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1週間に1記事を目標にして、考えたことや描いた絵について書いてます。

日本の移民問題は本当に問題なんだろうか?

ネトウヨ(?)の友達と話していると、やれ中国人の移民や土地買収で日本侵略が!などと不穏なことを言われる。実におどろおどろしいが果たして本当にそうなのかしっかり考えてみた。

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 (今週の一枚)落ち着こうぜ(pixiv

 

  事の真偽は置いておいて、こういった政治ワイドショーな話題は純粋に面白い。ただ、その騒がしい噂話をただネトウヨ・パヨク的に近視眼的に論じるのではなく、今回はちょっと気分を変えて、これから10年、20年後に起こるであろう日本と中国の緩やかな環境の変化を含めて考えてみた。

 

※目次※

 

感覚的、経験的実感

 ロシア関連についてはあぁヤバいかもと思う(ネタが広がりすぎるので今回は除く)が、その他の日本に対する実際の国家間の対立はネットで喚かれるほど強力ではなく、実際に商売や学問などで関係している人と話すと、むしろ逆の情報が入ってくる。政治的にとがった人の思いとは異なり、色々な外国、外国人に共通して言えることは「日本とはほどほどのお付き合いがしたいが、べったりしたくはない。」である。これはもちろん中国人、華人にも当てはまる。

 一方、それを受け取る日本人の対応としても、ヨーロッパで起こっているデモや激しい排外運動などは全くなく、むしろ「お客様がいらっしゃった」という感覚が強い。(NHK世論調査検討からもわかる こちらのPDF9ページ目 5 おわりに あたり)

 このお行儀のいいOMOTENASHIは教育というよりも、メディアによって誘導されている向きが強く、良くも悪くもそれが機能している。例えば、訪日外国人の多くは近隣の中国、韓国が非常に多いが、テレビ出演する外国人は白人が多く、「外国人(というカテゴリー)」は美しく、おもてなししないといけないという刷り込みが常に行われている。おそらく、徐々に増加するであろう外来者の印象を少しでも良好にしたいという意図があり、政府、経済界、民族団体など様々な組織の利害が一致しているのだろう。

gendai.ismedia.jp

 さて、この外国人全般に対する柔らかい意識の改変とは逆に、特定の外国の政府や国そのものへの憎悪は意図的に煽られている。それに伴って、「外国人」の枠から外れた華人や朝鮮系をバッシングする向きが少しずつ醸成されている。不満のガス抜きに国際問題を使うのは世の常であるが、中国が!朝鮮が!と興奮して、その真偽不明情報を鵜呑みにしてしまうのも間抜けな話だし、起こりうる未来に耳をふさいで怯えるのもダサいので、ある程度の知られているデータを集めて、情報の検証と実際起こりうることをちょっと予想をしてみようと思う。

 

世代別人口統計から移民を考える

www.populationpyramid.net ↑のサイトが一番見やすいと思うのだが、地球規模で考えると現在の地球の人口は74億人で、20年後にはそれが90億人程度まで増加すると予想されている。単純に見積もっても約1.2倍程度の増加で、今よりも食糧問題や人口移動問題の増加が考えられる。これを見ると日本にも大量の外国人が押し寄せて~とドキドキするが、これを地域ごとに見ると意外と違った視点で見ることができる。

 

 地球全体の人口増加を占めるのは、インドパキスタンとアフリカに偏っていて、それ以外の地域ではおおむね減少傾向にある。

 現在、我が国日本では1億2600万程度の人口が、20年後には1億1700万程度まで減少し、その傾向は顕著である。また、コアとなる生産年齢人口も減少するため、働く人よりも養われる人の割合が極端に増え、明らかな人手不足となる。

 一方で、中国も同様の傾向に陥っており、約10年後をめどに人口減少が始まる。今20代の人たちが人口の中心を占めているため、しばらくは現状の経済成長を維持していけるのだろうが、それは人口減と共に徐々に勢いを失う。

 改革開放後、中国は日本型ビジネスをモデルとして発展し、その文化様式もかなり似通ったものであったが、人口統計に関してもかなり似通ったものになっている。イメージとして、彼らは人口でも日本の20年後ろを進んでいることになる。つまり、いま日本で起こっている労働力、介護などの人口の世代別の偏りによっておこる問題が同じように中国で起こるのである。

 中国の人口侵略なんて叫ばれているが、人口統計から見えてくることは、中国は経済を維持するためには近い将来移民国家にならざるを得ないということである。そのためには彼らはしっかりとした計画を立て、移民を受け入れる必要があるが、今までの様に日本はその正しい教科書、道しるべとならない。現日本政府もアベノミクスを前提とした日本再興戦略本部を官邸にたて、かっこよくポーズをだしているが、笛吹けど踊らずで、上手くいっていない。おそらく中国政府もこの点はすでに見限っており、そこで参考になるのはある程度この問題対応したEUではないかと思う。

 移民国家アメリカを除くほぼすべての国は経済発展後、同じような人口減少問題に直面しているが、EUでは効率的に移民を受け入れることでそれを解消している。冷戦終了後に安い労働力として東ヨーロッパ各国から、北アフリカ諸国から、トルコ、インドから・・・と労働者の値段によって時期と地域を変えて、受け入れを広げて人口増加と経済規模を維持し続けていた。

 特にドイツは先進的で、まず東西ドイツの再統合による人件費の安さを利用してユーロ圏の工場となり、少しずつ国別で移民を受け入れること(ドイツにおける移民・民族問題の現状※PDF※)で、低賃金を維持し、国の富を増してきた(つまり労働者の給料は安いので、ずっと貧乏)。

 

 しかし、この効率的方法も移民2世3世の問題やイスラム系の受け入れに失敗して、現在の混乱状態となり停滞したと言える。国民の移民排撃と各国のEUからの独立という経済圏そのものの破壊の可能性にまで至っている。つまり、だた安いというだけで、受け入れてもその子供が生まれる20年後には感情的な差別問題が起こるし、文化が極端に異なる集団を一定以上受け入れた瞬間、問題が爆発する。このケアには莫大な金がかかる。

 このモデルを中国に当てはめようとすると、原則として宗教が禁止されているため、移民ターゲットとなる東南アジア系、インドパキスタン系の受け入れには難があり、対象が非常に絞られ不足する。人口減は絶対起こる大問題はあるのに、明確な解決策のない状態となり、実は日本以上にヤバいのかもしれない。

 いずれにしろ、よく噂されている中国移民の波は、今後、引き波となり、日本と中国の移民の取り合いとなる可能性がとても高い。 

 これらを考察すると、これから20年間に日本で起こる移民問題

  • 必要とする移民がさっぱり集まらなくなる
  • 移民の「質」の維持が不可能になる
  • 労働力に対して、高額な機械化か、問題を含む移民化かの「議論」が起こる

となるのではないだろうか? 

 我々が必要とする安価である程度の品質の移民(言葉が喋れて、ある程度の知能がある)が中国との取り合いになるので、外交的に弱い日本ではいずれ、移民減に限界を迎え、労働の効率化と機械化問題が移民問題にすり替わると予想される。

 

・・・という至極つまらない結論に落ち着くので、ちょっとワクワクはしないのかもしれない。

 

経済状態から資産移動を考える

 日本経済は安倍総理就任で持ち直したが、中国はそれ以上のスピードで成長を続けると喧伝されている。実体はどうなのだろうか?

 日本を地域として考えると、日本の一人当たりのGDPの推移 - 世界経済のネタ帳で実質GDPの推移を見るとこれからも緩やかに上昇していくことが想定される。また、日本国のGDPも緩やかに上昇するという予想が同時にあるが、これらは基本インフラの維持と更新が適切になされているという前提がある。

  しかし、実際はアベノミクスで公共事業を大量に発注しても、金額の安さから入札が不調になったり、そもそも工作機械や人員が足りず工事自体ができないという事態に発展し、政府の公共事業関係費が2013年度に積んだ予算を償還できず、それ以降も繰り越しが続くというかなりの異常事態が続いた。

www.mof.go.jp

 このことで、想定されてた整備は遅れ、一般道路や水道整備などの基本インフラの維持に穴が開く可能性が高まっている(国土交通省インフラ長寿命計画※PDF※)。東京近郊ではオリンピックを梃子にして色々企画しているようではあるが、これも小池知事の登場によって残念ながらとん挫しつつある。

 経済とは多層的なそれぞれの基礎を考えるべきで、食べ物があり、教育があり、道があり、工場があり、そこで初めてインターネットになる。今その前提が崩れつつあり、いかに第4次産業革命と銘打って、GDP増加を企画しても、日本では実際には現状維持さえできなくなる可能性が高まっているのが、今の日本ということになる。

 

 実はこの現象は中国でもより大きく起こりうる現象として知られている。例えば、一帯一路をスローガンに大規模交通網を伸ばしているが、その維持についてはかなり妖しい(日本総研 レポート内、一帯一路が抱える三つの課題より※PDF※)。また、一度ミスがあった場合、大規模な事故に発展するのがあの国の伝統であり、それにかん口令を平気で引くことを考えると、広大な国土故のマイナス面が現れ、経済の下押しのリスクとなると捉えるべきである。

 以上から日本中国共に、10年後をめどに予想を下回る経済状況になるだろうと考えるが、このシュリンクによって、中国の日本資産大量購入の維持は非常に難しくなり、むしろ今持っている資産の課税という点から徐々にそれらを手放さざる負えなくなる未来が見えてくる。この点は日本側の投資も同様に減少すると考えたほうがいい。

www.jri.co.jp

 

狙われる水資源とその水源地から考える

 こういった現状、未来予想ができても、外来の文化の異なる人がやってくるのは何となく恐ろしい。気づいたら隣に大声の中国人がいて、襲われるかもしれないし、国がポンコツでも個人の大金持ちが我々の土地を買いあさって我々は支配されるのかもしれない。ブルブル

 しかし、実際にはどうなんだろう?というと、確かに中国人の不動産売買は盛んで、特に東京周辺の不動産物件、俗にいう億ションなんかも買い漁られているが、これらはあくまで「投資」であって、そこに定住したり、家族を引き連れてどうこうしようという試みは近年ピークを割り、日本の将来推計人口(平成29年推計)|国立社会保障・人口問題研究所や(PDF注意)全日本不動産協会による外国人賃貸状況を見ると、都市圏以外では今後の推移としても減少傾向にあるようである。

 では、なんで人口侵略などというおどろおどろしい話が流布されるかというと、今まで増えたのだから、これからもずっと増えるだろうという単純な思考と、日本の伝統的な土地取引、簡単に行ってしまえば「不動産詐欺」にあると思う。

togetter.com

 まず上のキュレーションサイトでまとめられるように、すでに水資源云々はデマであることが知られているし、侵略というより、日本人の不動産関係者が中国人の富豪をだましてゴミ立地の土地を高値で売却している。中国人にとっては、そのダブついた土地の課税と差し押さえ、登記の取り消しなどが問題となっていて、この件に関しては中国人はむしろ被害者であるが、中国人なので誰も助けてくれない(笑)。

 こういった土地に絡む詐欺はまぁ、千年くらい前からあり、10年おきくらいにデカいのがボコっと起こる。鎌倉時代においては荘園と寺院と武家の権利問題であり、現在は原野商法であったり、その原野の2次被害だったり、沖縄の予定軍用地問題であったり、最近有名になった地面師なんかもある。こういった伝統職の連中にピュアな中国人が巻き込まれたのだろう。

 さて、こういったピュアな人はたとえ中国人であっても、さらに搾り取られ叩かれる。日本政府からは売買高と土地鑑定価格の上昇により、多額の税金を取られ、侵略者として迫害され、政治的に利用される。

 例えば、国会においてこの問題が取り上げられ、「危険なのでこの土地を政府が買わなくてはならない」と熱く語る議員がいるが(産経新聞ニュースより)、はっきりいって詐欺の片棒を担いているようなものであり、維新らしいなぁと微笑ましくなる。

外国資本による森林買収に関する調査の結果について:林野庁の結果を見ても分かるように、多くが個人で買い、持て余していて、体よくだまされたのである。

 つまり、この土地売買の本質は中国人の侵略ではなく、日本人の悪辣な一面であるのである。

  

 終わりに

  バッと書いて、デマや変な煽りを全否定したが、自分は基本的には中国人は好きになれない。話すとうるさいし、契約を守らないし、すぐ逃げる。もちろん、しっかりとした人もいるが、信用のおける関係になるまで頑張りたいとは思わない。大多数のお人よし日本人が好きだし、日本でのんびり過ごしたいと思っている。

 しかし、同時に両国ともに緩やかな衰退が控え、それに抗うための変化を起こすことが容易に予想できるので、それに巻き込まれないようにしないといけないなぁなんて思う。

 だから、むやみに煽られずに、落ち着いて、普通に生きていればいいのではないだろうか?

 

・・・と、長々と話をしたら、冒頭の彼はがっかりしてしまった。

強い否定はよくない。反省である(^ω^)

 

 

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