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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

カニバリズムと健康食品

これを食べると健康になりますよ~と謡った商品を飲食すると逆に体の調子が悪くなるものが多い。なんじゃそれっといった話。

 

 

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(今週の一枚)景色はいいが住むには寒い天空城pixiv

 

最近、偽薬や毒を薬として売る業者が増えたのでちょっと記事にしてみた。

 

カニバリズム的志向の健康

 カニバリズムとは人間が人間をもしゃもしゃ食べてしまう衝動や文化のことで、現代では異常行動・精神疾患や危険教義にあたる。

 自分はかつて一度だけ事例見たことがある。カップルがお互いのある一部分を切り取って食べあい、残った部分をアクセサリーにしていた。はっきり言って気持ち悪いし、共依存過ぎて普通に生活できるのかなぁなんて思ったことを覚えている。

 現代社会・我々の文化圏におけるカニバリズムはこういった精神的な他者への依存やこんな悪いことをやっているといった精神的興奮を示す行動がほぼすべてを占めると思うが、別の世界ではちょっと違うものもある。

 例えば、中国本土の漢方の処方では人の一部や胎児を煎じたものを薬として出す場合があるし、南太平洋の部族では足を怪我したら別の人の足を食べたら治るとか頭のいい人の脳みそを食べたら頭がよくなるなどの誤った医療知識が未だにある(きもいのでリンクは貼らない)。

 我々の科学知識では人を食べても傷は治らないし、頭もよくならないことが分かっている。しかし、そういった大前提があるにもかかわらず、健康食品において同じような思考で「体にいい」という嘘を並び立てて偽薬を売る業者が数多くある

 脳みそを食べれば知能が上がる、軟骨を食べれば関節痛みがなくなる、生き物の皮を飲めば肌がきれいになる、大腸菌(乳酸菌)を食べればお腹が良くなる…なんてことはない(;´Д`)

 

国定偽薬

 近年、様々な偽薬がさも効果があるようにCMや広告で登場し、高額で売られている。悪党がなぜ罰せられないかと言うと、健康増進法厚生労働省特定保健用食品の定義が原因である。

 健康増進法を簡単に言えば、「病気になると国民健康保険の負担が大きくなるので、国が定めた様な健康な生活をせよ」という意味不明な法律である(健康は権利、義務ではない)。これによって「正しい生活」「正しい食事」「正しい体型」などが勝手に定義され、それに派生して健康診断推進、受動喫煙防止や食品定義が推進された。

 適当な論文を付けて「体にいい食べもの」を国が検定してお墨付きをだすようになり、健康食品ブームに箔が付いたといえる。

 しかし、これには実は大問題があって、「体にいい食べもの」はたくさん食べても体には良くないのである。ゲームでいうと、ポーションをいくら飲んでも毒状態は解除されないし、飲みすぎるとマヒ状態など別のデバフがついてしまうた感じである。しかも、このポーションは実は偽物でHPは回復しないのである。

wedge.ismedia.jp

 当たり前の話で、こんなものを飲んで病気が治るなら、これは「薬」である。国が定める効果のある成分は「薬」であり、「食品」は「薬」ではない。ほぼすべての健康食品と呼ばれる商品は薬のふりをした偽情報を含み、適量や効能など必要な情報が開示されない。嘘つきが「国定」ということで我々をだまして利益を上げている。

www.sankei.com

 また、大元の健康増進法自体も穴だらけである。

 例えば、飲食での最大の健康被害はアルコールの過剰摂取である。内蔵・循環器・脳疾患の多くは毒となったアルコールによって引き起こされるケースが非常に多い。にもかかわらず、中毒性の強いウォッカで割った酎ハイを大々的に宣伝したり、小売りで安価に買うことができる。これによって質の悪いアルコールを大量に飲む傾向が日本で強まっている。

 売るなと言うのではなく、ほどほどに飲んだり楽しむための説明や管理をしっかりしないと毒になるのに、全く逆になっているのである。

blogos.com

 食料品全般においてめちゃくちゃな状況を放置しており、その流れで「健康食品」が多く売られることになったのだろう(;´Д`)

 

ロコモア

 様々な偽薬があるが、今年のクソ オブ クソの偽薬ロコモア。

 ハッキリ言って失笑した。ブタの骨、サメの皮、魚介類のゴミ、野菜くずを煎じて飲めば膝の痛みがなくなるそうである。ラーメン屋の残飯をあさる野良猫はたいそう健康なのだろう。

www.suntory-kenko.com

 動物の膝を煎じても膝の痛みは治らない。我々はカニバリズム的志向で治療や医療を考えない。

 この企業が悪質なのは商品価値をイメージに全振りしている点である。上記のように内容物は残飯である。しかし、それを「研究」と称して、Ph.D.に嘘を言わせたり、国立大学の名前を利用したり、莫大なCMを各メディアに打ってあたかも効果があるように偽っている。また、パッケージや名前だけを変えたものを複数パターン用意して、ロコモアがこけても乗り換える準備も万端にしている。

 つまり、効かないことをあらかじめ知っていて、問題が起こったらすぐに別を売ることまで織り込み済みで商売をしているのである。あまりにもひどい(;´Д`)

 

よく聞く成分と素材の秘密

 ロコモアはクソだけど、みんな騙されてしまう。それは「特定保健食品」とか「よくなる」とかいったレッテルに騙されるためだが、健康食品のだましポイントにはもう一つ大きな要素があり、それは「専門用語で書かれた成分」である。

 DNA(デオキシリボ核酸DHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)と言われる長鎖の有機酸類がパッケージに踊る。これら分子はそれぞれそれ単独で機能したり、分解後に小分子として体内で様々な用途で活躍する。

 しかし、これを食べた場合は何か効果があるかと言うと何の効果もない。我々人間は食べたものを一度ギリギリまで小さくばらばらして体内に取り入れる。そして、必要になったら体の中で再度組み立てる。レゴブロックでできた船をバラバラにブロックにして、車を作ったり家を作ったりすると考えていい。

 つまり、体にいい分子を食べたところで同じ分子が合成されることはないし、効果を及ぼすことは絶対にない。もし、何らかの理由で分解されないまま体の中に入った場合は「毒」と認識されて分解されるし、そのまま残る場合は癌化の原因となる

 

 もう一つ問題なのが、そのネーミングである。DNA、DHAEPA「含有」とそれぞれ書いてある商品があるとすると、別の商品に見えるが、実は全く同じものである。DNAと書いてある商品にはDHAEPAも入っている。DHAとパッケージされている商品にはDNAもEPAも入っている。これは元の材料が魚カスをすりつぶしたものだからである。カスをカラムにかけたり、HPLCで抽出したり、分子にタグを付けたりなどの化学処理をすれば、各成分の単離はできるかもしれないが、健康食品にそんな面倒くさいことはしない。

 簡単に言えば、魚のカスを高い値段で売るために、DNAやDHAEPAと言って売っているのである。もちろん、健康食品にそういった成分は入っている。入っているが、ごく少量の含有で魚のカスであることには変わりない。

 ゴマのカス、豚のカス、野菜のカス、貝のカス、カニのカスなんて言えば、飲む人はいないけど、セサミン、コラーゲン、セルロース、カルシウム、キチン・キトサンなんて言えばみんな飲んでしまう。しかし、しょせんカスである。もちろん、健康にはならない。場合によってはお腹を壊す(;´Д`)

 

命の水

 では、健康のために何を飲食すればいいか…というと、ずばり「水を飲め」である。

www.mhlw.go.jp

 アホみたいな話であるが、結構しっかりした理由がある。

 1つは体の代謝の問題である。我々の食事にはすでに大量の塩分や栄養素が含まれていて、体内では過剰な状態で蓄積されている。

 健康食品を食べるまでもなく栄養がありすぎて、電解質バランスが崩れた状態になっている人が非常に多い。健康的な食生活と言えば刑務所生活であるが、そういった食生活をするのは非常に苦しいし、よほど気を使っていないと栄養過剰に簡単になってしまう。だから、一般生活では余分な栄養が不良在庫となり、体の毒となる。

 それを水を飲むことで薄め、おしっこにして排出することである程度の恒常性を回復することができる。

number.bunshun.jp

 もう一つは体内の循環の問題である。健常な人であっても部分的に脱水症状なっていることが多いことはあまり知られていない。水分をあまりとらない人、おしっこが多い人、汗を良くかく人は傾向として体の中の水分割合が平均より若干少なく、何らかの因子によって容易に脱水や虚血の症状に陥る。そして、こういった現象は誰にでも常に起こる

www.ajinomoto.co.jp

 例えば、誰かと話をしているときに不意に頭がボーとする時や発表会で急にくらくらしたときは緊張で血管が絞られて血が体に廻らない時であり、一時的な酸欠症状になっているとされているが、実は血、と言うよりも体内の水分不足が原因だったりする。

www.nipro.co.jp

 

 こういった状態をある程度緩和してくれるのが、「水を飲む」である。

 人によってどのくらい飲めばいいかは変わってくるが、1日最低でも500mlペットボトル1本くらいは今よりも飲んでおくほうがいいと思う。また、わざわざスーパー小分けの水を買う必要はないし、気になるなら格安浄水器で濾した水道水を飲めば十分効果を発揮する。

 おしっこしたら水を飲む、運動したら水を飲む、誰かと話したら水を飲む。そんな感じでいれば、健康食品なんていらない。まさに命の水である。

 

終わりに

 別に健康食品を買うなとは言わないが、もっと有効な金の使い方はあるんじゃないだろうか?

 行楽に行くとか、欲しいものを買うとか、金があるならもっと実のあることをしたいものである(^ω^)

 

 

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