パソコンが不調の間、趣味ができない分、自分の絵を見直す機会を得た。その際感じたことや分かったことを自己分析のためにも書き残しておこうと思う。
（今週の一枚）廃墟で主人を待つ巨竜（pixiv）
何年も絵を描いていると、思いついたことや覚えた技術が泡のように出ては消えるようになる。自分にとっての経験値として心のどこかに生きています的なことを言えればかっこいいんだろうが、自分はそんなにカッコよくない。もう一歩進歩するためには何が問題だったか、解決のために何をしたのかを振り返る必要があると思った。
繰り返し同じことをするのは一つの美点で芸術だが、才能のない自分のスタンスは出来るだけ色々やってみていいものを拾おうというものなので、同じ失敗や堂々巡りをしないためにも一旦自分の絵や技法を簡単に振り返ってみようと思う。
絵の変遷
古い自分の絵を順に見て行くと何とも恥ずかしい(*ﾉωﾉ)ﾊｽﾞｲ。週一投稿をしようと思った当初はデジタル機材や素材が不足していたこともあり、なんとも出来の悪い作品が多かった。特に彩りが全体的に暗く、陰鬱な雰囲気がどことなく漂っている。まぁこれは原因が分かっていて、作成に使ったポンコツモニターの色相が狂っており、その状態でお絵かきしていたからである。新品に入れ替えたら一気に画風ｗが一気に明るくなった。
当時の制作データを振り返ると、一生懸命作っていたことがわかるが、アウトプットされた絵を見返すと「お前は何をしているんだ」と言う感じでへたくそでへんちくりんなものが目立つ。よくわからず迷いながら作っていることがうかがえるが、これこそが自分の絵であり本質的にここから離れたイメージになっていないのは良かれ悪しかれ個性なんだろうと感じた。
その中でphotoshopの使い方と絵の見せ方を自己流で作り出す遊びをするようになって、色々なパターンの描き方や見せ方を工夫するようになった。
特に背景に関しては人工物や植物、色彩や明暗を色々弄って自分にとってよく見えるものを選んだり、作り込みを増やした点はとても進歩が見られたと思う。
そういった技術的なものが安定してくると登場するキャラを絞るようになった。猫やカッパ、魔女のようなファンタジー寄りの要素が自分としての個性を維持するキャラ選びだったんだろう。
こういった長年の試みは所謂HowTo物を一切見ていないので、当然粗があったり他の方が正しいとするイメージとかなりズレたものになったので、それを見慣れた方々にはかなり奇異な印象に映ると思う。
描きたいものを描くという当初の目的は維持しつつもっと上等なものを作りたいなら、その手の技術書をあさって真似をすることが大切だが、そういった物にいままで手を付けなかったのは遊びの域を出ないからできたことなんだろう。
陰影に強いこだわりがあるが、過去と比べると色彩の取捨選択が大分できるようになったし、無駄な陰の暗さが減った点は上達してきたんじゃないかと実感できる。
色々とパターンを変えて作れるようになったのは器用貧乏なのだが、自分の頭の中にあるイメージをより分かりやすく出せるのはちょっとした喜びなのかもしれない。
顔の描き方
顔を描くのは難しい。いまだに悩むしどうやってもうまく描けない。最初のものはギャグマンガに出てきそうな顔になっていた。
なんか頑張っているけど、今見ると滑稽である。見返すと衝撃が走る(;´∀｀)。
自分にははっきり意識できる２つ問題があって、１つは複雑な顔の形をうまくデッサンができないという技術的問題と、もう一つはどういった顔にしたいかと言う具体的案が今もって存在しないことである。
造形としてアニメ的な動きのあるものにするか、もっと純粋なヒラメ顔にするのか、実写寄りの凹凸のある立体向きのものにするのかと言った方向性が見えない。
自分は実写寄りの顔から徐々にアニメ的なシンプルなものに寄せてきたのだけど、これは絵を立体的に陰影を大切にして各都合上どうしても顔だけヒラメ顔にしてしまうと顔だけ浮いて気持ち悪いコラ画像になってしまうからである。
このコラ画像感を消す方法はいくつもあるし、色々試したが、結局はある角度でキメ顔をどう作るかということに今は落ち着いている。立体感やパーツの配置なんかは無視をして、その瞬間でそれっぽく見える顔と言うものがあることは自分には衝撃だった。このキマる顔とその角度をいくつかパターンで作ってしまえばあまり悩むことなく顔を描けるようになったのだが、上手な人のようにはまだできていない。
このキメ顔が作れれば、アニメ的な顔にも望むことができる。自分の技術とキメ顔のマージがうまく働けばいいものがどんどん作れる可能性もあるので、これだっ！と言うものを１つでも作ることが最優先事項だと実感した。
細かさの追求
細かく描けば描くほどそれっぽくなるという自分なりの信仰があり、絵に対して自信がないから作品を良く見せようしてどうしても描き込みが多くなり、その技術的に中途半端な描き込みが原因で絵の質を下げているものが見られた。
本来は「何を描き込むか」というものは「絵で何を言いたいか」ということが一致していないといけないんだけど、古い作品を見返すとそういった絵の方向性がなく、技術的にチグハグなせいで描き込むほど異様な状態を作り出していることが分かる。
例えば、上のバカンス猫の絵は一見それっぽく見えるけど、遠近感と影の位置がおかしい。すべての領域に焦点があるためどこを見てもくっきり見えるし、太陽の位置を決めていないので影の位置がまちまちになってみれば見るほど変なだまし絵に見える。
こういったアンバランスがなかなか改善されないため一時期絵の評価がどんどん下がっていったことを覚えている。もちろんテーマが良くて何が言いたいかはっきりしているものは今見てもそれなりの出来にはなっているんだけど、平均値としては低いものだったと感じた。
感覚的に何を減らして何を増せばいいかよく理解できなかったともいえる。
そこで、一つの転機になったのが下の絵で、逆説的にそれならできる限り書き込みをして、その中で減らすものを探していけばいいという実験を行った。
絵の技術としては拙いところもあるが、現状においてもこれ以上の描き込みはできない。これを基準にどれを抜いたり、どれを中心にしたほうがいいかという基準ができた点がとてもよかった。この絵の作成以降は中心とイメージの関係が徐々にそろってきたことが分かるし、あまりよくないで気の作品であっても、何が悪かったか自分なりの評価ができるようになったのは大きい。
シンプルなことがいいわけではないが、ごちゃごちゃも場合によるということ経験的に学べたと言い換えられる。
他者との比較
Twitterや他SNSを見ていると評価される作品はたくさんあっていいなぁとよだれが垂れる。そういった作品の特徴は「ぱっと見てハッとする」であることは議論の余地がないだろう。つまり、一瞬でピンとこないと絵としての価値がなくなるのである。そこには文字の修飾であったり、作品や作者の知名度もあるし、漫画やキャラの分かりやすさだったりとそれ用のテクニックが必要だ。しかし、そういった大量に消費される作品は当然作りが雑で、なんとなく意図がわかる程度のものが多く、手元に置いておきたいとか実際お金を出して買いたいというものは少ない。
そういった目線で自分の作品を振り返ると、どっちつかずになっているものがとても多い。誰に見てもらいたいのかや見てくれる人を向いた作品は少ない。つまり、一品物として作り込んだものを作るか、大衆向けにわかりやすいものを作るかを選択する必要があるのかもしれないなぁと感じた。
正直なところ、金儲けや人気を得るならアニメキャラやそれ系エロを撒けばどうとでもなるし、画風をそちらよりに合わせればその辺の同人作家さん以上のもの物は出来ると思う。恥を捨てて人に合わせることは必要だが、今までの積み立てものは何だったかというモヤモヤがある。しかし、意地を張って我流を貫くならこれ以上の評価を得ることは限界にきているんじゃないかなぁとも思う。
趣味でやるなら自分の楽しくなるものを描けばいいのに他の絵描きさんのようにもっとちやほやされたいというのは何とも子供じみているなぁなんて気がして恥ずかしいと思った。
終わりに
まぁ色々描いたけど、しばらくたってこの記事を見直すと「アホなこと言ってるなぁ」と恥ずかしさに身が震えるのだろう。
それでも自己認識を持つことと欠点と進歩を知ることは大切だと思うので、必要なメモだと思って書き残しておく(＾ω＾)
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