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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

移民の先

一時期減っていた外国人が徐々に増えてきた。大量に彼らを受け入れた我が国はこれからどうなるのか考えてみた。

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(今週の一枚)羽ばたきの光(pixiv

 

 街を歩くと、コロナで減った外国人が少しずつ戻ってきた。街の活気と並行して外国の人が増えてくるんじゃないかなぁなんて気もする。では、こういった働き口を求めて日本にやってくる外国人の人たちはこれからどのように日本を作っていくのだろうか。我々はどうなるのかを考えてみた。

なぜ移民が必要か

 本当にここ10年、外国人が増えた。野菜を引っこ抜き、コンビニでレジを打ち、工場で働き、インバウンドで買い物をする。これは2012年の安倍政権成立以降、国が政策を大幅に変更して大量の移民を受け入れることになったからである。

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 日本国籍取得者や日本人との婚姻・永住権取得者だけでなく、外国人技能実習生という言葉を変えた単純労働者や観光・ビジネス目的の外国人を入れると300万人規模の日本国籍以外の個人や家族が日本国内を出入りすることになり、安倍政権前後では人種、言語の幅が大きく変わってきたことを実感するようになった。これをよく言う人、悪く言う人はたくさんいるが、どうしてこうなったか・どうなるかを言う人はあまりいない。

 ではまず、どうしてこれだけの外国人が必要になったかを考えると、ひとつは日本人数の減少、ビジネスの活性化が主な原因になっている。人口問題を国内の福祉や政策の充実で解消しないで、外から買い付けてどうにかしようという場当たり的な解決策から導かれた結果である。

 なぜこんなに慌てて移民を急ぐかというと、日本の人口ピラミッドを見ると明らかだが、これから生産労働人口(働ける人)が著しく減り、非生産労働人口が爆発的に増える。つまり、金のかかる働けないジジババが増えて、働いたり子供を養える世代とその子供世代が急速に減る。そのため、放っておくとあと10年もかからず保健医療は破綻し、負担に耐えかねて国家も支払い不能となる。所謂人口オーナスが徐々に拡大している状態がずっと続くのである。

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総務省統計局、我が国の人口ピラミッドより抜粋

 コロナ禍によって、この人口問題は想定以上に急速に悪化したので、今の経済状態をそのまま維持するなら安倍政権が成した以上の大量の移民を入れる必要が出てくる。

 もちろん、このままでいいわけではないので、少子化対策の試案は枚挙にいとまがないほど出てくる。しかし、それに予算が付き実行に移されるものは自民党菅政権の政治主導で成されたの不妊治療保険適用化程度で、それ以外では大規模に制度を変更したものは全くない。お手盛り行政で終始している。

www8.cao.go.jp

 

 そして一番の問題はお国が~なんて芋くさい印象論ではなく、我々自身も「子供を持つことが生活の負担」という意識が根付いてしまっていることである。企業や個人としての少子化対策の動きの鈍さが本質であり、その延長が国を動かしていると言える。

 10年で団塊の世代とミレニアム世代の穴を埋めるためには単純計算で1000万人規模の追加人員がいないと今のサービスは回らない。

 

移民は来るのか

 1000万人、人口の10%移民は言い過ぎかもしれない。少人化や機械化の推進、集住化による地方部の切り捨てなどドラスティックな対策をして日本として小さくなりながら国力を維持できるかもしれないが、やはり相当数の移民は必要である。

 では、こちらは補充人員が欲しいとして果たして移民は来てくれるのだろうか?

 

 問題点は2つある。

 

 一つは小さく衰退しようとする日本に対しての魅力である。国籍を取るにしろワーカービザを取るにしろ価値がないと来ない。今のところ日本は世界の金融資産を大量に持ち、国内に大量の物理的資産を持っている。

 しかし、持っているだけでそれを増やすことができない(増やす以上に減っている)ため、近いうちにその蓄えもなくなる。また、為替差益では日本で稼いだ金銭の価値がこれから徐々に下落することになる。日本人が外国で稼いだ金を国内に持ち込むのは有利だが、その逆は大損である。アメリカやその他先進国がインフレ抑制のためにテーパリング(お金の循環を減らす)を行う一方で日本銀行はデフレ抑制のため金を刷り続けることになり(日本国債買い付けとETFの購入)、それはずっと続くだろう。そのため、この体制や政策方針が維持される限りさらなる円安が続くことになる。

www5.cao.go.jp

 これらのことから移民するのに不適な状態が常に醸成されることになるので、移民の人気度はどんどん下がる。

 

 もう一点は東アジアの総人口と受け入れ数の問題である。現状でも中国、韓国、台湾など中華世界・華僑圏は高い少子化状態が続き、中国ではついに人口減少が始まる。おそらくそれはベトナムやタイなどのインドシナ半島でも同様の現象が起こる可能性があり、東アジア全域で人手不足になる状況が予想される。

 つまり、需要と供給が今でもひっ迫しているのにこれからそのバランスが大きく崩れて需要過剰状態となり大幅に賃金の上昇が起こるようだ。

 では、中華世界の外から人を入れればいいと思うかもしれないが、こういった試みはほぼ失敗している。所得の低い南アジアや東ヨーロッパから人を呼んでもどうしてもうまくいかない。文化が、世界が違うのである。

 

 以上から、たとえ移民を想定したとしても思った以上にそれが進まず、大体5~10年程度たつと移民数自体が減少・東アジア全域での資金・人の流動性が低下することが予想されている。それまでに如何に数を増やすかが目途となるが、なかなか難しいだろう。やっぱり考えの近い人が集まるのは人情だろうし、アメリカのように同じ国の中にいくつもの別コミュニティーを作るのは日本では無理だ。

 

移民の子はどうなるか

 10年をめどとして、移民を増やしたとしてそれはあくまでその場しのぎ、その世代のみの解決方法である。その後の10年、20年を考えると、それはその移民やハーフの子供たちの問題となる。

 移民が大量増加する前の子供の中には成功者になった人もいれば犯罪者となった人も多い。例えば、村上ファンド村上世彰氏やインフルエンサー橋本甜歌てんちむ)氏、NBA選手の八村塁氏など有名ではないだろうか。これは総体として数が限られていたので極端な例が目立っていたが、これからはその数が何十倍にもなるので特別な例として挙げられないようになるかもしれない。

 これらを指して、ネット右翼が「外国に乗っ取られる~」といい、自称穏健サヨクが「多文化主義の発展が~」なんて言うが、どちらも妄想である。

www.mext.go.jp

 現実はもっとシビアで、現状で約10万人の義務教育を受けるべき移民の子供がいるがそのうち1万人が教育を受けていない。10%が見捨てられているという現状である。また、一応教育を受けている9万人のうち、うまく小中学校で地域社会と溶け込む制度を組み立てられるかは各地方自治体ごとで大きく異なり、何とかやっているところもあれば完全に破たんしているところもある。

 今の状況でも教育現場での容量を超えているところが多くあり、これが数年で数倍になってしまえば大混乱になることは火を見るよりも明らかだろう。

 そして、何が問題かというと子供が可哀そうという感情論が問題ではない。問題は未来にあり、教育を受けない子供が増えるということは我々の理解できない人間が増えるということである。我々のルールを知らない人が大量に地域に根差すことである。これは何となく恐ろしいことで何が起こるかよくわからないと思われるかもしれないが、実例はヨーロッパにある。西ヨーロッパではユーロ圏内だけでなく人手不足解消のため大量の移民を異文化のトルコや中東、北アフリカから呼び込んだ。この政策は成功をおさめ経済発展と共に人口増加を成した。

 しかし、その約20年で2世3世の問題が顕在化する。フランス・イギリスでは移民の第2世代以降の教育に失敗しギャング化や文化・宗教の不寛容などの社会問題に発展し、国の中に敵を作る状態までに至っている。「分断」というやつである。

toyokeizai.net

 日本においては朝鮮人問題、中国残留孤児の2世問題が根としてあるが、我々の方向性として世代を経ることで徐々に軋轢を解消してきた歴史がある。在日朝鮮人4世以降はほぼ日本人だし、それをもって差別するようなことはほとんどないだろう。しかし、それはあくまで少数の移民(日本人の1%以下)をどう取り込むかが主眼であり、数年で3%、10%の大きな変容には対応できない。

 このまま制度を整えられなければ10年とたたず大量の無就学児童を生み、結果、大量の読み書きできない人や犯罪者予備軍を抱えることになり、フランスのような歪んだ国家になってしまう。

 

どうすればいいか

 道としてはいくつかある。

 移民を入れずジジババに押しつぶされるか、移民を少しずつ入れ衰退しつつも同化を図るか、大量に移民を入れ経済規模を維持しつつ混乱を受け入れるか。

 結局のところ、経済や国は人の数である。いまより衰えていいならそのままでいいし、今より栄えたいなら人数が必要だ。

 我々がどうしたいのかを決め、そのためにいくら出すかを決めればこの問題は解決する。

 在来の日本人が子供を産み育てることが負担なら一人につき1億円あげて教育をすべて無料にすれば解決する。移民を入れるならしっかり同化するために彼らを子供込みで制度と金で縛ればいい。しかし、それには莫大な金がかかり何かを辞めなくてはならない。

 どうすればいいのか?ではなく、我々がどうしたいのかを日本人が決めるステージに来ているのだろう。歴史のターニングポイントである。

 

終わりに

 調べてみると結構ヤバい段階に来ていた。流れに任せると決めてもいいし、未来を考えて真剣に先を決めるのもいいけど、なんとなく破滅するのは嫌だなぁと思った('ω')

 

 

 

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