ゲージュツの秋なので、色々なアプローチで絵を描いた。方法論としての挑戦は面白かったが、その過程で次々と問題と悩みや感想が浮かんだので、忘れないように書き残しておく。
(今週の一枚)お茶会(pixiv)
※目次※
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16:9とバランス
自分の描きやすい大きさは4:3のいわゆるテレビアナログ放送のサイズなんだけど、絵を描く幅として様々なサイズで表現できたらかっこいいなぁと思って、16:9のデジタル放送サイズに挑戦した。
このワイドサイズはtwitterのスマフォ画像表示や様々なゲームの全画面表示で一般化したデジタル画像全般によく使われるスタイルなので、ちょっと抑えておけば色々汎用性があるなと思って手を付けたんだけど・・・これが結構難しかった。
キャンパスの大きさがちょっと変わっただけで何を間抜けなことを言うかと思うかもしれないが、従来のやり方だと、まだこんなに描ける空間があるのか~となってかなり困った。
例えば、キャラ絵を描こうとして、4:3の大きさであれば、無駄なく全身が入り、余白が少ない分キャラを目立たせることが容易にできる。しかし、16:9のではバストアップを作るにしろ、全景を描くにしろ、とにかく横の余白ができてしまって、単純にキャラを投げ込んでも絵の注目点が分からなくなったり、無意味な余白がたくさんあることで、絵がものすごく薄っぺらい印象になってしまった。
たから、キャラ絵を描こうとする場合は単純な正面を向いた立ち絵やポージングでは絵としての価値が下がり、何らかの別のアプローチが必要だと強く感じた。
(横広では物理的に広くなり、視点・焦点が変わる)
ここで困ったのが、今までなんとなく絵を描いていたので、黄金比であるとか、適切なパースなどの普通に絵を描く際の技能がほとんどなく、一からこういった「当然知っておくべき基礎」をいまさら見直す必要が出てきたことである(;´・ω・)コマッタ。
もちろん一通りはできるのだが、今までの描き方が個別のブロックを描いて組み合わせるような方法であり、デッサンから全体像を少しずつ詰めてゆくような当たり前の描き方とは全く逆だったので、少なくとも描き始めにちょっとしたポンチ絵を作らなくてはいけないなぁと実感した。
とりあえずに対処方法としては、キャラクターを一点に配置せず、画面全体を見てもらえるよう各所にギミックを配置するか、キャラクターをあくまで遠近感の指標として配置して、広がりや奥行きを感じさせる絵を描くことではないかと思っている。
ワイドで4作連続で描いてみたが、いずれももう少し書き込んだり、構図についてもうひと練りがあればいいものになったかなぁと感じたので、さらに描き方を煮詰めて面白くしたいという欲が湧いた。
(色んなところに色んな生き物がいる絵。横に広いとキャラよりも絵全体を意識しないといけないようだ)
描き込みと時間
無限に時間があればずんずん描いて濃い作品を残せるのだろうが、毎週1枚をめどに描いていると、やる気と余暇の兼ね合いで長時間の作業はなかなか難しい。
そこで、1週間で8時間をめどに描き切ろうとしているのだが、どこを端折って、どこを描き込むかを考えておかないと時間配分はなかなかできないことがわかってきた。
自分の描き方は思い描いた情景を形にするので、作成開始直後と完成後でイメージが全く違うことが多々ある。また、技法に関しても未習熟な状態で使っているケースが多いので、端折る点の選定を含め、細かい点でどうしても「雑」な面が見え隠れするようになってきた。
本来、こういったものを支えるのが、photoshopのツールであったり、過去に描いた絵の使いまわしなのだが、作品ごとにイメージを変えている状況ではどうしてもそういった各種ストックが充実せず、絵の質がいまいちで時間もかかるという問題に直面した。
例えば、葉っぱである。世界の景色はたくさんの植物があふれているので、こういった風景を描く際はそのパターンをたくさん持っておけば、あまり時間を描けず風景画を量産することができる。しかし、同じ背景でも宇宙空間でこれを使うことはできない。だから、風景画を描く人はSFの金属のパターンをたいして持たないし、宇宙船を描く人は葉っぱのパターンをたいして使わない。
自分の場合、葉っぱを描く場合、ブラシパターンをいくつか持つが、自作した3つをよく使う。
(最もよく使うブラシパターン。各種数値もいじり、色と出力のランダム性を少し上げている)
上のようなブラシパターンは遠近感を排除して、ぼんやりとした木々の葉を描くにはとても使いやすいのだが、焦点がしっかりしたものを描こうとするととても雑に映る。だからといって焦点がしっかりしている点を別個で描き込むと、ぼやけた部分との整合性が付かなくなり、凸凹感が出てしまう。
この凸凹感を無くすためには、近距離、中距離、遠距離の描き方、もしくはそれ専用のブラシパターンが必要なのだが、いまだに準備できていない。
絵の幅が広がるにつれ、短い時間でしっかり描き込まれたものを表現するためにもセットパターンの種類を揃えるのではなく、距離感に応じたセットを用意することが急務だなぁと実感した。
(右上の木をもっと描き込まれた葉っぱにしたいし、女の子の髪の毛ももっとサラサラさせたかった)
構造物と遠近感
しっかり整った建造物は、しっかりとした距離感と光の当たり方による陰影を作品全体で整える必要があり、結構大変である。
また、絵全体ですべての建物を描き込む必要はなく、距離感に応じた質感の出し方を考える必要があるので、自分にとってはとても難しい。
こういった調整は正直面倒なので、自分はテクスチャをペタッと張ったり、全面を油絵調にぼかしてごまかしているが、一段上のプロの背景を拝見するとなんだかんだでしっかり設計されていて、むぐぐっという気持ちになる(;´Д`)。
(背景でぼかした建物を描いても、キャラを充てると違和感が…)
出来るだけ楽に、あんまり考えずにこういったものを作りたいというスケベ心があるので、段々畑的な絵を描くで書いたように遠近感においては色や境界的なブロックを多層に配置することで切り抜けようとしているのだが、ビルなどが整然と並ぶ街並みに関しては上手くこれが適応できない。
そこで、ここはガラッと描き方を見直して、自分にとって新しい描き方として、パースを取り、連続的な繰り返し構造を組み合わせることで一つの絵にしようと試行錯誤中である。
遠近感に関しては必ず消失点となる部分と絵の注目点を作るようにしてその延長線上に構造体を配置するようにすれば何とか絵になるんじゃないかなぁと考えている。
また、一つ一つの陰を作るのではなく、全体を描き込んでから陰影のバランスを考えるようにして、オブジェ一つごとのリアルさより全体の見やすさを考えるようにすればいいのでは?と構造物特有の描き方を作ることにした。
(奥行きを意識して線路の先とカッパを繋ぐように描いた。全面に同じようなアーチ構造を描き統一感を演出してみた。)
3点パース
パースなんて消失点一つありゃいいだろ・・・という立場(うまく描けない)なので、多数の消失点を持つような難しい描き方はあえて避けてきた。
しかし、前述のように16:9で絵を描く上では、どうしても何らかの描き方の工夫が要求されてくるので、ちょっと挑戦してみた。
LNPの支援の元(Lazy Nezumi Pro)、パースの配置やある程度の構造体の配置は容易にできるのだが、イマイチ慣れないということから、まだまだだなぁと実感している。
(せっかく3点パースにしても左右に余白がある)
上の絵では構図の問題として、左のエルフをもっと大きくして全体の遠近感を膨らましたり、各所にある草の配置をパースに沿うように変更するなどして置けば迫力のあるものができただろうし、左奥の建物についてはちゃんと描いているのだが、多層化の影響でほとんど見えなくなってしまっている。
3点パースを使い慣れていないということもあるが、最近やっている背景の多層化とこういったパースを取るやり方はイマイチ調整がついていない(自分の技術的に)感じがするので、初期の配置をもう少し考えてから技術導入をしないといけないと反省した。
終わりに
見返すと色々やってるなぁと実感するのだが、やっている割には身についていないなぁと実感もする(;´Д`)
なんというか、プロの人たちの様にセンスと訓練の末に完成した技術はないので、パソコン様のお力で何とかその辺を底上げしようとして、底の浅さが見え隠れするのは何ともかんともという空気を感じる。
毎週1作を始めてそろそろ3年目だけど、時間の割にもうちょっと上達したいなぁと悩ましい( ^ω^)・・・
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