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メンタリストの敗北に対する考察

メンタリストDaiGo氏が不適切発言の炎上で謝罪する羽目になった。成功者の彼がどうしてこんなことになったのか感情を押さえて順を追って考えてみた。

 

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(今週の一枚)覗きも命がけ(pixiv

 

事のあらまし

 メンタリストDaiGo氏はいつもは有料放送と言う枠の中で活動しており、役に立つ書籍の知識をわかりやすく解説したり、自分の生き方・儲け方を雑談に混ぜて世相を切ったりして一部で高い人気を得ているネットタレントの一人だ。今回はその放送内で発言した猫とホームレスの対比において、猫を愛するあまり極端にホームレスの存在を卑下した内容が切り抜かれてyoutube上で投稿され、優生思想、ナチスの人種差別につながるということで拡散され、炎上した。

 当初、彼はこの発言について強気なスタンスで対応し、激しい反対意見を述べるアンチに対して批判をしていたが、スポンサーが降り、関連団体からの抗議が強まると矛を収めて謝罪した。

 これら対応の右往左往から炎上後も問題はくすぶり続け、ネットメディアのいいおもちゃになっている。

 

DaiGo氏の人物評

  メンタリストDaiGoと言えば、以前テレビに出演してまるで手品のように人間の行動を誘導する(彼が自称するメンタリスト)イメージが強い。そのイメージの通り、彼のメインウェポンは人の行動の制御と話術であって、何かに深い知識があるとか切れ味の鋭い知性があるという感じではない。

 しかし、彼は非常に勤勉であり、浅くとも広く知識を溜め、それを読解・要約する能力は非常に高い人なんだなぁと感じた。youtube内にいる中田敦彦とかひろゆきのような中途半端な知識で間違ったことを平気で話す人たちと比べると、非常に誠実な人なんだろう。

 ただ、話が一方通行な傾向があって、こういった知識や感情を上手く他人と共有するのは苦手なタイプだと分かる。そういう意味でSNSであまりやり取りをせず、基本的にDaiGo氏一方から話をしたり、何かを教えるというスタンスを堅持するのは彼の弱点である共感性の欠如を理解して活動しているからだと思う。その点からかなり賢い性格なんだろう。

 総合すると良くも悪くもちょっと変わった人なんだろう。

 

DaiGo氏のビジネスの成功と傾向変化

 さて、この変わった人が今や大金持ちである。収入の多くがサロン(ニコニコ生放送のチャンネルや自己サイトのサブスク)とyoutubeなど動画投稿サイトの広告料であり、とても多くの支持者を抱えている。ここで彼の成功とビジネススタイルの変化を追ってみる。

 

ニコニコでの成功

 彼のビジネスで一番すごいと言われているのが、ニコニコで儲けたことである。「え?そこ?」と思うかもしれないが、多くの人・企業が失敗したように、ニコニコではほとんど金儲けはできない。なぜなら、このサイトに集う人達は小学生、モラトリアムの大学生や引きこもり、無職、キチガイなど金を持っていない連中で、社会経験が少ないわがままな人が極めて多いからだ。また、動画・配信視聴傾向として、アニメ・ゲーム・エロ・サブカル・嫌がらせ・違法動画と言ったものがほとんどを占め、そこに集うほとんどの人があまり金を払わないからネットスラムみたいな状態が過去から続いている。そんな中で、彼がほぼ唯一高収益化を長期にわたってに成功し、金を払う多くの客を掘り起こした。

 ビジネスの方法としては非常に単純で、客が欲しいと思う情報を有料で提供しただけである。しかし、方法としては単純だが実行するのは難しい。ニコニコの連中がいったい何を欲していたかをちゃんと検討して、それに沿った内容を十分量わかりやすく継続的に配信した。個人でやるのは相当きつい(ある意味苦行)が、誰もなし得ないそれをやり切って今の状態まで来たのだから、大金持ちになるのも当然だろう。

 そして、その内容は大学一年生くらいの教養の内容や自己啓発などをわかりやすくに話している。そのため、当時、ニコニコにいた迷える子羊たちの欲求は自分達でも理解できるちょっとハイソで元気づけてくれる内容だったのだろう。

 業態としては完成の域にある彼のビジネスだったが一つ大きな問題があって、それはニコニコ自体が著しく衰退つつある点である。彼のビジネスのターゲットはあくまで軽い知識を欲しかったり、社会に出る前段階の若年層がメインで、より深い研究や社会人以上にはいまいち響かない。層が限られているので、ニコニコ自体のユーザー数が激減すると、当然彼の対象者も減る。今のままでは客の入りより出の方が多くなるので、新しい顧客を得るには別媒体への進出や新しいビジネススタイルの模索が必要になっていった。

 

youtubeへの進出

 そこで目指したのがyoutube(他にもいろいろやった形跡はある)である。ここでも色々戦略的に活動していることがうかがえる。少し過激な内容の動画投稿、以前よりもきつめのワーディング、有名ユーチューバーとのコラボ動画、炎上狙いのSNS発言…と言った感じで、注目を得るために色々施策を打ったが、イマイチ再生数に繋がっていない。現状、残念ながらニコニコのようには成長してないようである。

 これにはいくつか問題があげられる。タダで見れるテレビスタイルのyoutubeと彼のサブスク型のビジネススタイルがかみ合わないこと、すでに同じようなスタイルの知識系動画が多数存在しており個性化ができないこと、浅く広いテーマで動画を作っているのでチャンネル固有のテーマがないことなどがあげられる。

 そんな折、新しい一手が切り抜き動画の容認(依頼)である。どうやら、この手法は半年くらい前から急速に流行りだした手法らしく、切り抜き動画を認める代わりに一定量の広告収益を切り抜かれた側が得るというスタイルである。この方法のもう一つの大きな利点は、切り抜きを認めれば認めるだけ関連動画の数が増えるという点がある。

 youtubeはだいたい3年くらい前から、視聴者数、一人当たりの視聴時間が伸びなくなった。コロナ特需もそろそろ終わりである。そこで、1動画の長時間視聴や各チャンネルで視聴時間の奪い合い、短時間で如何に動画を見せるかがテーマになっている。そのなかで、この手法によって、広告として空き時間に切り抜きを見せ、長時間の本配信に誘導するというのが流行っている。

 この流れに乗って、DaiGo氏の切り抜き動画を見せ、彼の有料配信への広告になるという寸法だったようだ。

 今回、この一つの切り抜き動画がピックアップされて炎上し、現在に至る。

 

炎上とファン層

 彼自身知名度を得るためにある程度の炎上を予期してyoutube内で活動しているので、今回の騒動は織り込み済みと見ることができる。

 では、この炎上によって彼が目指していたものは何かというと、知名度の上昇による視聴者数…もっと言えばサブスク数の増加であろう。悪名は無名に勝るなんて言うが、例え1000人彼を否定するとしても1人が彼にお金を払えば成功だというスタンスともいえ、双方向性を敢えて切っている状態では一見有効な方法に見える。また、対応もそれに沿って、毎回強弁一辺倒で先を見通した対策とは言えなかった。

 しかし、実際に騒ぎが拡大してみると、彼にとってマイナスなこと(スポンサーの離脱、差別主義者と言うレッテル)が重くのしかかり、リスクリターンがうまくいかなかった。youtube的にはお勧めできないコンテンツ扱いになるかもしれない状況である。

 そして、今回の発言で一番問題だったのが、彼の支援者を見て発言をしていなかった点である。彼のファンの多くは迷いを抱え不安を持っている層である。今後、彼らは当然ホームレスになる可能性が高い。こういった成功したいけど失敗したらどうしようと思っている連中に対して、失敗したホームレスは生きる価値がないと言われてしまえば、彼らの不安を助長しDaiGo氏への不信を招くだろう。

 新規支援者獲得を意識するあまり、本来見なくてはいけない彼のファンをないがしろにしているのは彼の失敗と言える。

 意図してファン層を変え新しいビジネスを行うのならいいが、現状のファンを抱えながらファンを否定するのは彼の焦りと見ることもできる。

 

どうすればよかったか

 炎上が起こると原因となった人物に多くの人が嫌悪するようになる。youtubeはそれが顕著で、マイナスイメージが付いた瞬間、視聴数が1か月で1/100になるなんてざらである。つまり、ほとんどが何となく動画を見ており、嫌だなと思うとなんとなく見なくなる。そのくらい弱い結びつきで、動画視聴理由のほとんどを支えているのである。

 この弱い結びを維持するために、炎上の対策として有名なのが、動画投稿を控える(空白による嫌悪イメージの忘却)、反省を行動に移す(金を関連団体に配ったり社会奉仕をする動画)、言い訳をせずただ謝る(視聴者に勝利感を与える動画)などがある。いずれも炎上によって付くレッテルを他のイメージを上塗りする方法で、炎上によって起こった「なんとなく嫌」を消す作業ともいえる。

 興味深いのが、DaiGo氏は人の心を操るということで芸能界に出て来たのに、youtubeでは人の心(視聴数)に振り回されて苦しんでいる点である。

 今回においても発言が2転3転したが、彼の差別主義者と言うレッテルと視聴者の嫌悪感情は結局のところ強まるだけで、その他の感情に置き換わることがなかった。謝るにしろ馬鹿にするにしろ、感情を増悪しただけである。視聴者の感情を理解して発言していないためと思われるが、「メンタリスト」としては大失敗だろう。

 しかし、逆にこれからこの置き換えや誘導をすれば、「おっ?反省したじゃん、もしかしていい奴?」と言うことでピンチがチャンスになるのかもしれない。彼はこういったテクニックを最も得意とするのだから、ニコニコで成したように、どういう人・団体がどのように怒っているかしっかり観察して、個別に欲しいものを与えれば炎上は彼の糧になるのだろう。今までやったことを形を変えてやればいいので、彼なら簡単だろうし、なぜやらないのかが不思議である。

 

終わりに

 最近の炎上を見ると、群がってリンチする状態がさらに強まっていて、火付け側も大規模で巧妙になっている。以前よりも炎上工作はかなりリスクの高い手法なんだなぁなんて感じた。

 宣伝って難しいよね(;´Д`)

 

 

 

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