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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

Death Strandingをやってみた感想

あまりコンシューマー系のゲームをしないんだけど、勧められてDeath Strandingをプレーしたのでそのレビューを書いてみようと思う。

 

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(今週の一枚)早く帰ってこたつに入ろう(pixiv

 

 一応最後までプレーして内容も自分なりに消化したのでネタバレがあると思います。また、攻略サイドなど外部情報を一切入れずにプレーして感想を書いたので、情報に誤りがある可能性があります。ご注意ください。

 

 

世界観

 (評価 7/10)

 このゲームの世界では生と死が混ざりつつあって、死後の世界からやってくる怪物・現象によって現世が侵食・破壊され、人々がバラバラになって生きている。

 あの世と「繋がる」ことで生と死があいまいになったが、一方で死後の世界の解明が進む。死後はまず個別の死後世界が形成され、多くが繋がりのない個別で孤独な時空が存在し、さらにその先に完全な死や別世界がある様なので、その孤独の世界と現世が繋がることで、現世が時間的にも空間的にも分断され、物理的な破壊と共に精神的な拒絶が現実世界に蔓延することになった。

 舞台の北米にアメリカ合衆国はすでに無く、残った人も「人が死ぬこと」(現世と繋がりが途切れ、あの世と繋がること)が破滅の原因となるため、多くが隠れて地下で暮らすのだが、ライフライン維持のため地上の現実を「繋ぐ」運送屋がとても重宝されるようになる。

 繋がることが分断することに繋がり、改めて繋ぎ直そうというレトリックは面白そうだし、繋がりこそが人を人たらしめるものだとすると、ネット社会への皮肉にもつながるので、構想としてはなかなか深いものがあると思う。

 いわゆるポストアポカリプス系のゲームとなる本作だけれど、Strandというワーディングが秀逸で、遺伝子における DNA double strand(2重らせん)と繋がりや絆のイメージ、また世界の行き詰まりと言う意味での座礁をDeathと組み合わせるのはゲームコンセプトからしても頭のいいタイトルだと思った。

 また、あの世のイメージは一神教的な空の上と言うふわっとしたものではなく、海岸や水際から海の底といういわゆる三途の川的なねちょっとしたものとなっており、ゲームの死と水を合わせる認識はなかなか面白いものなんじゃないかと思った。

 

 問題点としては、個別にある死語世界と三途の川的要素だと思う。自分にはどうもテーマにグノーシス主義が見え隠れしてしまい、海外を意識したにしては説明が雑…と言うよりも、彼ら一神教の教義を不用意に貶める印象を強く受けてしまった。

 また、あの世がこの世に干渉するなら、この世があの世に干渉してもよく、一方的な破壊がなぜなされるのか、なぜ人間だけが(仏教の輪廻)対象になるかなどいくつも齟齬が存在し、強く世界観を押し付けて考えさせようとする割には底が浅いのではないかと感じた。

 日本ではエヴァンゲリオンオウム真理教などの新宗教(いい加減な教義)を許す土壌があるが、それがない環境において、この宗教観は邪教的に否定されると容易に分かるはずである。ナイーブな点を攻めている割にはその備えが薄いと思った。

 そのため、挑戦的ではあるが不安定であるということで7/10と言う評価にした。

 

ゲーム性

 (評価 1/10)

 このゲームを一言で言えば、フィッチクエスト(お使い)とウォーキングシミュレーターの組み合わせである。バランスを取りながらひたすら歩くおっさんを操作するので、はっきり言ってつまらない人にはとことんつまらない。というか、それをPS4に求めるなら、某ゲームのように専用コントローラーを作って健康・ダイエットゲームにしたほうがいいんじゃないとさえ思った。

 また、行動の対価の多くが「ありがとう」と言った言葉や「いいね」のようなスコア上昇だけなので、プレー自体のやり込みを前提とした作りとなっていて、ヘビーユーザーにはニヤリとする作りだと思う。しかし、ライトユーザーやネットワーク利用をほとんど無視した作りはいただけないと思った。

 ただ、おつかい系は多かれ少なかれこういった「なんでこんなことやってるんだ」という虚無感を常に持ちながらやるものなので、それをバランスゲームとして歩くことそのものに価値を見出すのは面白い試みだと思う。

 

 最大の問題…というか、致命的な欠点はゲームとして完成していないことだと思う。非常に美しいグラフィックであるが、同じ荒野が営々と続くだけであり、歩く以外本当に何もない。画面アイコンや索敵などをおしゃれに表示しているが、行動中の文字が極端に小さい。「ありがとう」と言い、繋がるはずのNPCが本当にドラクエNPCで個性がない。などなど、ゲームをやっていてイライラしてしまう点が全体的に放置されたままになっている。

 また、後半になると移動方法が追加されるが、それに対しての目標やアプローチ変更もしっかり考えられておらず(売りのウォーキングシミュレーター要素がなくなるのにその代替がない)、ゲームが進むほど「?」となり苦痛が増し、最終盤はゲームでさえなくなる。

 

 フィッチウォーキングをゲームとして良しとしても、この未完成(たぶん半分も完成していない)なものをAAAゲームとして評価するのは無理だと思う。そのため、1/10とした。

 

ストーリー

 (評価 2/10)

 簡単にまとめると、主人公のおっさんが育ての母(大統領)に頼まれて、新しく世界を繋ぐことでアメリカを再生しようという話。その中で、プレーヤーは主人公の出生の秘密や世界の混沌を知ることになるが、実際繋いでみたら、実はそれはトラップでその母こそ諸悪の根源でしたと言う落ちになる。

 色々邪魔してきたボス敵は実は父親(あの世の人)で、もう一人は母親のストーカーだったということで、世界観がとても大きい割にはその中で進むストーリーがとてもドメスティックな人間関係になっている。HBOに出てきそうなホームドラマであるが、う~んシーズン2くらいで打ち切りになりそうな気がするけど、上手く脚本を回せば大化けするような気もする。

 

 ストーリーは人の好みが大きく関係するので好き嫌いがあるが、このゲームストーリーの良し悪しで問題となってくるのは独特の言い回しと略語・用語の使い方であると思う。本来、こういった構文や単語はストーリーを理解する上でとても大切で、一度それを覚えればすんなり話が頭の中に入ってくるものである。

 例えば、専門家とお話をする際、その分野の専門用語・使いまわしを一通り覚えてしまえば、自分が素人だったとしても、驚くほどすんなり会話が成立するし、お互いの意図がすんなりと「繋がる」。

 しかし、このゲームに出てくる専門用語はほとんどの場合意味がなく、かっこいいから言い換えたとか、覚えても物語の内容が理解できない作りになっている。所謂文系クソコンサルやダメ役人が使う横文字みたいなもので、略語が逆に理解の邪魔をしている。

 そのため、たくさん出てくる用語や言い回しを真面目に聞いてもストーリーを理解することができず、自然とおっさんがしょんべんをしたり、ズッコケるシーンをぼんやり見ることになる。

 この何をやっているかわからない状態でゲームを進めると突然固定ムービーが始まり、次の章に進んでしまう。最終的には最後に2時間近く答え合わせ的なものが続くのだが、理解できないで進むと「この人たちは何を言っているのだろうか」と言う困惑でゲームが終わってしまう。

 「繋がり」をテーマにしているのに、制作者がユーザーと物語を通じた繋がりを否定しているのは滑稽だと思った。そのため、面白そうな要素が転がっているが評価としては2/10となった。

 

総評

 (評価 3/10)

 正直に言ってきつかった。これをAAAゲームとは言えないし、売り上げとしてもワールドセールスで実売50万も行かないんじゃないだろうか。

 しかし、リベラルに対する暗喩や皮肉(クジラ、アメリカ崩壊、SNSいいね、子供の扱いなど)、独善なストーリー展開は人によっては強い共感とシンパシーを集める作品構成なんだと思う。

 意欲的でアイデアに溢れるゲームだと思うが、たぶんこれを手に取った多くの人が否定的な意見を持ち、クソゲーだと思うんだろう。おそらく、それは未完成・調整不足が大きな原因を占めるんじゃないかと強く感じた。

 完成品を売って欲しかった。

 

終わりに

 勧められて久々にコンシューマーゲームをやったけど、う~んと言う気分。

 ・・・やっぱりお絵かきだな(^ω^)

 

 

 

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