こちらはその2になります。
こちらではターゲット層とその変化、販売戦略の変化、そして今作の評価をしてみようと思います。
その1ではシリーズのゲームの要素とゲーム性について書きました。
・ターゲット層とその変化
このゲームのターゲット層は時代と共に少しずつ変化していると思う。初期で多くの人気を得た原因の多くはNHKの大河ドラマであることは間違いないと思う。
渡辺謙演じる独眼竜政宗、中井貴一演じる武田信玄など、強力な個性を持つキャラクターがかつてお茶の間や学校で話題となっていた。今の誰をターゲットにしているかわからない「女城主」では考えられないが、当時は普通に天気予報と同じように会話の種になった。
この知名度を利用して、その戦国大名と配下武将に下駄をはかせたパラメータを付けたり、明らかに俳優の似顔絵のような挿絵を使って、ゲームを作っている。
つまり、「テレビで人気のあの武将」を操って戦国時代を楽しもうとする妄想男子にはバカ受けのゲームとなっていた。
間口としてそういったにわかに興味を持ったそうにアプローチして、ゲーム性で書いたように数時間のゲームをやらせ、別の武将もプレーできるようにすることで、次作へ連続購入へつなげることをしている。
つまり、このゲームは最初からキャラゲーであって、ゲームの戦略性は実はあまり中心にはない。
これは同じように戦国時代をテーマにしたゲームが当時いくつもあったのだが、こういったキャラ要素を付けないもので戦略性一本のものがたいして売れずに販売会社ごと消えていったことからもわかる。
しかし、この層をターゲットとした販売方法も徐々に問題が出てくる。大河ドラマは毎年あって、その都度主人公や周囲の人間は変わるので、大河に沿ってパラメータを強化していく。
バランスを考えて、前回の主人公のステータスを引き下げるとそのキャラのファンは当然怒ってしまう。そのため前主人公の力をそのままにすると、自然とみんな強キャラになる。そうこうしているうちに、キャラクターの平準化が起こり、キャラゲー要素は薄まってしまうのである。
PCだけでなく、家庭用ゲームも視野に入っているので、初期に集めた購入層だけでなく、ストラテジーの強化にも力を入れて、ゲームの質を整えて層の開拓をするようになるが、残念ながら、そういったゲーム性では販売力としては力不足(国内のゲーマーはあまりこういったゲームを好まない)だったかもしれない。
戦国好き男子だけでなく、近年では刀剣乱舞などから来る女子層、他の戦国系アクションゲームなどからの流入を目的としてたくさんのステマや広告を見るが、大ヒット大河を利用した方法のようにうまくいってはいないと感じる。
・販売戦略の変化
ターゲット層を絞り切れないまま、前作「創造」ではネット販売大手のSteamへ販売委託に舵を切った。
これはとても大きな挑戦だと思う。このサイトでは莫大な数のゲームが販売されている。戦略系でも有名なシヴィライゼーションやヨーロッパユニバーサリスなど、日本で失敗したが欧米圏ではしっかりと根づいたゲーム群が販売されている。
また、こういったいわゆる洋ゲーは基本的にModify(Mod)の受け入れを基本としていて、ゲーム作成側がある程度ソースを開いて、ゲームシステムを無料で変更することを前提としている。そのため今までのPK商法が真っ向から否定されることになる。
さらに、国内である程度人気が「様々な方法」でコントロールできたものとは異なり、購入者が好き勝手に評価できるようになるので、海外のゲーム玄人からの厳しい評価がそのまま反映されることになる。
国内販売という点から考えると、明らかにマイナス要素しかないので、思い切ってストラテジーゲームとしてついに海外に販路を求めてゲームとしての生き残りをかけようとしたと考えるべきだろう。
創造には3種類の商品販売形式が存在する。プレーンの本体、PKをセットにしたもの、戦国立志伝という形でさらにおまけ要素を付けたもの、である。
戦国立志伝は国内においてもその評価は非常に低く、バグ、システムの不安定性、バランスの放棄などゲームとして破綻している。しかし、PKは逆にゲームとして非常に完成されており、かなり自信をもって海外展開したんじゃないかなとも思う。
これらの評価は当然はっきりしたもので、PKに関してはしっかりとした評価が返ってきており、評価数から見てもなかなかの売り上げだったんじゃないかと思う。一方で、戦国立志伝に関しては、時期によるが世界最低評価を得たんでは?と思うぐらい低評価となった。値段、MOD、ゲーム性など明らかに悪いので当たり前だが、こうはっきりと否定されてしまうと、国内における販売にもかなりのマイナスになったのでは?と思う。
いいものを出せばちゃんと売れるが、知名度があっても問題があれば全く売れない厳しいゲーム戦国時代に販売を切り替えていこうとしている過渡期ともいえる。
・大志を買うべきか?
ベータ版の動画を見る限り、新作「信長の野望 大志」はゲーム性を大胆に変更しているように見える。ゲームの要素の項目で書いた①~⑤の内、②~⑤の要素をほとんど捨て、本格派ストラテジーゲームとして海外にチャレンジしているように見える。
これはいままでの国内の販売に限界を感じ、海外に向けて活路を見出したように見えるが、「創造」での評価を見るように、かなり危険な賭けであるように見える。
MODを受け入れるのか?PK販売は継続するのか?バグパッチはどうするか?などのゲーム性以前の問題はよくわからないし、ゲーム単体の敵AIはどうなるか?刷新したストラテジーはうまく機能するのか?などのゲーム性自体も不安要素満載である。
戦国立志伝のように途中で投げ捨てるような商品になるかもしれないし、PK版のように完成したゲームになるかもしれないというのが、今の実感である。
どこかのゲームサイトの煽りに負けて買ってしまうのも一つの手であると思うが、人柱として時間を消費するには危険であると思う。
販売会社の都合で、いろいろキャンペーンをやってもそれが中身を伴わないと、手ひどいやけどを負うことになることを経験したが、それを糧にどこまでゲームを作るのかをアナウンスしないのがちょっと怖い。
自分としては、Steamの評価がある程度決まる発売から3か月くらい待ってから購入を検討したほうがいいと思う。
いいゲームになってほしいと思うが、ここ数年のやり口があまりにひどいのでどうしても好意的には書けない。
でも、頑張ってほしい。戦国妄想系男子としてそう思う。
☆同人CG販売中