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ビジネスとネットの信頼性

【オリジナル】「もうすぐ春ですね」イラスト/ニッペルフ [pixiv]


春になると去る人がいて、新たにやってくる人が沢山いる。
毎年電車に乗っているとそろそろ服と共に人の顔ぶれも変わるんだなぁと思いつつ、
この風景はいつまで続くのかなぁなんて思う。働き方も変わってきて、大企業でも簡単に倒産するしなんとなく不安定な世の中である。

この季節になると歓送迎会も少しずつ増えてくる。
以前にちょっとした関係者の偉い人たちのパーティに出たことがあった。
海外のコンサル関係の人もいたが、内輪の会ということで結構話題が弾んだことを覚えている。自分はそんなに英語がペラペラというわけではないので、皮肉や言い回しを正確に理解できたか疑問だったが、別業界の自分にはネットビジネスに関係した話は興味深かった。

 

 当時情報革命とか業務の効率化による人件費削減とかバラ色な広告が打たれていたが(今も言ってるのかな?)、実際は新しい仕事を作るという点では金儲けになるが、従来の仕事の質の改善には疑問だねということだった。
 会ではお酒もあって、いろいろなことを聞けたが、よく覚えている話題はアンケートとネットの信頼性であった。アンケートをしようとすると電話でも街頭でも、とにかく時間と人つまり人日を多く必要とする。それに伴って大量にお金を消費する。これがSNS時代に入って、必要有効数を非常に容易にとれるようになった。
 しかし、ネットと電話の有効数の考え方が曲者で非常に危険なバイアスが内在されている。常に信用できるかどうか慎重にならないといけないということであった。
 アンケート全般に言えることだが、バイアスになるのは人の意見である。その商品に興味があって意見を持って答えてくれる人はちょっと変わっているそうだ。そういう人はちょっとしたマニアであってこだわりを持っている。企業がほしい情報は普通のその商品にちょっと興味がある人の意見である。少数のマニアの意見を集約しても、人々が求めているニーズを得ることができない。だから、できるだけ多くの人に聞いて、本当のニーズを調べる必要があるのだったが、そこで「情報通信革命」である。ほとんど金をかけずSNSで不特定多数にアンケート依頼を出すと匿名の大量の意見を得られるはずであり、インターネットで楽に素早く顧客満足度を上げられる!
・・・という表の宣伝とは別に、実際解析している側としてはネットアンケートはとても難しいことが分かっていたらしい。
 大学名は忘れたが、いくつかの大学共同で情報共有の心理実験がなされ、共有した者同士では意見が似通るということだった。正しいかどうかは別にして、情報があふれている。それに触れる人はそれに沿って考えていくつかの答えに必ず誘導されるというのだ。そのため情報に触れれば触れるほどそれに汚染されて、強力な意見に強く引きずられてしまう。結果、本人の持つ生の印象から遠く離れてしまう。
 SNS時代以前では限られ強い興味を持った人が情報に触れられた。パソコンが普及すると簡単に表面的な情報に触れられることで大量のマニアが増殖したが、ほとんどの人が素人なため、なんちゃってマニアになることでアンケートを汚染するということだ。スマートフォンが普及した今、もっとひどくなっているんだろう。また、質の高い情報は無料では転がっておらず、ちゃんと調べたり金を払って裏を取らないといけない。でもふつうそんなことはしない。そのため、カス情報を基に多くの人が浅い知識で情勢を作ってしまい、さらに多くの人がそれに乗っかって話を共有してしまうそうだ。つまり、たくさんアンケートを拾えるようになったが、バグも大量になってしまって数が信用できなくなってしまったということである。
 だから、アンケートを取る側としては顧客の広い意見をとっているつもりでもかなり曲がった意見を出している場合がある。そのグループには好評でもその他一般からは異質の価値観が形成されて、広く商品を売りたい企業には全く価値のないものになったそうだ。こりゃアンケートの意味がなくなるなと笑ったものである。

 ただ、うまく情報を出せば大量の人が必ず誘導されるなら、顧客のぼんやりとした意思を拾うよりこちらでその意思を作ってしまえばいいという話もあった。テレビCMのイメージ戦略のネット版を新たに戦略商品として売り出そうという糞コンサルのいつものパターンである。商品の中身でなく、包み紙で商売しようというものだ。
 たくさんの広告を打つのではなく、有名人や自称学識者に文章を書かせて情報を作る。それを「〇〇さんがこうおっしゃっていた」と2次的に拡散し、「△△らしいよ」と3次的にうわさにするそうだ。
 Mixiが始まったくらいにこの話をしてたので、ステマアフェリエイトまとめサイトなんかは当初からSNSに内包されていたんだと思う。DeNAまとめサイト問題でたたかれているが、もとから内包されているならこれにかかわるほぼすべての企業もアウトなんじゃないかな~と頭をひねるが、大量な金を出してサイトを買いあさっていたみたいだし、目立ったからいけにえにされたのかもしれない。

 

 エロを売ろうと思ってもなかなか基礎情報にたどり着かないのは情報自体がほとんどステマ系なのだということを最近理解できた。でも、そうすると金をかけてステマや宣伝を打たないと売り上げが伸びないことになる・・・
 金がないと金儲けができないということは現実世界でも同じだが、そういったつまらない結論にたどり着くとちょっとどうにかならないかとまたまた困ってしまう今日この頃であった。