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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

炎上マーケティング

Twitterで、コンビニの冷蔵庫に入った映像で炎上…というのはちょっと前にあったが、最近はこの現象を意図的に使っているケースがあり、面白そうなのでちょっと考えてみた。

 

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↑(今週の一枚)海の中なら炎上しないかもしれない(海の猫カフェ

 

 よくわからないなりにTwitterを見ていると、いろいろな人がいるなぁと思う。友達を求める人、一人で黙々とつぶやく人、わざと注目を浴びる暴言を吐いてそれを利用する人なんかもいる。
 SNSをうまくやれば、勝手に情報が拡散されて非常に有効な広告機能になるが、誤って使うとそのコンテンツ(アバター)をおしまいにしてしまうほど危険なハイリスクハイリターンな武器だと思う。特に炎上使い(?)は非常に難しい技法だと思うが、いくつかの例と共に、これの価値を考えてみる。

※目次※

 

分かりやすい作為的炎上

 

 上手くやっている人はこの諸刃の剣をどうやってコントロールしているんだろう?
ネットに関わらず相手の感情を掻き立てる方法を見てみる。まず、様々な手段があるだろうが、とても分かりやすい例を考えてみた。

トランプのTwitterと問題解決

 アメリカ大統領トランプ(チーム?)の発言を淡々と追っていくと、とても面白い。唯一超大国の一番偉い人がそんなこと言っていいの?と思えることを言って常にみんなの注目を浴びている。

twitter.com
 メキシコ国境の壁、教師の銃所持を義務化、イスラエルの宗教問題など、たくさんの日々のテーマについて常に問題提起をしている。
 スラングに近い言葉使いや突飛なアイデアだけを見るととてもあほくさく見えるが、彼らのTwitterIDからでる怪しげなつぶやきはただ愚かなつぶやきなのだろうか?

 

 ここで敢えて意図があるとみる。注目すべき点は、この「常に問題を・・・」というところが彼らの戦術の中心ではないかと思う。

 

 一般的に言って、問題が多数存在すると分かりやすいもの、簡単な問題から解決してゆき、できるのなら早い段階でなるべく多くそれを解消しようとする。つまり、問題の数を極力少なくしようとする。できれば関わらないように、無視をしたり、隠したりもするだろう。
 しかし、彼らはその全く逆で、アメリカ国内を中心にこれまで潜んでいた問題を少しずつあぶり出し、時には大きくして、表面上の数を増やしている。
 普通は問題が解決するとそのリソースを本当にやりたいことや、もっとすべきことに時間を当てることができるのに、彼らはそういった問題の解消や何らかの目的のためにTwitter広報活動を全く利用していない

 

 週に一回ちょっとした問題発言をし、月に一回かなり大きな問題発言をして大衆の興味を「トランプ」というアイコンに向けるように「常に」調整している。これによって、敵側の「フェイクニュース」メディアも「常に」彼の言葉に注目して、本論や方向性などについての議論が封殺されて、ただ彼が次に何を言うかのみに注目してしまう。
 ネタがない時は意図的に対立や問題を掘り起こし、話題の中心を彼に充てようと誘導しているところが非常に面白い。
 この毎週の「トランプショー」に対して、アメリカ人は毎週みんな楽しみにテレビの前で正座する子供のような状態なのかもしれない。

 

 この火つけのコントロールの妙味は、問題が爆発しても決してそれ以上に飛び火しないところを狙う点ではないだろうかと思う。
 例えば、以前、歴史上のアメリカ軍人像を撤去するかどうかのもめ事をピックアップして騒ぎになり死人まで出た。議論の価値を除いても、大変痛ましい事件であり、一見人種対立と歴史問題の難しさが垣間見える。

www.bbc.com

 テーマは「アメリカでかつての黒人を奴隷にしたことを今の常識で裁くかどうか」という、アメリカでかなりナイーブな問題である。これにトランプTwitterは発言をし、大きな物議をかもしたが・・・

 

この問題はこれ以上大きくならなかった。

 

 なぜなら、テーマが白人黒人の問題なのに、映像に登場する多くは白人で、実際の敵対関係は白人コミュニテー内の対立であり、しかも、最も騒いでいるのは外部から来た「騒がし屋」であり、その騒ぎがそのコミュニティ以上に広がっていきそうもないからである。
 繊細ではあるが、現実生活に全くかかわりのない問題であるため、多くの他人はすぐに興味を失ってしまった。
 「プロ市民」といったカテゴリーになる運動家と保守的な住民の対立なので、プロ市民がどこかに行けばそれでおしまいな件でもある。日本でもよく使われた手法で、そういった集団の火付けとメディアによる拡大というよくある構図となる。

 メディアでは大騒ぎの絵が出るだろうし、地元のかわいそうな人たちが現れて、もみょもみょ言うだろうが、それで終わりである。ここにトランプがコメントしたところで、また別のところから集団がやってくるわけでもないし、SNSで騒いでいる連中の興味もせいぜい1週間が関の山である。
 もっと問題について突っ込めば、アメリカの南北問題であったり、武装民兵と州軍の関係や、州と連邦の関係まで行くだろうが、トランプはそんな議論、討論はしない。なぜなら来週のトランプショーは別の問題を取り上げられるからである。

 こうやって問題を少し広げて、次の集団の問題にピックアップされていく。国境の壁、ロシアスパイ疑惑、経済界との対話、北朝鮮ミサイルなど…毎週毎月、ある集団内の「解決しない問題」を取り上げて、その注目をトランプに持っていく。上手いやり方だと思う。

 

お笑い芸人と多ジャンル進出

 最近のお笑い芸人はすごい。テレビの司会者、小説家、歌手、スポーツ選手、政治評論家、絵本作家など、様々なジャンルに進出し、成功と失敗を繰り返している。芸人本人の能力は置いておくとして、そのバックアップであったり、メディア露出を見ると、それぞれに相当金を積んで、事務所が力を入れていることが分かる。
 こういった芸人のSNSを見ていると、必要に応じて(突発もあるが)炎上を誘っているケースが目立つ。
 彼らのやり方は多くの信者ともいうべきファンとアンチを作る点では、上のトランプのケースに近いが、自分たちを「芸人」という敢えて低い立場においてバカにしやすいように挑発している点で大きく違う。

 見てもらい、金を払ってもらえてなんぼの世界の彼らの動きを見ると、売り物が芸であったり、商品であったりするが、とにかく知ってもらわなくてはならない。
 しかし、知ってもらってもより高度な職人芸や本職の人の作る作品と同じ位置で展示を行っても勝負にならないことは最初から分かっているので、「こんなポンコツな私でも、こんな素晴らしいものが作れます」という煽りを常に心がけている。

 この戦略はかつてテレビ番組「ヘキサゴン」で「馬鹿」芸人を集めて(実際は芸人を馬鹿のふりをさせて)、色々なことを成功させるというドラマ仕立てに番組を構成させたものと似ている。

mdpr.jp
 一度価値を毀損することで、本当に売りたいものの価値をまるで素晴らしいもののように見せる手法は…まぁ、とても日本的で、謙譲語、謙遜語のシステムを見ているようではあるが、視点はとても面白い。

 この「馬鹿」という立ち位置をSNSで利用していくために、彼らが用いる実際の方法は当然「馬鹿なことを言う」である。

 

 SNSを見ると本当の馬鹿や精神異常者を見つけることができるが、こういった思考がポンコツな方々の発言を見ても実はあまり面白くない。これは本当にヤバい人たちはその彼にとって重要なことをしゃべっているだけで、見ている我々に向けて話題を発していないからだと思う。
 宇宙人であろうと政治であろうと、外に向けての話題であれば、イラっとしたり、納得したりするが、彼らの心の中にある宇宙人の話を聞いても意味が分からない。

 

 その点、「馬鹿」芸人はピンポイントでイライラすることを言ってくる。無視をできない人たちに向けて罵倒をして、ひとと金を使って情報を拡散し、知名度を上げ、商品の宣伝をするために常に外部の話題を探している。

 さらに行ってしまえば、この炎上芸の制御のこつは「芸を剥がす」ことであると思う。馬鹿のくせに偉そうにしゃべっていたが、炎上が大きくなると「ごめんなさい。芸でした、てへっ(^^)/」という感じで舞台を閉じてしまえば、あぁそうか「馬鹿だなぁ」でおしまいである。
 また、問題が政治化したり、社会問題化しそうになると、本職をテレビやメディアなどに出演させて、まぁまぁ彼の言うことにも一理あると言わせて火消しをさせる。

 

 やり方を見ると、非常に功利的で鬱陶しいが、物を売るという点に特化したやり方としてはSNSを上手く利用した宣伝の一つの答えなんだろう。


炎上の方向性と拡散性

 テキスト掲示板形式の時代はネットは無法地帯で、悪い奴らが蠢く闇の勢力みたいな感じがあったし、実際そんなものだったと思う。
 しかし、スマフォの普及とそれに伴うSNSの整備によって、ネットワークを使った情報のやり取りが一般化すると、ある程度のマナーやルールが見えてきて、情報の動きも少し硬くなってきたように感じる。

 

上の例で情報の方向性を言えば
トランプ→オピニオンリーダー(有名人)→大メディア→個人→大衆
芸人→5ちゃんねる(2ch)→まとめサイト→個人→テレビ→大衆
みたいな感じで道、方向性があり、右に行くほど拡散すると言える。

 

 どのステージで止まるか進むかは各カテゴリの活性化で決まり、5ちゃんであればスレッド数であり、SNSであればFav、RT数ではっきりと数値化される。こういったビュー数を含む数字は様々な手法で見ることができるし、この数字を目標に煽りをある程度意図的に変化させようとする試みもある。

 かつて2chではこういった人を扇動する実験的な試みがたくさんあって、どうもその専門家みたいな人がたくさん生まれたし、実際「電車男」やいくつかのコンテンツでかなりの利益を上げたことからも、その手法はここ10年くらいで急速に確立していったものなのだろう。


 さて、意図的に炎上を起こす人達を見ると、必ず情報をぼやかしている。10言わないと分からないことを6くらい言って、それ以外は読み手に任せている。

 

なぜ、こんな中途半端なことをしているのか?

 

 解釈の一つは、いままでのメディアと違って、全ての情報が欲しい人は自分で調べたり、発信源以外が勝手に解釈した追加情報をある程度気軽に得られる点が今までのテレビとは大きく違うからだと思う。

 しかし、大した興味を持たない人にとって、この情報はいくつかのカテゴリーを伝言ゲームの様に伝わるので、本来の情報価値も毀損するため、最終的には感情しか広がらないのかもしれない。

 

つまり、

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みたいな場合、大衆まで情報が行った際、有名人が好き嫌いと言った感情と誰かの追加情報のみが残り、実際にトランプが意図したことが伝わらない可能性も高い。
 これは、たくさんの人たちは正確で大量な情報ではなく、一秒で分かるものを欲しがっていることが原因ともいえる。
 そのため、情報の価値を無視して、断片でもよく、必要となってくるものは、「誰が」情報を渡すか?という点が非常に重要になったのだろう。

 炎上を行う集団が気を付けていることは、これを前提に置き、すでに情報の価値に重きを置かずに、その飾り方のみ気にしているといっていい。どのように感情を掻き立てるかということのみに、時間と労力をかけていると言い換えることができるかもしれない。そのため、発信元が十分な情報を上げずに自分たちの有利な情報を広げるのだろう。

 

 結局のところ情報のルートが整って、方向性と拡散性がテレビ以上に確保させても、情報の下流にいる多くの人にとって炎上や情報はぼんやりとした発信元の顔と印象しか残らず、それを基に行動を促されることになるのだろう。

 

炎上の価値

 意図して炎上を起こす方法はたくさんあるし、個人でもやっているケースを見つけたが、悪用されるのでここでは書かなかった。いずれにしろ、燃やしても消すことができなければ、損になるので、やらないことが一番であると思う。

 

 本当に優れたものは燃えないでも口コミで売れているし、適切な広告を打てば、しっかりと利益に結び付いている。 結局、炎上を起こす人や物はその品質が自信がなく、商売よりも、金を儲けることだけを考えて行動して、ほとんどの人が最終的に大損をこいているように感じる。

 いいものを作るのはとても難しいが、やっぱり中身があるものが欲しいなぁと思った。

 

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