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ニコニコ動画とその衰退を考える その1

【オリジナル】「猫の髭 第3巻」イラスト/ニッペルフ [pixiv]

↑漫画を描く余裕はないが表紙を描く程度の遊びはある

 

 ニコニコ動画(クレッシェンド)の発表会を視聴した。
 まぁこれを見たニコニコユーザーはニコニコオワコンみたいな感想を持つだろうし、動画それ自体の使いやすさ、高品質化が最優先で、それをしないからユーザーが逃げてしまうという意見が大半であろう。
 でも自分はちょっと違う意見を持ったので忘れないように書いておきたいと思う。

 

長いので2つに分けました。(→その2

 

 会社、運営としてのニコニコ、発表会の失敗と個別に意見を述べて、最後にニコニコの価値について考えました。

( こちらのその1では会社として、運営としてのニコニコ動画を書いています。)

 

・会社としてのニコニコ

 ニコニコの主体となる会社はドワンゴで、この会社は言ってしまえば実物資産をあまり持たない、よくあるインターネット「関連」サービス会社である。
 インターネットインフラを利用して既存の技術を組み合わせて儲けようとしている、ここ20年くらいで雨後の筍のように出てきた新しいサービス産業の一つといっていい。
 いままでの起業の在り方として、ある程度の事業計画を立て、土地不動産を担保にして銀行から資金を借りて事業を起こす業態が一般であったが、資本効率性の促進が話題となり、情報通信と金融の規制改革を利用して、最初から資本家や上場して株式の売却から直接資金調達したり、通信利用者の急拡大の波に乗り、インターネット上での法規制が未発達な状態を利用して大儲けした企業とも言える。
 この余剰資金を利用して関連企業買収や合併を繰り返して今の形になっていった新興企業の大成功のモデルケースだろう。

 

・・・一言で言えば、ネットバブルで大儲けできた会社である。

 

 ニコニコユーザーの立場に立てば、この会社は本業に技術者の人件費を含めた設備投資を行うべきだろう。株式会社としてはまず投資してそれに利益が乗っかてくるのが本筋だが、どちらかといえばM&Aに比重があり、ニコニコ動画の規模拡大後に共にサーバーの増設やUIの刷新を行っている感がある。確かに、増資と利益の順番が逆でので、ユーザーの批判はもっともだ。
 しかし、投資対象としてみると、企業としてはある程度健全で、利用者の拡大、増資、新規事業への緩やかな継投と、しっかりやってバランスしているようにも見える。
 ただ、そのバランスも対照となる同業他社がGoogleをバックにしたYoutubeや、もっと新興の新しいシステムを作った会社になるので、こういった設備補強がサービスとしてどうしても見劣りしてしまうのは否めない。
 これらのガンガン先行投資している他企業と比べると部分的なサービスでは劣る点が見えるが、同時期に出てきたVoehやDaylimotionなんかと比較するとかなり頑張っているようにも感じる。

 つまり、純粋に企業としてみると、Youtube一強のなか踏ん張っている古参という位置だと思う。


・運営としてのニコニコ

 さて、IR的にほどほどに良好で、この踏ん張っているこの会社の内側、サービスの管理、通称「運営」の質はどうであろうか?

 

 一般ユーザーの視点で見ると、はっきり言って「クソ」の一言に尽きる。
 他の動画サイトにない、タグ機能であるとか、独自Wikiを関連付けた百科事典とそのテキスト掲示板など、たくさんのサイト独自の利点がある。また、生放送も含めると数えきれないおもちゃのような機能がたくさんある。
 しかし、これらの機能には当然管理、誘導が必須であり、明確なルールみたいなものが必要であるが、そういったものはほとんど存在しない。騒がれたら嫌々やる程度でほとんどの場合はほったらかしの状態になっている。そのため、独自機能のほとんどが荒廃して、何かある度に問題化してしまっている。ユーザー自治と言えば聞こえはいいが、明確な悪意に対しては無防備だし、多くのユーザーが嫌がらせで消えてしまった実績は山のようにある。
 2ch(5ch)のノリで、Youtubeにただ乗りしているアングラ動画サイトならその方が楽しいし、ネット愚連隊のたまり場としては心地いいが、ピュアなユーザー達にとっては害悪以外の何物でもない。

 

 運営側の視点で見ると、「難しい」という答えになるだろう。
 一般ユーザーといえば聞こえはいいが、ほとんどの人がニコニコのシステムをただ乗りして、金を落としていない。「ピュア」と書いたが、ほとんどの匿名ユーザーは自分勝手で、自分の正義に沿って意見を垂れ流し、好き勝手にふるまう。広告やアドセントにしてもほとんど踏まないし、プレミアユーザーといっても高々6000円/年程度であり、とても高負荷のデータサービスを維持するには足りない。抱えている利益化できそうな配信者にも問題のある人物が多く、明確な「正義」を行使するとサービス自体が破綻してしまうのだろう。
 つまり、顧客にアングラと一般を抱えているので、制度化はできないというのが彼らの行動の原点にあると思う。その上で「○○してほしい、お金は払わないけどね(ニッコリ)」という意見はできるだけ無視をしたいのだろう。

 

 さて、客観的に見ると身動きの取れない運営統治は大学サークルとその自治に見える。各動画やコミュニティにはそれぞれ利用者がいて、サークルといっていい。
 大学には非公認も含めて、色々な集団がある。キモオタサークルとヤリサーが同じ部活棟に共存して好き勝手にやっている。サークル内にはルールがあるが、サークル間にはルールがないし、2つのサークルが対立しても、それ以外のサークルは無視を決め込む。例え大学内部で問題になっても、問題が刑事事件や外部に報道されない限り、大学組織は学生自治の範囲ということで無視をする。
 ニコニコの運営の実体はそういったサークルの一つにしかすぎず、名前は「運営」といっているが、ただの運営サークルの一つと見ることができる。また、運営、と一括りに問題視しているが、この企業側のサークルはどう見ても1つではない。明確に数についていうことはできないが、運営うぇーいサークルや運営マジメサークルや運営帰宅部サークルのように明らかに態度に温度差があったり、行動に一貫性がない。内部対立でもあるのかな?と思ったが、バラバラな動きを見ると、それぞれに意思があるので、グループごとに好き勝手をしているのだろう。

 

 つまり、ニコニコには運営を含めて本質的なコントロール機能は存在せず、なんとなくそこにある広場でみんなで遊んでいるような状態なんだろう。

 

その2へ続く)

 

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