数ではっきりダメだと証明した作品と言える。こういった興行的に失敗したハイCGの謎の駄作が、CG技術の普遍化と共にとても増えた。

www.cinematoday.jp

 つまり、ゲームであれ映画であれ、綺麗なCG使うなら、面白い物語を用意して、それをバランスさせる人が必要になってくる。そして、現状で金をかければ驚くようなCGを揃えられるが、それを調整できるような脚本やバランサーが少ない、もしくは別要因、例えば、LGBTQなどの新しい要求を超えられないため、CGが宝の持ち腐れになっているのではないかと思われる。

eiga.com

 そのため、投資の出口として、ワンシーンの3分~のものすごいハイレベルのCG作品や10分程度の映画風CGシーン動画が溢れかえっているのではないかと思う。ここからわかることは、おそらくCGの絵や動画だけで担保できるイメージは時間的に3分が限界であり、それ以上であれば別の概念や技術を組み合わせなければいけないということがわかる。

 つまり、人の度肝を抜くCGアートよりも、必要とされるCGは別の作り手もある程度理解し使える「優しいCG」なのかもしれない。

 

 

より詳細さを目指すか

 画素数的にすでに目の性能を超えているCG技術であるけれど、コンセプトとして作り手に「優しいCG」が要求されると仮定すると、どのくらいの細密度が必要とされるかは議論が尽きない。

 

www.youtube.com

 例えば、上の動画ではCG領域をPrimary、Secondary、Teritiaryと分けたり、ディテイルの価値を(たぶん)視野範囲で変えることで、作り込みに対しての可塑性を説いている。まぁ、作り手が条件に合った細かさを追求しようということを言っている。

 この作り分け・丁寧さの程度は見る側の視点も当然意識しないといけない。我々、見る側は常態的にCGに触れているが、AAAタイトルのゲームはその最上位と言える。このゲームは流行の作品性がはっきりとあるので、CGに求められるものを比べることができる。

 そこで、ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルドとHorizon Zero Dawnを見る。両ソフトは共にオープンフィールドのお使い要素のあるRPGで、かつての文明遺物を調べ、その利用を巡るストーリーである。

www.youtube.com

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 同年に発売されたこのゲーム達共に素晴らしいゲームであるが、CGとして細密さ、画素数を見るとハードの状態もあり圧倒的にHorizon Zero Dawnが勝っている。しかし、ゲームとして見るとすべての賞はゼルダの伝説がとっている。これはとても重要なことで、金をかけてデータ量の多い動画やビカビカなCGを作っても、かつてのように商品として国内外の普遍的な評価になりえないということを示している。

 どこまで美麗なCGがあっても、それを認識できない視聴者・ゲームプレーヤーにとっては不必要となる。CG解像度が目の性能を超えた現在、綺麗とは見る人がいつも見ているものより、少し綺麗で理解できるものでなければならないのかもしれない。

 つまり、いつ誰が見るかで美しさが変化し、必要とされる詳細さもそれによって変化することになる。そういった意味で、ゼルダの伝説は、今、この瞬間最も輝く作品なんだろうし、FF15の評価が日本国内では割れ、国外では全く相手にされない点も見る人が日ごろ触れている画像の違いから、そうなったのかもしれないと思った。

 

 終わりに

 ぶつぶつ考えるに、100年後の超すごいCGを今の我々が見ても「なんだこりゃ?」となるし、今のCGを100年後の人が見ても「は?クソじゃね」となると思う。各人が見ているものよりほんの少し良いものこそ価値のあるCGなんじゃないかと思った。

 

 まぁ、そんなものはなかなか作れないんだけどね( ^ω^)・・・

 

 

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