先日、高市早苗首相が寝てないアピールをしてボコボコに批判された。なんでこんなことになるのか考えてみた。

(今週の一枚)夏のシクラメン(暑くてもなぜか咲く🌸)
高市首相はXを通じて様々な発信をしている。その中で、こんな投稿があった。
7月に入ってからの土日は、公邸で『骨太方針』『日本成長戦略』『地域未来戦略』に関する分厚い資料を早朝から深夜まで読み続け、2週目は与党審査で加筆修正された部分を熟読検討するなど、高市内閣が初めて骨太方針や概算要求段階から関われる令和9年度予算や本格的に取り組める中長期の成長戦略に向…
— 高市早苗 (@takaichi_sanae) 2026年7月20日
ほとんど睡眠をとらず、久々の休みに5時間寝たことについて大きな批判を浴びた。別に頑張ってるからいいんじゃないかと思ったが、少しまじめにこの批判の原因を考えてみることにした。
女性として
高市氏は日本で初めて誕生した女性の総理大臣である。変化の象徴みたいな存在になってきたが、日本人の中にその変化について理解できない人がいるのかもしれない。その一人が高市氏自身のような気がする。
上記投稿の中では政府の小難しい行政を一生懸命こなし、女性として家事を行い、やらなければならない・やりたいことがたくさんあって寝る時間がありません、みんな私を見て!と言っている。まるで自分だけが人一倍頑張っているようだ。
しかし、ほとんどの女性は結婚していても共働きだ。男と同じように働き、疲れて家に帰ってくる。また、核家族化が進み家事育児をワンオペで行う頑張り主婦も、主婦に求めれらる社会のあれこれが増え、暇を持て余す人は少なくなった。当然、昔の「お母さん」みたいなことはできないし、家で趣味ができる気力があるというのはある意味ぜいたくだ。性別にかかわらずいかに効率的に、倹約をして家庭を維持するかにキュウキュウとしている。そういう視点で彼女の投稿を見ると、自分のやりたいことを好き勝手にできる恵まれた人が自分のぜいたく品を見せびらかせているようにも見える。
本来、彼女に求められていた像はあるはずだ。女性が女性として男社会で生き、女性的な視点をもって共生的な世の中に変えようと苦労するストーリーが女性に求められたのかもしれない。しかし、高市氏の行動はクソ左翼の批判の様に「男」のように頑張って、暇があったら「女」に戻って余暇を楽しんでいるように映る。
彼女の女性像は元イギリス首相のマーガレット・サッチャーと言われているが、この像自体きわめて古く、また、日本の現状に全く合っていない。一言で言えば、スマートではないのだ。
今の女性の状況や苦労が見えていないとすれば、国の状況が見えていないことにも繋がり、本当に「現実の国民」を向いて仕事をしているのかと疑念を持たれるのではないだろうか。
健康として
当たり前の話だが、人間は睡眠をとらないと体調が悪くなる。最悪死ぬ。自分の場合、1日寝ないと切れやすくなり、1週間ぐらいするとほとんど記憶することができなくなる。そんな状態ではまともな判断もできないし、何をやっても失敗する。適切に休み適切に勉強し適切に働くことは現代において必要最低限の所作だ。
どうしても寝ることが出来ない場面はある。単純に仕事の引き継ぎできる人がいなかったり、難しい判断を他の人に投げることができない場合だろう。その瞬間は我慢して仕事をこなすが、慣れている人・できる大人はどこかで必ず休憩する隙間時間を作って寝る。それが例え5分であっても脳の休息になるし、長く働くため・責任をもって組織で仕事をするには絶対に必要な技能だ。逆にそれができない人は無能だと見なされる。
しかし、彼女の言説・行動を見るとそういったゆとりが全くない。何でもかんでも自分がやっています見たいなことばかりだ。自分をアピールしたいのだろうが、傍から見ると大丈夫なんだろうかと不安になる。働いて働いて働いて…というフレーズがなんかずれているのはそういうことなんじゃないかと思う。
首相と言う仕事は非常に重たい。他人に判断をゆだねることのできない難しいものだろう。そのため、気苦労が絶えないし常に不安にさらされて疲れる職だと思う。だからこそ、体が健康な状態で判断しなければならない。平常状態ですでに限界まで動いているなら、もし、大災害や戦争などの緊急時に難しい判断を求められたとき、不健康な彼女は果たして正しい判断をすることができるのだろうか。当然、できない。
無理して働いて不健康で困るのは彼女ではなく国民なのだ。アイロンなんてかける必要はない。寝ろ!と思う。
管理者として
プロジェクトを完遂するためには各タスクを管理しないといけない。管理とは、所属人員に適切に仕事を振って期日までにタスクを完成させていくことだ。管理側と労働側の経験する中間管理職は両方を同時に行う大変だがやりがいのある仕事だ。彼女の投稿にはその雰囲気がある。しかし、彼女は最上位権限者の総理大臣だ。上位の管理職の仕事は実作業をやることではない。もし、実働する場合はそのプロジェクトが緊急事態か自分に強い思い入れがある作業に限定される。もちろん、管理は絵に描いたようにうまくはいかない。回らない部分を見つけて他から人員を引き抜いてなんとかそのタスクを埋め、全体のプロジェクトを完成させることがリーダーとしての資質だ。
寝てないで働いているということは「頑張って仕事をしている私」のアピールなんだろうが、引きの視点で見ると本当に組織が回っているのか心配になる。彼女は日本というプロジェクトのリーダーであり、ソルジャーではなのだ。
仮に、管理側で無茶苦茶働いているということが本当だとしたら、このプロジェクト内部は大炎上中で失敗の間際に立たされていることになる。この原因がなんであるかを考えると、既存のシステムをうまく使えていないか、人がいないかに行きつく。これはどっちもやばいことである。なぜなら、政治家の大きな役割はまず調整である。この能力が高ければ同じ政治家との関係性や官僚とのやり取りがうまくいき、行政を管理することができる。これが優秀な政治家だ。組織を作り変えるなら、それ相応の人材が新たに必要で、既存人員やシステムのすり合わせをしないといけない。彼女の発言を真に受けるなら、それが全くできていないことの裏打ちになってしまう。
彼女・彼女のチームだけが空回りしているだけならいいが、プロジェクト全体が機能不全になる予兆なら、これはとても不安な投稿に映るのではないだろうか。
空気感として
昭和と令和は考え方が違う。これは人間の意識が変わったというよりも、状況、現実そのものが大きく変化したことによる。表面上は先進的になり穏やかなになった日本だが、見ようによっては状況はかなり悪い。例えば、高齢化と人手不足だ。人が足りないからお互い協力しあわないと何もできない。馬鹿でもおだてて働いてもらわないといけない。それでも足りないから移民を入れたり年寄りを雇用したり、子供も働かせている。それでも現状が崩れつつある。そんな微妙なバランスの中で我々は生きている。
では、3丁目の夕日のような世界に戻ればいいかと問われれば、是非にと言う人はいないだろうし、戻ったら後悔するだろう。インフラ・サービス・法制度・人々の気質など、どう見ても今の日本システム・日本人の方が優秀だ。今の日本は安定して暮らしやすい。もちろん、この中でも苦しむ人はたくさんいるけれど、その人達が過去に戻っても今よりひどい仕打ちを受けて苦しむだろう。
つまり、今の日本の空気感はある意味幸せだが、その幸せが徐々に崩れてゆく変化に慄いている状態なんだろうと思う。
高市氏の発言は力強いものだ。日本はイケイケでこれからも発展する。そのためにはもっともっと働いて、もっともっと稼いで、もっともっと幸せになるという強い意志と行動量に溢れている。しかし、今の日本の微妙な感覚の元で見ると、彼女の発信には違和感しかない。
本当に現状の危機感を理解しているのかが見えてこない。危うい。
SNS戦略として
最近のXは口喧嘩をする場所になっている。かつてのTwitter運営は左派的思想の啓蒙が隠れテーマだったが、儲からないのでイーロン・マスクに変わり、感情をぶつけ合ってインプレッションを優先する方式になった。政治的話題はその衝突の中心にあり、親高市派と反高市派に分かれてみんなできゃっきゃ遊んでいる。
高市氏は前回の選挙で、NHK党や参政党等のネット戦略をうまくパクリ、その何倍もの金をかけてワンフレーズと大量の広告動画の連発でネットをハックした。中改連結成という世紀の大愚策も伴い、選挙で歴史的ウルトラ勝利をした。すごい。
選挙に大勝した高市氏はSNSも上手なのかと思いきや、むしろ、まったく理解していない節がある。例えば、彼女のXでの投稿は難しい言葉と長い文章、自己アピールで構成されている。まじめで頭の良さが伺える投稿だ。そして、これはXユーザーに全く刺さらない。
Xでは長い文章を書いたり参照を張っても誰も見ない。これはXの表示、回覧のシステム上そうなっている。例えば、このブログで参照した彼女のX投稿は上の部分しか見えず、X上で、それをRTしてもさらに元投稿は縮小される。全文読むには数クイックし、何分もかけ見る必要があるが、その前に大量の類似情報が流れてくるのでそれを読む暇はない。さらに、このシステムに慣れた人達は、すでに賛成反対に分かれており、文章を読まずに自派に有利なことを発言する。また、無派閥であっても、多くが第一印象で判断を決めるが、その印象の多くを1次ではなく、2次、3次の他者の要約や意見が付いた非常に短い文章を前提に判断する。つまり、彼女の誠意とは裏腹に誰も彼女そのものを見ていない。彼女の投稿を使ってみんなで喧嘩して遊んでいるのだ。
もちろん、正しい情報・誤情報への訂正は政治家として絶対に必要であるが、マーケティングを考えると意味をなさない。砂場で遊んでいる子供におもちゃを与えないといけない点を丸っと忘れているし、Xはその砂場であることを理解していない。
選挙でできて、なぜSNSでできないか不明だが、彼女自身がそれを理解しない限り、反対派に餌を与えるだけの結果になり、現状のひたすら批判が続く結果になるのだろう。賛成派も自分たちが興奮する餌がないので徐々に減り、無派閥もそれに流される。それが明確に現れた投稿だったのではないだろうか。
まとめ
高市氏はなんかずれていると思う。理想に向かっているようだが、その理想が何かわからない。「素敵な私」のアピールはいいから、適切に休んで、もう少し周りを見て活動をしてほしいと思った。批判の根本は本人の不安や疲れがこっちに伝播するからではないかと思った。
終わりに
そうはいっても頑張ってほしいなぁとは思う。喧嘩腰のイラついた気持ちを張り付けた笑顔で覆っているけど、なんだか無理をしているなぁとしか見えない。まぁ、自分の心が曇っているせいでそう見えるだけかもしれないけどね(^ω^)
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