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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

それっぽくテクスチャを使う

絵の細密さを増そうとすると様々な方法があると思う。ニッペルフはそれを補うための一つの手法としてよくテクスチャを使っている。今回はテクスチャの自分なりのコツや使い方について書いてみようと思う。

 

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(今週の一枚)強い!強いぞ!TSUYOI ROBO(→pixiv

 

 重厚感を出そうとするとやっぱり線の書き込みかなぁと思う。でも、完成まで莫大な時間を消費するし、そういった書き込みを線画に起こすとそれが消えてしまったり、配色した際の邪魔になったりする。この辺の兼ね合いはまた一つの考察点なのだが、それをある程度容易にしてしまうのが「テクスチャを貼る」という作業だと思う。

 今回は自分の考える基本的なことから現状でちょっと考えていることまでを書いてみようと思う。

 

※目次※

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テクスチャとは

 テクスチャを知らない人はなんやそれ?となるが、日本語で簡単に言えば「質感」であるし、質感を構成する凸凹や模様と考えてもらえばいい。ゲームをやる人なら3Dのオブジェクトで起こる透過バグで、たまに内側が見えるが、その際の表面の皮みたいなやつといえばわかりやすいのかもしれない。

 特にデジタルに限ってしまえば「表面に張るもの」といえる。

 昔はこういったテクスチャのデジタルデータがほとんど有料で、高い金を払って購入する大切な資産の一つだったらしいが、今では「テクスチャ 無料」「Texture free」なんて用語で検索すると、それ専用のサイトやデータセットが無限といっていいほど出て、手に入る。

 また、専用の「テクスチャ」というくくりでなくとも、自分で撮ったデジタル写真をソフト上で張り付ててしまえば立派なテクスチャになるので、大きな意味ではデジタルの画像データはすべてテクスチャということもできる。

 もちろん高解像度のものであったり、汎用性が高く美しいものは結局有料になってくるのだが、個人で楽しむ分には無料もの、個人で作ったもので十分お釣りがくると思う。

 

テクスチャを使う

 なんとなくイメージとして表面に張るシールみたいなもの考えてもらえればいいが、論より証拠、試しに使ってみる。

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左は何となく描いた黒のTシャツで、右は布のテクスチャとその上に自分の描いた絵jpegを縮小してそれっぽく貼ってみた。

 本来の意味のテクスチャは布の部分であるが、プリント柄もシャツの一部と考えると縮小絵も当然テクスチャ扱いでいいのではないかと思う。

 いずれにしろ、ほんのちょっとの手間で、細かい模様の布の質感があるシャツに早変わりした。

 

ちょっと応用する

 ネットで配布されているテクスチャは膨大にあるし、自分で作ってもいいが、それをちょっと加工するだけで一味違った雰囲気を出せる場合もある。

 自分はPhotoshopを使っているので、これの加工パターンは豊富だが、他のソフトでもテクスチャの所属するレイヤーをちょっと弄ることで簡単に調節ができると思う。

例えば透明度の変更である。

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図のようにちょっと布テクスチャのレイヤーの透明度のスライダーいじるだけで色合いの異なったシャツにすることができるし、基本となるシャツの黒を別の色に差し替えることで、さまざなな色合いにすることができる。

 ソフトによって異なるが、レイヤーに様々な効果を付けることができれば、その場でテクスチャを改造することができるので、数パターンの元テクスチャを持っておけば何パターンでもお気に入りを作れる。

 イメージとしては基本となるレイヤーにどういうシールを貼ってデコレーションするかといった感じとなり、ちょっとテカテカさせるために、透明なセロファンテープを貼ったり、可愛くするために猫の顔のシールを貼ったする感じとなる。

 基本となるレイヤー(元色、この場合黒色)に領域の骨格さえあれば、どういうシールを貼るかで印象はだいぶ変わると思っていい。

 

テクスチャをそのカテゴリーのまま使わない

 これはまぁ…好みに依ると思うが、正直に書いてある通りに使うだけでは面白くないという考えからの発想となる。

 例えば、「金属」というとどういった質感をイメージするであろうか?

 新しいものであれば、ツルツルですべすべしているし、光を反射する明度の高いものかもしれない。

 使い込まれたものであれば、たくさん傷がついて小さな凹凸がたくさんあるものかもしれない。

 こういった「金属」のテクスチャはたくさんあるので、それをぺたんと貼ってしまえばいいが、どうもしっくりこない時がある。そういった場合は、同じカテゴリー「金属」で別のテクスチャーを見繕うのでもいいが、まったく別のカテゴリーのものを使うのも手ではないかと思う。この場合、金属の「テカテカ」「細かい傷(凸凹)」であれば、湖面や水がテカテカに当たるし、土や砂利なんかが細かい傷のそれになる場合もある。

 イメージを変えたかったり、ちょっと一味変える際にはこういった別のものを上手く利用するのはいい武器になるのではないかと思う。

 

テクスチャで違和感を軽減する

 絵を描いていると、どうしても書き込んでいる場所と書き込んでいない場所が出てきてしまい、なんとなくぼんやりした完成図になったり、キャラと背景を別で作り、合わせた際に何故か臨場感、一体感がないものができる場合がある。

 テクスチャの使用で考えても、テクスチャが張られたオブジェクトと貼られていない背景などでは情報量、つまり細かさで差が出てしまったり、絵の光源の方向とテクスチャが作られた際の光源の方向が違うため、目にちぐはぐ感が出る場合があるかもしれない。

 いずれにせよ書き込みやテクスチャの貼りこみによって、一枚の絵における情報量の多寡が極端になった場合、奇妙な違和感となって目を襲う。

 

 こういった情報量を上手く使って、キャラクターをまるで浮いているように見せるものもあれば、さらに書き込んだり、細部にもテクスチャを貼ることで情報を均一化し、違和感自体を消すこともできるし、photoshopであれば写真の焦点ということで、必要なところをくっきりさせて、不必要なところをぼかすことで調整することもできる。

 ここで、この違和感を解消する方法としてテクスチャを使う方法を試している。

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左図は1背景、2ロゴ・テキスト、3ロボを順に置いたもので、右図はその上に全面テクスチャを貼った

 

 今回の絵は全体的に細かく描いたのでわかりにくいかもしれないが、左図では1、3間で何となく違和感が出て、ロボが何となく浮いている。そこで右図のように、この絵に油紙のテクスチャをオーバーレイで貼ってみるとしっくりきた(自己満足?)。

 何でこんなことを考えたかというと、上で書いたように情報量に多寡があり、それを平均化するために色々するのであれば、全体に統一した情報を新たに差し込んでしまえばいいのではと思ったからである。

 今回の絵はロボと廃墟のちょっと殺伐とした絵で、全体的に砂ぼこりが立つようなざらざらした状態を見せたかったので、それに似合うものはないかと探していると、油紙のざらざらとボコボコした感じがちょうどよかった。

 

 平均的な情報を絵全体に薄く張り付けるだけなので、上手くいかなくてもぱっと捨ててしまえばいいし、上手くいけば大儲けではないかと思う。

 

終わりに

 より繊細に描いて、一枚の絵に大量の情報を入れ込むことで美しいと思われるし、作る側も完成してみるとかなり充実感がある。(人それぞれかもしれないが)

 だから、それをぺたぺたシールを貼っただけでどうにかしてしまうのは良くないと思う人もいるかもしれないが、やはり完成したものを見ると、目に与えるインパクトは全然違うと思う。

 美しく全て手書きの作品を見て心を豊かにする人もいれば、こういった目にドバッとくるものにドキドキする人もいるので、程度問題だとは思うが、やはりデジタルアート(笑)なのだから他データ利用の手法を知っておくことは大切なことなんだと思う。

 

 より詳細に独特なものを作ろうとするなら、さまざまなデータを駆使していかなければたくさんの人が望むものは作れない…とコンピュータ様が頭の中にささやいてくるのは必然なのだろうか。

 

 

 

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