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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

なぜ森喜朗がリンチされたか

1つの発言で元首相の森喜朗氏が全方位から罵倒されてオリンピック委員会から降りた。なんでこんなことになって、これからどうなるか考えてみた。

 

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(今週の一枚)もうすぐ春(pixiv

 

 自分はこの森喜朗と言う人を個人的に知らない。しかし、こんなつまらない発言で批判されるのもおかしいし、役職を辞める辞めないでオリンピック関連の時間を使うことは愚かなことだと思う。

 だから、どうしてこんなことが起こって、それによってオリンピックがどうなるか考えてみた。

 

森喜朗と言う政治家

 政治家は多かれ少なかれ何らかの組織の代表である。わかりやすい具体例を言えば、平沢勝栄氏は警察/パチンコ、佐藤正久氏は自衛隊/家族互助会、長妻昭氏はNTT/NTT労組、蓮舫氏は台湾/北東アジア貿易の表札的人物である。

 こういった利益代表の政治家は別に頭がいいわけでも弁がつたわけでもなく、~20万人の人たちの利益を誘導するために別組織(代表政治家)や官僚との調整をするための存在なので、調整ができればよく、それ以外の活躍は票に繋がらないので働くかどうかは本人の能力・気分次第となる。

 そういう意味では森喜朗氏は農畜・文教関係を取り仕切り、早稲田関係に広い人脈を持つ人で、父親が旧陸軍にいた関係で韓国・台湾関連に強いコネがあった人である。勉強はできないが、調整役としては非常に高い能力を持ち、目立った政治的失敗がない。棚ぼたといえども総理大臣にまでなった人である。

ja.wikipedia.org

 一方で、分野外の知識やマスコミ調整が極めて弱く、度々やり玉にあげられて必要以上にレッテルを張られる人であると思う。

www.chunichi.co.jp

 ほぼすべての「失言」が発言やスピーチの枕言葉を悪意を持って切り取られたものであり、業績を改悪・捏造されて報道されている。あんたどんだけ嫌われてるんだよと思う。

 強圧的にマスコミ対策をした前総理の安倍氏や道化に徹した小泉純一郎と比べると古いタイプの職業政治家、ポピュリスト政治家と対極の人だと分かる。

 

今回の問題発言と問題の本質

 森氏が今回退場することになった発言を追うとオリンピック関連でかなり重要な発言があり、その中で組織全体に自主性が乏しく、これからの懸念についての発言があった。

www.nikkansports.com

 この発言の中では委員になる女性は競争意識が高く、しっかりと発言する。そういった女性の人数が多いと女性同士牽制して会議の時間が足りなくなる。しかし、立場や地位に関係なくみんな自由に発言して欲しい。そのため、自分の時間を削ってもみんなのためになりたいと言ったことが書かれていた。

 ちゃんと読むとまぁそうだよねとしか読めないし、なんでこれが問題発言なのかわからない。自立した女性が役職を得て盛り上げてほしいとしか読めない。女性蔑視は完全な捏造である。

 まぁ森氏がクソ野郎だというバイアスを持って読めば、この発言を女性は下等だと強引に読むことができるので、仮にそう受け取って発言を考える。

 実際、女性は話が長いかどうかを考えると、まぁくだらない長話をする人は多い。

jisyacon.com

 しかし、そういった長話は男性でもする人が多い。誰しも趣味の話を始めると終わらないし、まとまりがない。自分の趣味と関係ないことをオタクが話を始めると拷問のような時間が流れることがある。

 また、経験上、インドやパキスタンの人と話すとひたすらしゃべり続けて「こいつはインコか」と思う時もあるし、沿海の中国人とビジネスをするとひたすら交渉で4、5時間後には吐きそうになるし、アメリカ人と話すと自慢自慢自慢自慢自慢自慢でめまいがする。

 つまり、万国共通で人間はしゃべりだすとみんな話が長い。長いな~と感じるのは聞き手にとって利益や興味がない話をされた時であり、会話や会議が長いと感じるのはそこに出席している女性の発言が自分にとってつまらないと感じるかどうかという気持ちの問題になる。多くの男性にとって、女性がする話題は興味がないものが多いのだろう。

toyokeizai.net

 そういった意味で、「女性の話が長い」と言うのはそれ自体がレッテルだが、森氏の捏造された発言に反応する人が多いのはレッテルそれ自体が社会常識となり、実はそれがコンセンサスになっているという点が問題の本質なのではないかと思う。

 

ネットによるマスコミの変容

 ではなんでこんなどうでもいい発言で時間を無駄にしたのだろうかと報道を追ってゆくと、マスコミとネットの問題に行きつく。

 マスコミの取材をちょっとでも経験した人はわかるが、彼らは礼儀を知らないし物事をよく調べないで記事のために嘘をつくことが多い。「マズゴミ」やら「羽織りゴロ」なんて呼ばれて卑下されることもある。特に政治関連は政治記者の好き嫌いで記事を書くので全くあてにならない。森氏はそういった記者連にひどく嫌われており、めちゃくちゃなデマを書かれることで有名な人である。

 ネットは対象は何でもいいので、馬鹿なことをしたり、常識と少し外れたことをしている奴を見つけて集団でぶん殴るのが一種の遊びになっている。以前であれば、ニコニコ生放送の雑談界隈や2chの嫌◯◯のスレッドで対象を決めて突撃をかけていたが、最近ではインフルエンサーまとめサイトが核になっていけにえを探している節がある。こういった攻撃には同数以上の守備が必要で、推しの信者であったりネトウヨ的な同じ思想集団が一群となって戦うSNS集団戦が流行になっている。森氏にはそのような信者も思想もないのでネットに仲間がおらず、殴りたい放題になる。

 この2点が相まって、森氏は格好のおもちゃになりみんなで殴れるだけ殴ったというのが今回の件なのだが、ゴシップ記事→SNS→新聞記事→SNS→テレビと言ったルートで情報が増悪していった点が興味深い。

 ポイントごとにストップできたのにだれも止めなかったし、広がるごとにデマや捏造があたかも重要な政治問題として広がっていった。ここで注意すべき点はメディア発の情報であったはずなのにいつの間にかSNSに情報が引きずられてという点である。

 本来取材をしたり裏取りをするマスコミは森氏の全文発言と言う情報を持っているにもかかわらず、森氏が辞めるまでネット情報を基礎として報道が続いた。感情的に、より面白いネット記事を拾い、SNSの発言を切り取ってはやし立てた。

 今までもこういった煽りはあったが、新聞各紙は何らかの意図をもって嘘をついたり、対立する新聞社が反対の情報を流したりして情報の価値を維持したが、今回は全てネットの情報に流された。…ということはメディアとしての体裁をついに捨てたということになる。

news.yahoo.co.jp

 事実よりも感情、報道よりも扇動、と言った感じで情報源としての価値を失ってゆくメディアの状況はこれまでも広告費情報の早さという点で意識されていたが、ここまではっきりと変化した事象を見れたのはちょっと驚きであり、メディアの主従が完全に変わった転換点だと思う。

 

オリンピック問題のこれから

 こんなくだらないことに時間と労力をかけて騒いでいる余力がオリンピックスポンサーのいるマスコミや開催国の日本オリンピック委員会にあるのだろうかと言うと、まったくない。上記の森氏の発言でもあるようにコロナ騒動で各所の調整が全くついていないというのが実情で、国際オリンピック委員会を通した放映権(アメリカメディアとの調整)、選手の入国(各国との調整)、観客の出入り(その他イベントの調整)、報道のコントロール(メディアとの調整)、スポンサーの権利(企業との調整)、交通、プレイベント、ボランティア含む運営など様々な問題がほぼ手つかずで放置されており、側から見ていてもヤバいのが分かる。そして、それを知ってどんどん人が逃げ出している。

www.itmedia.co.jp

 また、スポーツ興行とは多かれ少なかれヤクザの見世物と言う側面を持っており、そういった連中をどの程度入れるか除くかという現実的な対処が宙に浮いたままになっている。それの中心となるチケットにしろ会場警備にしろ何の結論も出ていない。

www.zakzak.co.jp

 また、アメリカメディアとの調整は数千億単位での金が動き、オリンピックをやらない場合や縮小する場合はその放映権料をどうするかはっきりしない。契約主はIOC国際オリンピック委員会とNBCであるが、開催は日本国が保証しているものである。各種保険の契約約款は戦争や災害などやむを得ない天災をどうするかについて詰めているかどうかでかなり変わる。こういった大イベントの積み立ては交渉によってかなり変わるので、開催国の日本側が契約に対してはっきり意思表明をしないといけない。

www.nikkei.com

 やっても客は入らないで損するし、やらないなら残った施設や権利分配がのしかかる。やるにしろやらないにしろ負担金が重くのしかかる失敗が決まったイベントが今回のオリンピックで、その損をどの程度減らすかがこの東京オリンピックの命題となっている。

 本来、こういった調整を森氏を中心にやるはずだったんだろうが、彼が下りてしまった以上誰かが代わりにこの負け戦を差配しなくてはならないが、そういった勇気のある人はなかなかいないし、勇気があってもその能力がないだろう。

diamond.jp

 時間的な調整さえもつかない状況において、中止や続行の判断を付けられる政治的決断をできる人は総理を含め日本にいないので、事業はこのまま惰性で進むことになる。

 筋としては、日本人のみ客として入れ、感染の状況によって各国の選手の出入りを制限し、競技数・競技人数を絞る限定的な開催でお茶を濁すことになるだろうが、それがどの程度の損で、表面的にでも成功するか失敗するかはわからない。ただ、ただ、開催したという事実だけ積むことになる。

  つまり、憂さ晴らしでリンチした爺が実は結構大切な人で、東京オリンピックはもう取り返しがつかない状態になってしまったと言える。

 

終わりに

 結構悲観的な締めになったけど、この失敗が一つの転機になってもう少し一丸となって物事にあたれるようになればいいのかなぁなんて思った。

 …まぁネットや新聞報道見ていると無理かもね(;´Д`)

 

 

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