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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

動きのある絵は動いているように見える

 秋といえばスポーツの秋かもしれない。でも、スポーツ、特に球技が苦手な自分としては、困った標語だともいえる。
 どうも、体をどのように動かせばいいのかイメージできないことが原因のようであるが、そのイメージができない脳みそで、動きのある絵を描こうとするとなかなかうまくいかない。

 

 横顔の描き方を検討している過程で、その顔からの動きやイメージを少しまとめたかったので、素人なりに書き留めておこうと思う。

 

【オリジナル】「朝の散歩」イラスト/ニッペルフ [pixiv]

↑ 秋のイメージはやっぱり少し寒い

 

 

横顔の描き方から動き、価値、全体の動きを考えて、いくつかの他作品を観察してみた。

 


・横顔の描き方と動き

 

 何回描いても、横顔というものが上手く描けないので、少しずつ補正をしていると一番の問題が顔そのものでなく、首であることに気づいた。
 ちゃんと勉強している人ならこんなこと当たり前かもしれないが、実際の頭は体よりも少し前に位置している。
 体全体のイメージとして、「く」の字をしていて、頭と足が少し出ていて、背骨もそれに沿って、曲がっている。それが極端になったのが猫背だと思うが、自分のデッサンにはその意識が全くなく、首からまっすぐ上に頭が乗っかっている串団子状態になっていた。
 そのため、横顔がどこかいびつな配置になり、首のラインから顎のラインが連動して変形して、全体の顔がおかしくなっていたようである。
 その視点から見ると、斜めの顔もどこかおかしい感じがあるが、そこまで強調されておらず、少し書き直すことを繰り返していたので、自然と直っていたみたいである。

 

 さて、この横顔をえっちらおっちらと書き直したり、検討している過程で、その方向性や使い方なんかも色々考えた。
 例えば、われわれ人間は真横を視覚的に見ることができない。これは目が顔面の正面についていて、眼の視野は120度くらいしかない。一方で、横を含めた残りの240度は顔や体を動かさないと見えない。
 たまに漫画やアニメなどで横顔を動かさないで、真横を見るキャラがいるが、おそらく鳥や爬虫類なんだろう。
 では、この横顔からこちらを向く際にどのように体が動くのだろうか?
 とりあえず、自分の体を動かして試してみると、へその辺りを軸に胴、肩、首、眼という具合に連動してねじっていることが分かった。
ちょうど、雑巾を絞るように上半身全体が動いているようである。

 

 

・横顔の価値

 

 漫画を見返してみると、あまり横顔というものに出くわさない。どちらかというと、キャラクターは多くの場面で正面を向いているし、何らかの動きをしている場合は様々な角度の顔があり、その中の一部に横顔がある印象がある。
 また、その登場する横顔もあまりインパクトのあるコマで使われているものを見かけない。

 どうしてだろう?
 そう思って、アニメや漫画を見返してみると、キャラクターが何かに注目、集中する場合は必ず顔がそちらに向かうからだと思う。
 例えば、歩いているときを考える。ただ黙々と歩いているとまっすぐ進行方向を向くだろうし、横に話し相手がいながら歩いている場合は少し相手側に顔を傾けながら進むだろう。しかし、はたと止まって話しかけるとすると、その顔は話し相手の正面を向く。
 当たり前といえば、その通りだが、人が意識を向ける方向に顔が向くのである。
 そのため、キャラの横顔があるシーンではどこか別の方向に意識が向いていたり、意図的に視点を変えるような状態を示していたりしているように見える。
 つまり、横顔の価値はそういった視線の誘導であったり、我ここにあらずのような意識を変化させることに価値があるような気がする。

 

 

・横顔からの動きと効果のある描き方

 

 横から顔がこちらに向かれると、目がこちらに向く。当然視線もまっすぐこちらに向くので、結構なインパクトのある絵ずらとなるだろう。こういった顔のぐるりとした動きを観察すると関節の可動域と連動性が気になってくる。
 先ほどぞうきんを絞るように上半身が動くと描いたが、下半身は逆方向に絞られる場合が多い。ベストキッズのでんでん太鼓ではないが、ある関節だけが稼働して方向を変更するのではなく、視点のへそ部分から顔までの全ての関節が少しずつ動いてひねりを作るようである。
 この少しずつ可動域を融通しあって動く様は人間の動きのほぼすべてに適応されるみたいで、腕を上げるとか、歩くなどの基本的動作であっても様々な関節部が稼働することになる。
 これが表現で言う「しなり」であるとか、激しい動きの場合の「きれ」みたいになってくるのだろう。
 実際の技法としては、各種補助線やぼかし、ブラーなんかをかけると思うが、具体的に、物をゴミをゴミ箱へ投げるとすると、へそを視点にして、

胴が1、肩が2、腕が4、指が5くらい関節が稼働する(各関節部詳細は省くとして)。
 しかし、実際の変化量はそれぞれの部分が動いた量の合計なので、

胴が1、肩が3(1+2)、腕が8(1+3+4)、指が13(1+3+4+5)となる。
 もちろん、ベクトルの合計を考えると間違いになるが、絵として考えるとこのくらいのイメージがちょうどいい塩梅だと思う。
 このイメージを基に、実際の技法の強さを調節することによって、動きのある絵を描けるのではないかと考える。

 

 

・実際の動きと漫画アニメ的動き

 

 実際の動きをただ書くだけでは印象の強い、動く絵を描くことは今の自分には能力的にも時間的にも難しい。
 そこで参考に、有名な方や有名なアニメ作品を観察してみると、様々な表現や描き方があって驚く。


 漫画NARUTOであれば印象的なポージングや綺麗な視線誘導もあって、1ページが1枚の絵としてもそれぞれ完成されている。

 その印象をアニメではうまく動いているような表現を加えることで、ダイナミックな忍術を表現しているシーンがある。このシーンはおそらく作っている人がそれぞれ違うので、一概に言えないが、うまいなっと思うシーンでは上記の可動部ごとのブラーが変化していたり、重心が動かない自然な動きと顔の方向を上手くコントロールするポイントがあった。


 また、こういった実際の動きをなるべく消して、アニメ特有の表現を使うものとしては、パンチのシーンであると思う。
 何かを殴る瞬間、顔のアップを見せて、後ろから徐々に拳が大きくなり、次の瞬間に拳が当たった絵を見せる。短い間のシーン(漫画はコマ)の切り替えと強調したい部分(顔と拳と殴る対象)だけを変化させて印象で動きを表現している。
 関節や実際の動きなんかを無視してもしっかり状態を表せることができる。

 

 これら動きの表現の秀逸さを一番感じた作品はアニメDemension Wのオープニングのおっさんの動きだと思う。
 作った人はおそらく意図的に、1つの関節の可動部を動かす固い動きと、すべての関節部の連動したしなやかな動きを混ぜて、全体にものすごい滑らかさを表現している。またそのシーンの中で、アニメ的な部分強調(実際はありえない)を混ぜ、それぞれの動きに意図を持たせることで、ほんの数十秒のシーンに強いインパクトを残すことに成功している。

 ヒェッという感じである。

 


 こういったちょっとひねた視点で他の方の作品を見ると、あ~無理無視、描ききれないよ、となる。
 ただ、ちょっとしたエッセンスであったり、楽をするためには使えるものがいくつかあるのかもしれない。
 こういうものは参考にはなるのだ、参考には( ^ω^)・・・

 よし!と考えをブラッシュアップして横画を再び描いてみると、やっぱりう~ん・・・となる。なかなかうまくいかない。
 頭の中のイメージと実際の絵、理想はあるが実現はなお厳しい。

 

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