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自民党敗北を組織崩壊から考える

先日、衆議院議員総選挙自民党が大敗北した。何で負けたかを自分なりに考えてみた記事

 

第50回衆議院銀総選挙で自由民主党が記録的大敗北を喫した。

ja.wikipedia.org

 15年前の第45回以来の久しぶりの負けであり、連立与党を組む公明党を足しても過半数を割る議員数となった。参議院議員において未だ自民・公明の連立与党が過半数を保持しているが、これから非常に厳しい議会・政権運営になる。

 表面的には、今回の敗北の原因は石破氏の言行不一致(熟議と言ったが最速で解散)や裏金問題の処分(一番処分されたのは自民党の事務方であとは場当たり的な対応)であり、フレッシュさに欠ける内閣閣僚人事(高齢のお友達が入閣)などが評論されているけど、実際はもっと根深い問題がある。

 テレビに出る政治専門家みたいな人達は直面している問題をあえてごまかしてしゃべっており、なんかもやっとしたので根本的なものを書いてみることにした。

自民党組織の破綻

 自民党は悪の政党だ。金権政治をつかさどり、日本を悪い方向に導いている。…そんなことを言う人がそこここにいる。しかし、本当にそうであるか、どんな悪か、どんな利権かと質問するとまともに答えられる人はいない。

 実際に自民党組織を見ると、もうほとんど党として機能していないし、かつて持っていた利権も多くを手放して、ほとんど選挙互助会的なものになった。そして、その互助会も岸田氏の派閥解散によって役割を終えてしまった。

 これを一番示しているのが自民党員の著しい減少である。

www.nikkei.com

 1991年に500万人越えのピークを迎えた党員数は現状で100万人ちょっとであり、実に80%減である。戦争では部隊は50%の損傷で全滅(組織的運動ができなくなる)なんて言われているのに、それを超えて減っているということはもうすでに組織としての体を成していない。なぜここまで数を減らしたかと言えば、単純に利益がないからだ。実利や儲けの情報がなければ人は金を出さない。仕事がもらえるから、地域に補助金が下りるからなどなど、所属する価値があったからこその500万人であり、それがなくなったから100万人まで減ったのだろう。個別に献金はしても自民党党員にはなりたくないというのは悲しい現実だ。

 民主党政権前後で最低数(60万くらい?)となった自民党党員は故安倍氏のメディア戦略と民主党政権への反発によってその数を回復した。その多くはネット右翼的な国家主義を持った安倍信者であり、今まで自民党が志向してきた地域に根差した党員とは真逆の立ち位置の人たちだ。大きな日本全体を見る人が入党してきたともいえる。おそらく、30~40万人がそう言った人であり、党籍だけ入れて党活動などの地域を支えることをやらないファンクラグ的な人たちが多くを占めることになる。

 悪い言い方をすると、金を払っているんだけでボランティアをしない人達ばかりが増えて、自民党活動をする割合がぐっと減ったと言える。実際に党員として働いているのは10万人もいないのかもしれない。そして、実際に働いていた党員も高齢化によって地域の崩壊と共に身動きが取れなくなっていった。

 それでも、いままで何とかなっていたのは安倍ファンクラブによるネット活動と統一教会に代表される新宗教系の信者による奉仕、そして、創価学会による選挙支援があったからだろう。

 自民党は麻生政権末期にボロボロになり崩壊するはずだった。しかし、危機に瀕して安倍氏周辺の各種イメージ戦略によって地域政党の集合体から国家的な組織へと変容しようとしたともいえる。それが岸田政権によって綺麗に解体され、安倍氏以前の自民党に戻ろうとしたが、かつての地域を担った自民党党員はほとんどおらず、機能不全に陥り今回の大敗北につながったのではないだろうか。

 

2人の死と組織の亀裂

 組織というものは独裁者的な人がいると一気に物事が進み発展を遂げる。しかし、その王様が老いたり死んだりする際に継承がうまくいかないと機能不全に陥り混乱や内乱によって崩壊してゆく。人間社会において、大きくなった組織の機能を継承する試みは2つあって、新しい有能な王を迎えること、もう一つはルール作成による人治からの脱却になる。人の死が組織の転換点となり、成功すると長持ちしたり大きくなる。

 当然、この2つには問題があって、組織を動かす有能な人なんてほぼいない(経験値がない)し、新王が誤った舵取りをすれば部下に突き上げられて大混乱になる。また、ルールによる支配は大きな問題が起こったときに柔軟な対処ができず、チョットつまずくと身動きが取れなくなる。

 そのため、ルールを改正したり、なるべく私情をはさまないで 現実に沿った組織を運営する官僚が必要になるが、官僚も人間であり機械的には物事はなかなかうまくいかない。成熟した集団は少しずつバランスを整えながら変化するしかないのだろう。王様が死ぬまでに組織変革を整えられるケースはあまりなく、今回の選挙でも2人の死が組織崩壊と選挙敗北の原因となったと思う。

 

 一人は池田大作氏の死だ。公明党創価学会池田大作という怪人とその友達が作り出した政治宗教組織である。自称で1000万人を超える(実数は300万人くらい?)信者を抱える日本最大規模の組織だ。ここまで大きいと一つの国みたいなもので、当然様々な利害がある。宗教的に世界平和を求めて夢想する人、現世利益を追求するため組織を利用する人、現実の変革を求めて政治活動する人、コミュニティとして居場所を求める人など十人十色だ。

 この巨大組織をまとめていたのが池田氏だが、先日正式に死亡が発表された。これによって起こったのは内紛である。正直意外であったが、よく見るといくつかの組織間では本当に仲が悪く、その組織内でもいくつかのグループでずっと主導権争いが続き、池田氏の死によって大きな亀裂が明らかになったようだ。つまり、池田氏は次世代の王を作ることをせず、組織間を繋ぐ官僚組織に力を持たせなかったのだろう。

 今回の選挙では石井啓一代表と佐藤茂樹副代表が見事に落選した。政治行政を担う公明党側と選挙を担う創価学会婦人部(女性部)の関係が崩れていることが伺える。

 

 もう一人は安倍晋三元総理の死だ。安倍氏は歴代最長の総理大臣経験者であり、内閣府を強化することで疑似的な大統領府を作り政治主導を志向した。まぁ、賛否両論あるが偉人である。前述の通り、自民党も組織を改編して地域的なものから国家的なものにしようとして、彼の行動に親和的な人たちをたくさん自民党員にすることで党を掌握した。人事権や予算権を官僚から奪い、党からではなく内閣府から利権を配ることで権力を調整した。

 一方で問題も多かった。残念なことに彼の行った施策の多くが失敗し、その調整に首相任期後半で多くの時間を取られ、彼のやりたかったこと(憲法改正や独立した国家運営)はできなかった。また、彼は能力者よりも同志を集める傾向があり、徐々に有能な人材が減り運営に支障が出るようになった。

 彼の死後、所謂安倍派の中で内紛が起こり、その隙を岸田氏周辺に刺されて安倍派は崩壊した。彼が作った内閣府も官僚たちにバラバラにされ、再び官僚主導の行政システムに戻ろうとしている。彼を支えた宗教組織も四分五裂で仲違いをはじめて制御不能だ。結局、彼はたくさんの部下や友達を集めてアベ友にしたが、彼がいないとアベ友たちはお互いに協調せず他人同士、場合によっては敵同士のままだったのだろう。

 つまり、本質的な自民党の崩壊は止まっておらず、安倍シンパが糊のように隙間を埋めていたが、それを取り除いたので実態が表面化したのだと思う。安倍氏は後継者も置けなかったし、組織改編も半ばで死んでしまった。無念だっただろう。

 

まとめ

 自民党公明党も実はボロボロで共依存して何とか組織を維持してきた。これを支えられたのは組織の強固さ(法制度や官僚制)、利権や信念・信仰でもないようだ。なんとなく存在できたのは池田大作安倍晋三と言った個人のカリスマが存在したからであり、そこに人が集まっただけだった。それを失った今、明確な崩壊が始まったことが伺える。

 運動体としての自民党はすでに壊れており立て直しは非常に厳しい。悪夢の民主党政権は3年で日本をボロボロにしたが、今回はどこまで混乱するのかで石破氏の真価が問われるのだろう。彼を切って一旦組織をばらすのか、新しい勢力を入れて立て直すのかは議論が分かれる。

 敵となる集団が現状で様子見のため内紛を楽しんでいられるが、その目がこちらに向いた瞬間に一気に喰われるので、適当なところで手打ちをしないと今後に日本は危険な状況になる。

 

終わりに

 偉大な社長が亡くなって2代目が苦労するのは世の常だけど、組織がデカイ中興の祖的な人が死ぬ場合、とんでもないことになるんだなぁと感じた。現在進行形でそれを見ているんだから不思議な気分だ。

 世襲と官僚組織と新興取り入れをうまくバランスするのは難しいんだなぁ。

 まぁ、一人でえっちらおっちらやるのが一番楽なのかもね(^ω^)

 

 

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