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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

アニメ「ヒナまつり」から見る高齢化とロリコン

GW何をしようかへにょっとしていると、何故か木を切ったり、なんたら記念会に呼び出されたりと、微妙に休めない中、溜まった今期のアニメをざらっと見た。そこで気づいた、考えたことを書いてみようと思う。

 

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 (今週の一枚)未完の可能性が怖かったので、エロくない部分をまとめた(→pixiv

 

※目次※

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今期の一押し

  ざっと見ていると3分のショートアニメであるとか、層を絞った(逆に言えばそれ以外の人は決して見ない)ものであるとか、Netflixに代表されるテレビ局や代理店を通さず直接スタジオと契約するような新しいタイプのものなど、従来のビジネススタイルと異なり、作り方から売り方まで違いがはっきりと分かるものが増えてきたように思える。

 

 そんな中で自分が「おぉ」と思ったものは、フルメタル・パニック!の第4期であるし、今季一番だなと思ったのはヒナまつりだと思った。

hina-matsuri.net

 ストーリーはどこからともなくやってきた(未来?異世界?)女の子「ヒナ」と今時のビジネスヤクザ「新田」が繰り広げる超能力ギャグアニメ(漫画)である。話はヒナと彼女を追ってきた「アンズ」とヒナが通うことになる中学校の同級生「ヒトミ」がそれぞれ織りなすお話と、時に彼女たちが一緒に関わる事件をギャグ仕立てにしたもので、アニメでは「アイター」という掛け声が何だか面白い。

 これはいい(・∀・)と思ったので、漫画の方も買って少しずつ読書中であるが、3人の女の子がそれぞれちょっと極端に描かれてはいるが、読者に変に媚びたところやストーリーの迷走もなく、良く作りこまれている。ちょっと中だるみするかな?と思った次には一気に中学から高校へと時間を進めるあたり、ギャグの爽快感やストーリーを盛り上げるためにすごく工夫しているところが感じられるので、お手に取ってご一読いただければ楽しい時間を味わえる逸品であると思う。

 

 KADOKAWAもしくはその系列が元締めになって作成されたもので、去年のけものフレンズ騒動(Haffingtonpost)なんかを思い出してみると、ずいぶんと組織内をすっきりとさせて、再びいいものを作ろうとしているのかなぁなんて思う。まぁドワンゴとくっついた後、株価がじりじり下がり続けて、色々怒られて役立たずを切ったのが原因かもしれないが、原作の価値を損なわず、こういったものをしっかり作ってくれるのは1ファンとしてはうれしい限りである。

  

最近のテレビアニメの傾向

 さて、今期のアニメを見ていて気付いたのは、いままで漠然とヒットしそうなものを無作為に出していた提供側が、ある程度明確にアニメのターゲット層を絞り、かつ、その嗜好の変化に気づいてきたのではないかなぁなんて思った。ネットでの云々もいまの時代重要だと思うが、テレビに絞ってアニメを考える。 

 これだけ毎シーズン雨後のタケノコのように新作が放映されると、一定の傾向は見えるし、なんとなくヒット、爆死するかは数話見れば誰でもわかる。

 具体的に考えると、アニメを各年、各シーズンごとにソートして見ると、資本がついてある程度雑多なテーマで作っていていることが分かるが、ランダムにヒット作品が生まれることもわかる。ここから言えるのは、今までとりあえず作ってみて売れるかどうかは神のみぞ知るといった感じで多くは企画されていたということであろう。

 そのヒット作品に似せて、2匹目のどじょうを狙った作品が作られるが、大抵はズッコケて資金回収がうまくいかずに逃げ出すというのが一つ流れとしてある(映画化や第2期も同じ)。これは作品の質がどうとか言う以前に、2発目が「遅い」ことに最大の理由があると思う。ヒットが生まれてから資金を募って作り出すので、早くとも半年かかるし、その間に視聴者は別テーマに心移りして、ある程度冷静に2作目を鑑賞するようになってしまい、売る側は利益を最大化できない。

 一方、このヒット作に傾向が近いものを次々と、絶えず供給して利益化している場合も散見されるが、これは大元となる企業(例えば出版社)が物語の内容や作品の質をある程度コントロールして、異なる作者であるのにもかかわらず、ある意味シリーズ化することで、その雰囲気に慣れた固定客をしっかりつかんでいるためと考えられる。1つのアニメは3か月で終了するが、関連シリーズは12か月続き、シリーズの収益化を目指すといっていい。

 結局、アニメ自体がその作品、作品群の宣伝も兼ねているので、短い期間でアニメ作品の終了すると、アニメ広告がストップして身動きが取れなくなる。その広告部分をどのように解決するかを考えておかないと、たとえ質が良くても知名度不足で大爆死ということになる。

 つまり、映像作品としてのアニメを入り口にDVDやグッツを売る業態は基本的に宣伝力の弱いアニメ単品で勝負をしてもダメで、原作がある程度確保できるものやアニメを宣伝として使い、「すでに売りたいものがある」「アニメは宣伝」という割り切りが必要といえる。

 収益化の中心をアニメ以外に置かないとだめというのは、おもちゃの販売からも言えると思う。

 

 失敗は怖いので1シーズンしかやらないけど、1シーズンだとほとんど利益化できないというジレンマが業界全体にあるんじゃないかなぁ。

 

ロリコンと違う子供好き

 そんな緩やかなアリジゴクの中、KADOKAWAが一強…というか、同業他社の買収を行い、モノトーン化することで、全体が硬直化しだしたか?と思いきや中小でも頑張っているところはたくさんある。

 

 一ジャンルとなった「萌えキャラ」が楽しく日常をおくる作品群は供給過剰になっており、萌え顔の描き方自体が書籍化するほどテンプレ化してしまい、初心者には誰が描いたのかわからないほど同じようなスタイルのイラストが氾濫している。

 しかし、芳文社まんがタイムきららに代表されるようないわゆる「女の子動物園」は読者の傾向を掴み固定客を見据えているので、先細ることはあっても、その先は長く続くのだろうと思う。

 

 さて、こういった萌え作品を見る視聴者でよく勘違いされることがある。コミックLOに代表されるようなロリコン、つまり小さな女の子とエッチしたいという男子と混同されることである。

 自分はこういった作品を見るのが苦手で、日本男子は”HENTAI”が多いんだなぁ程度に思っていたが、食わず嫌いを止めて見てみる(LOを含めて)とどうも違う。それこそいくつもあるブログやBBSの感想でもいいし、ご自分でそういった作品を鑑賞されてもわかると思うが、エロなど全くない。ヒットしているものは女の子たちが楽しそうに遊んでいる癒し空間しかない。明確にそういった男性的なエロを避け、ひたすらに「優しい世界」を演出している。

 

まさに、エス、ロリータ、ノー、タッチである。

 

 ロリコンものと萌えものでは明確な線は存在しないが、どうも狙っている客層が似ているようで全く違うようである。

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  図示すると分かりやすいが、萌えが狙っているのは、黄色い部分を除いた萌え好きであるし、ニコニコ動画のコメント群を見てみると、この層は明らかにロリコンではない。「かわいい」「ほっこりした」「一緒にいたい」など優しい感想が多く、ユニークユーザーで見ると「穴に入れたい」のようなわかりやすいコメントをする人数は少なく、むしろエロを忌避する印象のあるコメントも多数ある。

 

 ここからは推測になるが、こういった男性層から感じられるものはアニメキャラに対するエロ、つまり性の守備範囲ではなく、純粋な好みとしての子供に対する「父性」なんじゃないかなと強く感じる。

 だから、その物語に没入する際の男性層の位置はサブキャラクターとしてのお父さん的な立ち位置のものが多いし、メインキャラの女の子は家族の中でフランクに話しているようで、たまに画面のこちらに話しかけてくるのではというような雰囲気の作りが多い。

 以前のアニメであれば、哲学的に考えるもの、女の子と付き合うもの、スポーツや戦いに打ち勝つものなどなどの様に、主人公が若年から青年のような意識であったが、視聴者層が高齢化することで、その視点も変化し、萌え好きの場合、「普通に」社会生活を送っていたら自分にもこんな子供ができていたのでは~といった男性各個人の内側にあるエロとは違う欲望を満たしているのではないかと思う。

 

振り返ってヒナまつりのヒットの可能性

 こういった「お父さん」の視点で見ると、自然と主人公がビジネスヤクザの新田になる。彼の視点で作品を追ってみると、自分の家にいるヒナに愛情を注ぎながら、出来の悪さを嘆き、同じような出自のアンズに理想の子供を見てべったり甘くなったりする点が多く描かれている。周りの大人たちもなんだかんだでいい子のアンズに温かい目を向けたりする。一方でとても出来のいいヒトミには「出来すぎる」ために様々な要求をしてべったり頼ったり、大人たちはネグレクトとは言わないが「この子はほっておいても大丈夫」というよくいるダメな親をうまく大げさに書いてギャグにまとめている。

 ギャグで括っているが、実際は非常に身近な家族の人間関係をわかりやすく描き、その価値を自分にもしこういった子供がいれば、こういった世界にいればといった作品に対する親近感と心に引っかかったなにかを思い出させてくれる。

 

 このようなつくりのものは以前にもいくつもあったが、ストーリーの作りが弱く、数話で設定が崩壊したり、受けが良くないと方針転換したものが多いので、単行本にして10巻以上このスタイルをしっかり作れる技量は素直に素晴らしいと思った。

 

 また、上で書いたようにロリコンではない萌え好きの男性層は緩やかに高齢化し、漫画やアニメを見るコアの男性層が40代前後になっている。この現状において、もし、自分に子供がいたなら…とする視点で彼らが視聴しているとすると、萌え好きの傾向は変化し、上のようなローティーンの優しい世界からハイティーンの思春期の子供との付き合い方のような作品がヒットするような気がする。

 「お父さんとしての自分」「自分の子供」に当てはめた視点での視聴がヒットするなら、ヒナまつりは爆発的にではなくとも、しっかりとした一つの新しいジャンルを作り出せる可能性があるのではないかと思った。

 

終わりに

 単純にチ〇コシュッシュの作品も馬鹿っぽくていいが、どの年代にとか、どういった好みの人に…みたいなターゲットを絞るやり方は面白いし、作品として質が高ければ、固定層から一気に広がるような気もする。

 エヴァンゲリオンでは不安定な自分と現実の辛い世界という思春期の歪みをロボなり、宗教感で包んで大ヒットしたが、それを支えた層は今やオジサンオバサンである。サブカルを支えるのも彼らだし、彼らの心を揺らすものはこれからどれくらい出てくるのか気になる。テレビから一番金を出す層は彼らなのだから、彼らのことをもっとよく見て、それに沿ったストーリーが作られればいいなぁと思った。

 

まだ自分にはそんなすごい作品を作る能力はないが、それを目指してエロ同人CG(只今作成中)を完成させるのだ!(^ω^)

 

 

 

☆同人CG販売中

 

 

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