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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

なぜ消費税を上げるのか(取る側視点)

もうすぐ消費税増税である。経済停滞が目に見えているのにどうして財務側は強くこれを押すのだろうか?今回は集める側の視点で考えてみた。

 

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  (今週の一枚)朝寝坊すると色々大変(pixiv

 

 前回は人口動態・国家戦略の変化みたいな半ば夢のような話になったけれど、今回はもう少し地に足を付けて、実際の徴税官的視点で税金と消費税を考えてみる。

nipplelf.hatenablog.jp

 

徴税と節税

 まず、お国にお金を納めるのは国民の義務らしいんだけど、取る側については意外と知らないし、それがどう流れるのかに関してはさっぱりわからない。だから、出来るだけ単純化して理解してみる。

 

税と利益

 50円で仕入れたアイス🍨を100円で売れば、50円の「利益」である。一番簡単な税はその利益から取り立てればいいのだけど、実際はもうちょっとややこしい。

 アイス屋は売る人に給料を払ったり、すぐには売れないのでアイス🍨の品質を維持するために機械や電気や水が必要になる。そのため、手元に残る「本当の利益」はせいぜい10円である。だから、税はこの10円のうちから取ることになる。

 これはアイス屋さん(法人)の場合だけでなく、アイス売り(個人)にも言えて、もらったお給料が「利益」なのではなく、アイス売りは必要な知識や能力を維持するために本を読んだり体を鍛えたりしてお金を使うので、実際に自由に使える利益は当然給料より少ない。

 税金とはこの「本当の利益」からとり、道や学校や軍隊を作ってその地域を維持するために使う。

 これを租税と言い、日本では直接的、間接的に徴収してみんなの役に立てている。

ja.wikipedia.org

本当の利益の決め方

 税金は「利益」ではなく「本当の利益」からとることになるが、「本当の利益」とは一体何であろうか?これは地域・時代によって大きく変わる。

 例えば、パソコンを考える。アイス屋がパソコンを買ってアイスを売るときや在庫を管理するのに利用する。でも、実態はエロゲをやっているだけでほとんど使っていないとすると、これはアイス屋が趣味で使っているので、アイスの品質保持やお店のためにならないかもしれない。

 こういった「経費」の線引きはとてもあいまいで、しっかりと証明できれば利益から引かれ、「本当の利益」は小さくなるので、当然税金も安くなる。

 日本の場合、この「経費」は年を追うごとに膨らんでいく傾向があるみたいで、それをカバーするために新しい税金を作ってそれを補填するという繰り返しがあるようである。

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(経費科目が増えると税品目も増えるイメージ:数字は理解用で実数ではない)

 

 取る方は税金の量を維持したいし、取られる方は減らしたいので、経費と新税がドンドン積み立てられて年を追うごとに複雑怪奇になってゆく。

www.mof.go.jp

advisors-freee.jp

 大まかなものでも10種以上あり、法人・個人で細かく見ると100種類以上の税金・経費がそれぞれある。

 それぞれの科目に加えて、累進性であるとか、優遇税制などその計算方法自体があまりにも複雑化したので、取っている方も取られている方も税の全容を理解できる人はこの国に一人もいないらしい。

www.nhk.or.jp

 

取れない税

 取った取られたと、狐と狸の化かしあいみたいでまぁまぁ頭が痛くなる。それを人の社会の常であると言ってしまえばそれまでであるが、どうも税自体の問題に加えて、取り立てる側においてもいくつか問題があるようである。

 

積み重なる人間関係

 上で書いた「経費」を認めるか否かは地域によって大きく異なっている。ある地域のアイス屋さんが100台のパソコンを買って、それがすべて経費になる場合もあれば、別の地域では100台中1台分しか経費として認めてくれないみたいなものである。

 かなりの恣意的運用をしているわけだけれど、この融通、今風で言えば忖度はどうして起こるかと言うと、人間関係の1語に尽きる。

 

OBという権力

 本来、税務署と法人・個人にやとわれた税理士は「経費」を値引き交渉するみたいにああでもないこうでもないとやり取りするので、1種の対立構造を作る。

 でも、その税理士が元税務署長さんだったら税務署の職員はしっかりと「経費」について査定することだ出来るだろうか?

www.jiji.com

 結果から言うとできてない。上で張った記事以外にも大量の情報が出る。本来100取らないといけないのに0にしたり、60にしたりと人間の力関係でその割合が大きく変化してしまうようである。

 

地域に優しい名士

 村人が100人いて10万円ずつ計1000万円税金を取って村を運営しているとする。貧しいが平等な世界がそこにはあるかもしれない。しかし、ある日そこにお金持ちがやってきて1億円税金を払った。お陰で欲しかった集会場ができ、ゆとりのある村になった。

 次の年、徴税官に向かってそのお金持ちが税金を8000万円にまけろといった。まけないと暮らしやすい街に引っ越すという。果たして徴税官は1億円取り立てることができるのか?

 

 答えは…できない。

 

 酒の肴にちょろちょろと聞いただけなのでぼかすけど、日本の島嶼部や田舎にはこういった名士や企業が多くあり、ある意味地域を支配している場合がままあるらしい。

 本来は国に密告してしっかり取り立ててやればいいのだが、やっぱり8000万円は魅力なので村の中でなぁなぁで済ましてしまうようである。

 こういった脱税まがいの節税をすることは村としては潤いをもたらすが、国全体としてはいい迷惑なので、極端な場合は取り締まるが、多くは見逃されているらしい。

 まさに地方創生である

 

治外法権

 興味がある人は調べてみるといいと思うけれど、税金の取れない団体や集団が日本には実にたくさんある。

 莫大な利益を貫流する宗教法人、別国家をバックに持つ民族団体、革命を標榜する赤い政治結社、国際化することで資金洗浄をする巨大企業や集団などなど税金を取れないどころかお金の流れ自体ほどんど把握できない団体が多数ある。

 恐ろしいのは、こういった集団は合法的にお金の運用をしている点である。彼らは何らかの方法で法律に穴をあける。ナムナム念仏を唱えたり、アベはヤメロと騒いだり、テロリストに車を売って無税になるなら自分もやりたいがなかなか怖くてできない。

  どうにかして取り立てようとしているが、なかなか苦労がうかがわれる。

www.mof.go.jp

 

消費税の本音

 偉い人達は税と社会保障の一体改革とかプラマリーバランス黒字化など色々なお題目をいって、消費税を正当化しようとしている。このお題目は年度ごとに変わっていて、明らかにウソである。ではなんでこんな税にするのだろうか?

 

徴税能力の著しい低下

  一昔前、「マルサの女」と言う映画がヒットした。国税局査察部が小ずるい脱税を次々と見つけ、忌々しい金持ちから金をはがしてすっきりする映画である。それから30年経ち、彼らの能力はどうなったかと言うと、減衰したといわざるを得ない。

 お役人個人が無能になったと言うわけでなく、我々の儲けのスタイルが大きく変わってしまったことが起因すると思う。

 地域の商店街はショッピングモールに変わり、町工場の多くは外国に展開してしまった。金持ちは証券で資産を持ち、多くの個人は貧困化した。資金の流動性が変わってしまった状況ではいくら地場の情報を掘り返そうとも、多くが合法・節税の範疇になり、取り立てることが難しくなっているという現実がある。

toyokeizai.net

 そのため、複雑で長い捜査をして徴税をする必要がない消費税に荷重が行ってしまうのだろう。

 

シガラミの排除と失敗

 「経費」と「新税」はパラレルで、その中心を支配していたのが自民党税制調査会であることは有名である。

www.asahi.com

 シガラミの塊であり汚職の温床みたいな組織であるが一応の税の調整能力を持った組織であったらしい。しかし、どの時点かははっきりしないが、この組織がある時点でぶっ壊されてしまい、ここ20年はっきりとわかる形で税法がひん曲げられた形跡がある。

 シガラミの組織を壊したら、もっとひどい有様になってしまったという悲しい実例である。

www.zakzak.co.jp

 調整能力を失った状態でいくら法人税をあげようとも本質的に徴税できないので、調整の必要のない消費税に抱きつく形になるのだろう。

 

高橋洋一と言う癌

 個人批判は良くないが、あまりにもひどいので書いておく。彼は竹中平蔵の「電卓」として現れた官僚であり、様々な物ごとに詳しいということになっていて、本人もそれを自称して様々な活動をしている。

 経歴も華やかで、とても言葉巧みに物事の問題点を見つけ、はっきりと敵を決めつけて、面白くしゃべる人である。しかし、発言と結果を照らし合わせてみるとその評価は裏返る。

 竹中氏と行った構造改革民主党に提起した埋蔵金安倍氏に囁いたリフレ理論大阪維新の会への財政検証消費税軽減税率提案など、一見正しそうに思えても、机上の空論や局所的な解を並べているだけで実効性や効果が極めて悪いものが多く、また、学者として実行後の検証をしないため、間違った方策に対する修正が全くできていない。そのため、ポジショントークとして武器の一つなら使えるけど、政策としてはヤバい。ヤバさにビビる

 別に財務省様万歳とは言わないけど、こういったヤカラと政治家が組んで中をぐちゃぐちゃにされると、官僚はきついなぁと思う。

 おそらくもう収集がつかないので、消費税なのかもしれない。 

 

現実 

 なんだかんだで国の税収がついにバブル期を超えた。国としてはウハウハだし、民主党悪政を耐え、彼らの言うまともな国(均衡財政)になろうとしている。

www.mof.go.jp

 現在、税収の約半分を消費税で賄い、その他税は実額でも割合でも年を追うごとに減っている。この方向性を維持するのならば、10年と待たず、税のほとんどが消費税となる。

 ちょっと偉い人に聞くと、消費税は「楽だ」という。色々と議論があるけれど、この「楽」こそ取り立て側の本音なんだろう。

 

 

終わりに

 取る側が消費税に寄っかかりたいのはわかるし、じっとりしてみてもなかなか厳しいと感じるけれど、やっぱり増税は反対だと思った。これ以上の負荷は経済的に回らなくなる可能性が多分にある。

 特に、せっかく楽なはずの消費税は今回の変更で、政治的・徴税的に軽減税率導入でめちゃくちゃになる。7payやpaypay騒動を見ると、まともに徴税できるのかさえおぼつかない。

 

 後10年くらい延期したほうがいいなぁと貧乏人として震える:;(∩´﹏`∩);:

 

 

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