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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

日本保守党は成立するのか

ネット右翼界隈で大きな動きがあって、日本保守党という政党が脚光を浴びた。果たしてこの党は安倍氏亡き後の導になるのか考えてみた。

 

 結論を先に言うと、まぁ1年持てばいいところだと感じた。結構面白い動きだったので、なんでそう思ったかを煽り抜きでつらつらと書いてみる。

タイミングと意図

 この政治団体は元作家の百田尚樹氏と有本香氏が表看板になって結党した。故人となった安倍晋三元総理に強い支持を表すネット右翼界隈の人たちの耳目を大きく引く存在として現れた。

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 正直に言って、現状でほとんど情報はなく箱だけ作った状態だ。そのため、表面だけでは評価のしようがない。良くも悪くも話題先行だ。

 彼らの動きを見ると、まず街頭演説は失敗し、結党記者会見においてもドタバタがあり、十分なプレスアナウンスができず記者が集まらなかった。座談会のような雰囲気の中で百田氏が感情を、有本氏が理論的な話をする流れを作って会見を始めたが、会見の大半は結党と同時に手を結んだ減税日本のよいしょに終始した。失笑である。

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 一般的に、新しいことをする際、まずはやりたいことや熱意を外部に伝えるのが当然のことだ。しかし、この団体はまず内側に向けてのアピールやお友達の紹介を優先した。つまり、組織としては全く煮詰まっておらず、人を集める前に核の人員や役職、金の出し入れなどにも不安の残る船出なのではないかと考えられる。

 では、なぜこんなフワフワした状態で無理やり立ち上げたのかを考えると、周辺情報からいくつか考察が立つ。

 一つは年末ということである。この季節、国政に関わる人はざわざわする。これは献金のタイミング(個人や会社の年末調整)と国会が落ち着き各人が自由に動き出すタイミングが重なるためだ。パートナーとなった減税日本には河村たかし政策研究会名義で献金が集まるが、繰越も含めちょうどいい集金・資金移動(別政治団体設立)のタイミングだったんじゃないかと思う。

 もう一つは自民党のゴタゴタだ。10月後半から次から次へと問題が噴出し、リークに応じた下村議員検察の動きを見ると、いよいよ政治と官僚、企業を結ぶ政商を捕まえようとしているのかなぁと思うので、最悪、総理交代だ。この機に乗じて、もっと素敵な党がありますよとアピールして党員を集めたかったのだろう。

 さらにもう一つは嫌がらせだ。国民民主党から前原誠司らが離党して新しい政党・教育無償化を実現する会を作った。国民民主党の名前で当選した比例議員の脱党は恥知らずな行為で、脱法に近い形で維新の会に合流しようとしている。また、参政党が絶賛内紛中だ。初期の知名度の高いメンバーを追い出し、なんだかよくわからない連中が党の中央を占め、お手々繋いだ草の根運動から中央集権的な独裁党に変わり始めた。前原氏は中道保守という言う不思議な立ち位置で、神谷宗幣氏の発言はめちゃくちゃだが自称保守だ。時期を同じくして彼らがタコ踊りをすると、嫌気がさした保守系支援者が大量に逃げ出す。それを取り込むことを考えているのだろう。

 つまり、何か自主的な政治的意図やスケジュールでの結党ではなく、周りがごたついたから試しにやってみたのではないかと感じた。

 

知名度とセンス

 表看板の百田氏・有本氏はネット右翼界隈では超有名人で、支持者もたくさんいる。しかし、有本氏は記者・聞く側であり政治活動経験はない。フロントに立つには弱い。そのため、百田氏が中央となるのだろう。その百田氏は保守を自称しているが、彼の執筆を読むと書籍ごとに主張が変わり右か左かよくわからない。文章から見ると、機会主義者(状況に応じて考えを変える人)ではないかと思う。

 一方で、彼のX(旧Twitter)の発言で知識や洞察力がないことを露呈しており、度々感情的になり舌禍で問題を起こしている。その際、書籍の文体と本人のSNS文章がかなり異なる(使う漢字や文体が違う)ので、作家としてはチームで作品を作っているのではないかと思われる。

 つまり、中心人物の知名度と比べ、彼らに人をまとめるような経験やセンスはなく、中心に据える政治的主張があいまいであることがうかがえ、知名度と政治的センスがバランスしないことがわかる。

 この不安定さをその他役員が補うことになるのだろうが、結党会見や宣言内容を見る限り、未だ根幹がないので、党全体としても一時的知名度は上がるが、政治団体として秩序だった発信や活動は難しいのではないだろうか。

 

 また、日本保守党というの政治団体は、実はもう存在している。石濱哲信氏という元自衛官の方が2~3年前に届け出を出したその他政治団体である。別に同じ名前でその他政治団体があるのは法律的に何の問題もないが、非常にまずい点は既存の団体に一言も伝えていない点である。

 狭い業界なので、いくら名声を持っていても礼儀を欠くと、運動員の信用が得られず、いいように選挙コンサルなんかに集られて泣きを見る。ありうる失敗例だとガッツ石松氏三橋貴明氏なんかが挙げられる。

 

維新との関係

 維新の会は今一番勢いがある政党で日本保守党の主張と被る部分がある。この党は、有名弁護士の橋下氏(金融)と元大阪自民党の松井氏(笹川の港湾利権)がタッグを組み、在日朝鮮人で大阪芸能界に鎮座していたやしきたかじん氏の尽力によって成立した。紆余曲折あり、今ではそれを元に、上納金を払った新人議員が各地で芽を出しつつある状態だ。

 百田氏は維新との人脈や利権で色々と絡みがある。例えば、芸能界でたかじん氏とちょいちょい関係を匂わせ関係者に紛れ込み、たかじん氏の死去の際、遺産問題で百田氏は一方の側に立って「殉愛」というクソ小説を書いた。どう見ても妻側の依頼本で、依頼者の意図には綺麗に沿った作品だ。また、維新と強い親和性のあった安倍氏に事あるごとに接近し、安倍氏のよいしょ本で虚像を作り上げた。

 朝日新聞広告一面を飾る反戦の本を書き、安倍晋三氏のツイッター写真にしれっと彼のネトウヨ本が飾られる。売れる方法を探し、的確にターゲットを絞って広告し、欲しい人に欲しいものを与えている。百田氏は素晴らしいビジネスマンだ。

 しかし、このビジネススタイルがあだとなって彼は各所で恨みをかっている。例えば、たかじん氏の遺産関連では、大恩のある維新関係者はなるべく発言せず喪に服したが、百田氏は自ら騒ぎを起こしたかじん氏の名声に泥を塗った。表立って何も言わなかったが、彼らの中で目が三角になった人がいるのは想像できるだろう。この例が示すように、維新の中の一方の勢力を上げ、もう一方をこき下ろすので、諍いの原因になりつつある。

 組織が人治的なものから法治的なものに変わりつつある維新の会において、こういった人物とやり取りすることは非常に危険だ。そのため、賢い人達は一歩引いて百田氏達と付き合うことになるだろう。

 

現実的な方向性

 フランス語のconservateurを語源とする保守主義は、「変え過ぎは良くない」という考えが源流である。フランス革命で国がガンガン変わってめちゃくちゃになったからだ。悪く言えばアンチや現状維持的と言えるが、新しい何かに対するブレーキみたいな考え方ともいえる。

 つまり、保守主義はまず初めに何を保守するか・何の進歩を肯定するかを具体的に言わない限り何の意味も持たない。

 日本保守党は各論についてはもちゃもちゃ言っているが、核として具体的に何を据えるのかをはっきりと決めないといけない。この点で、これからしっかりした内容や組織が形成され、素晴らしいものが生まれるかもしれない。しかし、その際、大きな問題があって、彼らは安倍晋三氏を信奉している点である。

 安倍氏は口ではほしゅほしゅ言っていたが、実際は極めて革新的な思想を持ち、ぐいぐい国を変えていった人物だ。立憲民主党枝野氏の憲法改憲論を前提とした憲法改正を提案したり、大量の外国人労働力を入れ、アメリカから従属的に大量の武器を買い中国ロシアと対話をし、消費税率を上げた。結果だけを見ると安倍氏の行動はネトウヨ界隈で大反対が渦巻いるはずのリベラリズムで、現実に沿った反保守的な政策の傾向が強い。しかし、保守言論人や活動家はほぼすべてこれを「是」とした。これは明らかな矛盾である。

 安倍氏亡き後、彼のやったことを継ぐなら保守主義とはならない。本質的な保守主義に倣うなら安倍氏を否定することになる。リベラリスト安倍氏を信奉しつつ保守主義を貫くことは理論上不可能なので、どう整合性をつけるかを考えないといけない。

 

国政政党になれるか

 100万票集めればお金儲けができるというNHK党の立花氏が発明した方法は様々な人をたきつけた。彼の後に続いて、各種の小規模政党が乱立したが、国政政党として成立した政党を見ると一つの内容や特定の集団だけだと100万票にはなかなか届かないことが分かった。

 例えば、れいわ新撰組だ。彼らのバックの思想は極左で多くても50万票程度だが、実際には直近で200万票得ている。残り150万票は思想信条の異なる一般人を取り込んだということだ。

 また、例えば、インチキ保守系国会議員では青山繁晴氏が自民党公認で当選しているが、得票数は37万票(1回目48万票)程度だ。お気持ち系をうまくさらっても50万票がいいところだろう。

 特定政治信条のグループだと、どういった集団でも大体50万票が限界で、国政政党を作るならそれ以外にもう50万票が必要となる。NHK党はそれをガーシーでかき集めて破綻したし、参政党はSNSの活用で反ワクチンなどの烏合の衆を集めたがすぐに分裂した。つまり、強い支持層を固めたうえで、選挙の都度、様々なテーマを引っ張りパフォーマンスや問題提起で耳目を集めて、普通の人を集めないと、国政政党を作る集金方法は続かないことが分かった。

 そういう意味では日本保守党は非常に厳しい。核となる情弱保守層は減少して取り合いになっており30万票程度がいいところだろう。物販だとうまいビジネスになる数だが、選挙となると残り70万票引っ張るには2つ3つ注意を引くトピックスがないと成り立たない。「減税」だけでは何の将来性もないので、新しい指導者や新奇な経済政策がないと見向きもされない。なにか、バズるか炎上しないといけない。

 

まとめて

 そんなわけで何番煎じかわからないふわっと保守と日本大好きだけでは選挙に勝てない。保守と言ってもどんな保守なのか言う必要があり、みんながある程度納得するテーマを保守しないと人が集まらない。

 人を集めても飽きさせない工夫が必要で、適度な刺激と安心感を与えないと人は離れてしまう。

 そういった意味では百田氏や有本氏だけでは不十分で、もう少し面白おかしいコラボ相手やテーマが必要だが、今のところ名古屋の変なおじさんしか相手にしてくれないのでちょっと厳しい。

 誰か若手を盛り立てる形でアイドルや新テーマを作れば盛り上がるかもしれないが、すぐ我慢できず喧嘩する彼らには疑問符が付くので、難しい船出となるのではないだろうか。

 

終わりに

 新しい選挙ビジネスもそろそろ煮詰まってきた。SNSで掘れる票に限界が見えてきたところでの政党立ち上げはちょっとセンスないなぁと思った。

 まぁ、何事も曲がり角を見て判断しないといけないのかもね(^ω^)

 

 

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