Photoshopは非常に完成されたソフトだが完璧ではない。今回はもうちょっとほしいなと思う機能を補うために、有料ソフト(Lazy Nezumi Pro、BrushBox、Particle Shop)を購入し、使ってみた感想を書いてみる(Particle Shopについてはその2になります)。
※注意※
私はWindows10でPhotoshop CS6 EXTENDED 64bit を使っており、その感想となります。ご購入検討の際には紹介したソフトとPhotoshopバージョンが対応するかなどの互換性の確認をまずお勧めします。
(今週の一枚)私は画伯!猫画伯!ソフトのおかげでこれくらいは描ける(pixiv)
※目次※
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Photoshopを使ってお絵かきをしていると自分が「画伯」になったような気分になるが、手に鉛筆を取って実際に描いてみると、
( ^ω^)・・・
という出来の何かが紙の上に踊る。そのくらいニッペルフにとっては大切なソフトであるが、これのフォローしている範囲が「デジタル画像全体」のために、辞書的で大雑把な作りになっていて、もうちょっと使いやすくなって欲しいなぁと思う時がある。
このソフトで絵を描いているニッペルフとしては、筆の出力の不満や筆の整理整頓などいわゆるドローイング周りをもうちょっと何とかしたいという実感がある。
そこでエロ同人で儲けた資金の残り(1万円くらい)を使って、この辺の設備投資をしてみることにした。
Lazy Nezumi Pro
筆や鉛筆などのブラシを使って線を引く時、Photoshopの場合、どうしてもスムースな線にならず、線の終端が乱れてしまうことがある。これはペンタブレットの問題ではなく、ソフトの前提が絵を描くために作られていないために起こる現象だと思うし、他のお絵かきソフトでもこの問題は解決されているものは少ない。
そこに目を付けたのが「Lazy Nezumi Pro」である。
簡単な紹介
このソフトはペンタブレットの出力からソフトへ情報伝達をバイパスして、スムースな筆運びと終端のエラーを上手く解消している。また、その際の出力調整において波線やらパース用の補助線を追加するなどして、描く人が思い描く線や特殊な線を引けるように補助している。
ソフト内では、このスムージングに関して 手ブレ補正、筆圧曲線、筆圧処理、筆圧速度を個別のパラメータで補正することでほぼ手書きに近い感覚でペンタブレットを使うことができるようになる。
…とまぁ、めんどくさいことは置いたとしても、7種類の基本パターンから自分に合った調整状態を選択することで「スッ」とした線が描けるというものである。
また、そのバイパスを利用してルーラーとしてパース定規を備えていて、一度消失点の方向を固定すればそこから正確な線が引けるようになっているので、かなり楽な構図を作成することができるようになる。
これらの機能が特に難しい設定をすることなく(しようと思えばできる)感覚的にいくつかのボタンを押して、メニューを選択すればすぐ使えるようになっている。
実際の導入から簡単な使い方は下のブログが詳しく書かれています。
使ってみて良かった点
使ってみると分かるが、本当にきれいに線が引ける。紹介のように、いままでペンタブレットではうまく表現できなかったちょっとした雰囲気の異なる線が引けるようになるのは間違いない。
実例として、デフォルトのブラシ、丸筆(ポイント)硬毛を使う。
↑スムージングの基本パターンを変えて描いてみた図
上図のように既存のパターンを変えるだけでもずいぶんと出てきた線が違うことが分かる。この線の描き方は右上にまず筆を置き、左下にシュッと流すように描いた。これは一方向だけに引いたものだが、波線など角度のあるものや連続した長い線であればその違いがさらに増してくるので、とてもよかった。
自分のイメージする線は「より強度な」に近いが、これは人それぞれかもしれない。
もう一点はルーラーについてである。よくある定規は基本的に消失点の距離から比例した大きさを測定し、そこに四角などの直線の平面図を載せるようなものであるが、このルーラーは曲面を描くことができるようになっている。
これによって球をイメージするような立体的な面であるとか、より複雑な多面を作ることができると実感できた。
まだルーラーは十分に使いこなせていないが、さっとあたりを描くだけでも相当楽に面白い構図が描けるのではないかと思う。
使ってみて悪かった点
使い心地はとてもいいが、ちょっと困った点もある。一つはPhotoshop(お絵かきソフト)と同期して立ち上がるようにできているので、そのウィンドウが結構邪魔になるということである。最小化してしまっておくことはできるが、ON/OFFを繰り返すような作業をする際や、ルーラーを出したりなどの不連続な作業が続く場合はその狭苦しい感じが強くなる。
スイッチだけでもいいから別になればいいなぁと思った。
もう一つはルーラーつまり「パース定規」についてである。非常によくできているので背景を書く人やパースに気を使う人であれば必須になってくるかな?と思う。
しかし、使い方にちょっと癖があって、最初はとっつきにくく、使い方がよくわからなくて悩んだ。いくつかのショートカットキーと立体感の感覚的慣れが必要なのだが、その点、使う際のコツの説明について不親切だと感じた。
ルーラーはおまけにしてもよくできているので、チュートリアル的なものがほとんどないのが目立つ。この辺に公式からちゃんと導入があってもいいと思った。
買いか?
値段は35USドル(4000円くらい)でPhotoshopをメインでドローイングするのであれば、Lazy Nezumi Proは買いだと思う。
他のお絵かきソフトでも使えるので、15日間無料期間中に試すのは一興だと思う。
BrushBox
Photoshopでは色々と絵の描き方があって、筆を走らせて描くものや、スタンプのように押していくものもある。さらに、カラーや角度を変化させたりそれをランダムに散布させたりするなどのマイカスタムでブラシを作ることができ、自作することで様々なパターンから色々な表現が生まれる。
とても便利ではあり、使うか使わないかは別として、絵を描いてゆくとそのブラシのパターンはどんどん増えてゆく。
当然数が増えてゆくとそれを分別したり、使いやすいように並べたりしたいが、Photoshopにはそれらの整理についての機能が全体的に少ない。様々な機能を持つが、視覚的に使いたい機能を上手くショートカットできないため、1週間くらい使わないとどこに何があるかわからなくなる場合がある。特にブラシの場合は切実で、自分の場合すでに300近くパターンがあって、題材ごとにセットするにしてももう限界である。
そのブラシパターンのごちゃごちゃをすっきりさせるのがBrushBoxとなる。
簡単な紹介
このソフトはPhotoshop内に追加するタイプでエクステンションのスペースに機能の一つとして内包される形を取っている。
イメージとしては表示ウィンドウのブラシプリセットの機能を拡張したと思ってもらっていい。デフォルトのそれは筆の状態、名前などの情報がよくわからないし、グループごとの整頓ができないが、それを上手く補っている。
たくさんある筆の「整理」と思った筆を「すぐに持つ」ことに重点を置いて作られているのでブラシパターンが増えるほど重要な役割を持ってくるアドオンとなる。
使ってみて良かった点
ブラシパターンが増えれば増えるほどその管理と必要な筆のチョイスに時間がかかると思っていたので、これを入れることでその点の時間短縮は非常に助かっている。
上図のようにフォルダを色分けすることでどこに何が入っているかわかるし、パターンの表示方法も3種類あって自分が見やすいように置き場を作れるのがいい。
特によかったのはこうやって分類したブラシパターンの中でもさらによく使う物があり、これに★お気に入りを付けることができる。★ボタンを押せばさらに選択された状態から筆を選ぶ出来る点で、使い込むほど便利になると実感できた。
使ってみて悪かった点
すごく痒い所に手が届くアイデアが入ったソフトであるが、いくつか問題を抱えている。
一番う~んと思ったのは、BrushBox内のフォルダを開いたり、パターンを選択する際、若干の遅れが常にあることである。筆→消しゴム→違う筆みたいな書き方をする時にはこの切り替えが頻繁に起こるので、ちょっとイラっとする時がある。
また、この待ち時間的なものがこれを導入するとともにPhotoshop全体に現れて「ゆがみ」などの別窓を使った機能にカクツキがでた。
メモリ上から選択するのでなく、一々HDDからデータを読み込んでいるのかな?という感じのコンマ数秒のカクツキなのだが、気になる人にはとても良くないなぁというものである。
また、立ち上げの際、一々別のアクセスポイントに認証をするらしく、Photoshop起動までが遅くなってしまった。
さらに、キーボードショートカットでブラシ→消しゴムのような切り替えを行うと、ペン先のパターンは変わるのに、BrushBox上の選択は変更されていないなどの小さなバグが散見されていて、慣れるまでに結構かかるといった実感がある。
買いか?
値段は15USドル(2000円くらい)でPhotoshopでたくさんのブラシパターンに埋もれそうな人は買ってもいいと思う。
しかし、全体的に未完成な部分が多く、こういったベータ版のようなソフトの取り扱いに慣れていない人にはちょっとお勧めできない。
ということで、余裕があれば使ってみてもいいんじゃない?という感じのお勧め度になる。
(その2に続く)
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