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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

ドラマ・ペリフェラルの未来は本当に明日の世界なのか

ペリフェラル ~接続された未来~を見て、視聴途中ながらも素人なりに考察をしてみた。

(今週の一枚)ピチュン☆(pixiv

 

 

 先週は微妙な映画を見て創作意欲が少しよみがえった。しかし、まだ万全でないので今度は評価の高い作品を見ることにした。

 今回選択したのはペリフェラル ~接続された未来~というAmazon Prime独占のドラマ形式の作品で、ジャンルとしてはSFサスペンスドラマになる。

 最初に自分の評価を書くと、「う~ん、まぁ面白い」という感じである。なんでこんな評価になったか、概要、これからの展望、考察といった具合に書いてその評価の理由を示そうと思う。

 

※ネタバレを含みます※

 

ストーリー

1話の概要

 主人公はアメリカのイモ臭い田舎に住む女の子でFPSが上手。父はすでに他界しており、母は難病で明日をも知れない。兄は戦争から帰ってきてから半引きこもりでゲーム三昧。くそみたいな状態である。そんな折、新しいVRゲーム用ヘッドセットが届き、なんかヤバ目のゲームで兄のアバターを使ってプレーでお金を稼ぐことになった。

 ゲームのフィールドは未来のイギリス・ロンドン。とても臨場感・没入感があってゲームには見えない。しかし、違和感を感じながらも依頼者の女と共に遊ぶことになる。美女とちゅっちゅしたり、目ん玉を移植したり、ロボットとバトルしたりとゲームは進むが、ある建物へ侵入中にやられてしまった。

 数度のプレイ後のゲームオーバーで、激しい痛みとめまいを感じながら女の子は現実世界に戻る。近くにいた兄に心配されながら、女の子はこのゲームのすばらしさを語る。怪しげだがとても魅力的なものを見つけた気分なんだろう。

 現実世界では母のために違法薬物を買いつつ介護して、女の子は町の3Dプリント屋で働く毎日である。そんなある日、いろんな電子機器から警告が届く。「君は狙われている、連絡をくれ」と。キモいので無視をして家に帰ると、兄が友達を呼んで焚火パーティをしていた。そんな家にも警告が届き、武装集団が襲いに来たという。もしかして…と思い、兄に相談すると、ドローンを飛ばして敵を発見し、まるでゲームのように兄たちが兵隊を皆殺しにしてしまった。

 そう、実は兄と友達は体に精神同調機を仕込んだスペシャルソルジャーだったのだ。

 

2話以降の概略

 1話では掴みとして女の子周辺の設定の説明が主だったが、2話以降からは話がどんどん進む。すべて書くのは無理なのでざっくり概要を記す。

 女の子たちを襲った兵隊たちに金を払ったのは未来に住んでいる者からだった。女の子に警告を出したのはゲームを依頼した女の兄弟で、彼はゲームオーバー後の依頼女の所在を知りたいとのことだった。依頼女は生死不明で行方不明なのだ。

 依頼女の居場所を調べるため、女の子は再び「未来」に呼ばれる。実はゲームは精巧に出来たロボットを時空を超えて遠隔操作するものだった。つまり、ゲームは未来の現実なのだそうだ。

 「未来」は様々な災害によって破綻し、再生の途上にあるそうだ。クレプト(独裁政権)、ヤード(治安警察)、インスティテュート(研究所)が協力することで不安定な世界を安定させているそうだ。そして、依頼女たちはクレプトに所属し、研究所から門外不出のスタブ(過去の結節点、代替となる未来の可能性)の情報を盗むために女の子に協力を仰いだのだ。

 研究所は未来から過去に情報を送ることができ、現在ではその情報から富を得たり、未来の秘密道具を作れたりする。研究所は過去を操って破滅に向かう未来を救おうとし、依頼女は女の子を利用してなんらかの意図でスタブを盗んで隠れたのだ。

 そんな中で、女の子たちは未来から依頼されてくる刺客を退け、逆に未来に飛んで依頼女を探しつつ研究所と戦うこととなった。

 

話のこれからの展望(予想)

 現時点で配信は6話までなので、それ以降の展望を予想してみる。メインストーリーは研究所との対決と依頼女の捜索による隠された真実の追及だろう。バトルしている間に様々な伏線が回収されるのではないかと思う。

 伏線はいくつもあり、本当に人類は生きているのか、スタブによって分かれた世界はどうなるのか、女の子の恋、家族愛・友人愛・地元愛、未来からの干渉で歪んだ過去あたりかと思う。

 未来に行ったり、現在に戻ったりを繰り返して、誰が敵で誰が味方なのかを繰り返してゆくと思うが、こういったアメリカドラマの常として、中立勢力の存在がネックになってくる。現在では町のギャング、保安官事務所、ハッカー、未来では治安警察、仲間以外のクレプトのだろう。

 おそらく、スタブがあることで破滅的な未来を変えることができるが、例え変わったとしても破滅自体は変わらないのではないかと思う。

 

 踏み込んだ予想としては未来に行けるんだから、女の子が過去に行ってお父さんにあったり、ずっと片思いの彼とイチャイチャしたりと昔出来なかった夢をかなえたり、過去の願望をかなえ、その過去が現在を、そして未来を変化させるのかなぁなんて思う。また、過去の対比として、未来の再生は実はインチキで先のない絶望があることを告げるんじゃないかと思う。

 これはところどころに話の挿入に過去の事実や未来の悲観論が差し込まれているからだ。思い出だった過去は実はこうだった。思い描いていた未来は実はこうだったというのは作りやすいし、それを変えることができれば…というのが大きな流れになると思う。

 

なんちゃって考察

 いいドラマだと思うけど、内容を考えてみるとなんか変だなぁと思った点があるのでちょっと書いてみる。

時間旅行に関して

 まぁ、はっきり言ってシュタインズ・ゲートアメリカ版だよね、このドラマ。β世界線をどう超えるか(求める未来にどう行くか)がテーマになっているからタイムマシン物はどうしてもそういう風になるのかなぁと思う。

 シュタゲでは主人公だけが限られた時空間を旅して苦しむけど、このドラマでは、理屈上、現在に体を残したまますべての人が時空を飛び越えることができる。そのため、実はこうでした~っていうストーリーを無限に作り出せる。

 ただ、本質的な問題として、タイムパラドクスが解決しなくなる。

 シュタゲでは破滅的な未来の逃避方法は観測できる主人公が求める世界を認識する(たどり着く)ことであり、色々な世界の自分の体を乗り継いでいる。「彼だけ」が世界を決定でき、他の世界線が消えることで唯一の世界が正しい未来となるというものだ。

 しかして、ペリフェラルの解釈では体を残して意識のみ時空を行き来でき、観測者は何人もいるので、世界が幾重にも枝分かれする。こういった場合、一番確からしい世界だけが残ることにはならないので大きな矛盾ができてしまう。

 過去に干渉することで未来が変わるが、その過去から見て未来は2つになる。これは観測者の体と意識が別々の時空に存在し繋がっているからだ。変わる前の過去を知っている未来人にとって彼らの過去はそのままだし、過去の人にとってやはり未来はひとつだ。未来人の未来と過去人の未来は一致せず世界が割れる。

 さらに、観測者が多数いると無数の可能性ができて、その観測者が未来にいた場合、その人ごとに未来が生まれ、行動ごとに未来が変わるので認識される未来は無限となり発散して破綻する。

 これを超技術「スタブ」でどうにか…というのはちょっと雑かなぁと思った。

 

アメリカの風景について

 このドラマでは色々アメリカの問題を内在している。男女の関係、名誉除隊兵、障碍者、田舎の人間関係、環境問題、未来への不安などなどたくさんある。現実側ではこの問題をちょいちょいつついて視聴しているアメリカ人の注目を引こうとしているけど、どうも違和感がある。

 日本人から見ると作中のアメリカが理想的に描かれている。出てくるキャラがみんな綺麗なのだ。体から言って違う。男はみんな身なりがよく背が高くてマッチョ、女はみんな美女で発音がとても綺麗。家の中はちゃんと掃除されており、道もきれいに舗装された美しい街並みだ。

 しかし、実際のアメリカの田舎は違う。どよんとしていて出てくる人はおじいさんおばあさんばかりだ。体格もでぼっとしていて、閉鎖的でなんとなくお互いを監視している。20年くらい前の日本の田舎に似ているところが多い。

 つまり、現実的にきわどい話題を取り入れているのに、それを話しているキャラが田舎にいない存在なのだ。萌えキャラが介護問題を議論しているような感じと言えばわかりやすいかもしれない。

 そのため、空想SFと社会問題を混ぜた問題作なのに、ドラマの像がいかにも軽く現実感がないのである。

 

未来のカタチについて

 今作では世界は一度破滅して不安定に再生しつつある。ロンドンを舞台にしており、人間の数はとても少なく、都市の再建もほとんど進んでいない。これを隠すために改造した視覚を利用して拡張現実を見せてごまかしている。

 ただ、この表現方法はどうもおかしい。例えば、海外旅行をして空港に降り立って一番に感じ差異は「匂い」だ。日本の空港に降り立つと醤油の匂いがするし、ニューヨーク空港に降り立つとおしっこ臭い。多くが廃墟なら砂埃の臭いがするし、かつて人がたくさんいたならカビのような異臭がするだろう。

 こういった肌感がこの作品の未来像に感じない。変なロボットやそれっぽい衣装も浮いている。アメリカ人にとってロンドンとは近くて遠いイメージなんだろうが、架空のロンドン感が強すぎて、未来というより仮想世界のロンドンなんじゃないかという印象を強く受けた。

 また、キャラクターに実体がない。破滅的な状態を生き抜いてきた人たちにしてはのんびり生きているし、死を簡単に扱いすぎている。話が進んで、この人たちはDNAから再度作った偽造人間だったのだ!とか、やっぱり仮想世界でした~というなら面白いけど、みらいのカタチがキャラや風景背景から感じられないのはちょっと悲しかった。

 

総評

 …ということで、よくできたドラマなんだけど、ちょっと考えるとなんだかふわっとした作りになっている。多くのアメリカ人の気を引くために色々とフックを置いているけど、それが没入感を阻害している気がした。

 また、テーマを多く引いている割には単調で中だるみする部分が多いため、話の筋が追えなくなることが何度かあった。この辺をもっと練っていれば傑作になったんだろうなぁと感じた。

 そのため、面白いけど…う~ん…という評価になる。

 

終わりに

 ごちゃごちゃ言ったけどよくできてるなぁと思う。何かしらを吸収して創作に生かそう!

 …という感じでボチボチやっていければなぁ(^ω^)

 

 

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